プロセスルールの変更もRadeon HD 2000シリーズと、今回登場したRadeon HD 3800シリーズとの大きな違いだ。従来80ナノメートルだったプロセスルールをRadeon HD 3800シリーズでは、55ナノメートルへ微細化した。構成トランジスタ数が6億6600万個とRadeon HD 2900 XTの7億個から減ったこともあって、ダイサイズは192平方ミリと、408平方ミリだったRadeon HD 2900 XTの半分強まで削減された。また、Radeon HD 3800シリーズでは、これまでモバイルPC向けGPUに導入されていた省電力機能「ATI PowerPlay」をデスクトップ向けGPUとして初めて取り入れている。AMDの資料では、Radeon HD 3800シリーズの消費電力はRadeon HD 2900 XTの約半分にまで減少したと述べられている。
Radeon HD 3800シリーズと同時に発表された「CrossFireX」は、4つのGPUまで対応できるのが特徴だ。もともと、CrossFireは2GPU構成になったときの性能向上の度合いがNVIDIA SLIより大きいのが特徴で、4GPU構成における性能向上にも期待が持てるが、AMDの資料では、3GPU構成において2.5倍、4GPU構成では3倍強というデータが示されている。
以上のように、Radeon HD 3800シリーズでは、DirectX 10.1と新しいプロセスルール、そして省電力機能を採用した。しかし、日本の関係者に製品を説明するために来日していた米AMDのデスクトップ・プロダクトマネジメント プロダクトマーケティングディレクターのディビッド・カミングス氏が「3Dエンジンは同じ」と述べているように、その内部構成は従来のRadeon HD 2900 XTとほぼ同じ構成になっている。
統合型シェーダユニットを搭載し、リングメモリバスを採用するなど、従来のRadeon HD 2000シリーズの特徴がRadeon HD 3800シリーズにも受け継がれている。統合型シェーダユニットの数はRadeon HD 2900 XTと同じ320個(5個をひとまとめと考えると64単位と見ることができる)で、ビデオプロセッシングにおいても、HDMIインタフェースに対応し、UVDを実装したAvivo HDが導入されている。ただし、メモリバス幅はRadeon HD 2900 XTの512ビットから256ビットと半減した。
消費電力がRadeon HD 2900 XTの半分になったRadeon HD 3800シリーズでは、外部電源が6ピン1つに減らされている。CrossFireXによって4枚差し構成が想定されるシステムにとって、従来の8ピン+6ピンの外部電源では、対応する電源ユニットを見つけることさえ困難だったが、6ピン1つの構成になったおかげで、市販されている大容量電源ユニットに、6ピンコネクタをアダプタで用意すれば、CrossFireXの構成が容易に実現する。
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