PCディスプレイに接近しつつ、“FORIS”としてのこだわりは失わず液晶テレビ「FORIS.HD」開発者インタビュー(3/3 ページ)

» 2007年11月19日 10時10分 公開
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容積が小さいとはいえ、小口径や楕円型のスピーカーにはしたくなかった

ITmedia 「液晶ディスプレイ」「液晶テレビ」と製品カテゴリーが異なるものの、FlexScan HD2451W/HD2441Wとの選択に迷う購入者も多いかと予想されます。デジタル放送チューナー搭載の有無のほかに、明確な違いを挙げるとしたらどこでしょう?

新田 FlexScan HD2451W/HD2441Wの方はPCとの親和性が非常に高い製品です。PCディスプレイに特化した仕様として、USBアップストリーム端子の装備はもちろんのこと、それを利用した映像調整機能やUSBオーディオ機能などを積極的に取り込んでいます。

FORIS.HDの音響を担当した同部 商品設計1課 主任エンジニア 森下剛氏

森下剛氏(以下、森下) “FORIS”シリーズの重要な要素として、もちろん、スピーカーにもこだわりました。FORIS.TVとは構造こそ異なりますが、素直な音、長時間聴いても疲れない音というのは、共通のコンセプトとして貫いています。

ITmedia 今回は容積の点で、最初からかなり制約はあったのではないでしょうか?

森下 もちろんそうなんですが、スピーカーの搭載に許された容積が小さいからといって、安易に小さな口径、たとえば、3センチのスピーカーユニットなどにしてしまうのは避けたかったんです。最低でも20型のFORIS.TVと同じ、5センチの丸型ユニットという線は絶対に守りたいという構えで取り組みました。サイズの面で有利な楕円型ユニットを使う手もありますが、丸型のほうが自然な音を出しやすいですし。また、吸音材を入れるなど、内部の不要な音を消す処理も従来どおりにしっかりとやっています。

ITmedia 見た目に特徴的なのは、スピーカーが斜め下を向いている点と、ツィーターによく見かけるディフューザーが取り付けられている点ですね。

森下 表面的にはディフューザーが目立ってはいるんですが、そこが中心というよりは、ちゃんとした音作りのコンセプトがあったうえで、ディフューザーにも挑戦してみたという流れです。今回はサイズやデザインの見地から、スピーカーを正面に向けるのは難しく、斜め下に向いていることもあって、そのままでは高音があまり聴こえてこないんです。さらに、スピーカーどうしの間隔が狭いので、音の広がりにも欠けます。今回はディフューザーをつけることによって、これらの点をカバーしました。結果として、音が持ち上げったというか、画面と音の一体感が向上しています。

デザイン上の見地から、斜め下向きに取りつけられた5センチの丸型スピーカーユニット。ディフューザーで高音を広げて立体的な音場を構築し、設置台に反射させることで低音を豊かしている

ITmedia 最近は疑似サラウンド技術などに頼るケースも多くなっていますが、あくまでも“箱”自体でできることにこだわったということですか?

森下 サラウンド処理もうまく調整すれば、映画鑑賞時に迫力を得られたりというメリットはありますが、いずれにせよ、今回の(正面を向いていない)スピーカーにはあまり合わないかなと。そのため、スピーカー部分はなるべく強度を確保し、不要な音を出さないなど、音質を高めるために必要な基本条件を満たしたうえで、ディフューザーの導入などさまざまな工夫を凝らすことで、電子的な音の処理に頼らなくても済むようにしています。

ITmedia スピーカーが斜め下に向いているということは、音が反射してくるわけですが、設置場所の材質の影響を受けませんか?

森下 受けることは確かです。会議室の机やテレビボードなど、さまざまな条件を試しながらチューニングしていますが、やはりなるべく頑丈な台の上に置いていただいたほうが、音のボケ感が抑えられます。それに、しっかりと反射させることで、低音を豊かにする狙いもありますから。


 FORIS.HDは、デスクトップユースを主に想定していることもあり、フロア設置タイプのFORIS.TVよりも、AV入力対応PCディスプレイのFlexScan HD2451W/HD2441Wに近い印象を受けるのもたしかだ。利用している液晶パネルも本来はPC向けのものである。

 しかし、“ハイビジョンテレビ”として求められる品質をも満たせるよう、映像、音響ともに、ナナオならではのこだわりを持って製品作りを完遂したということが、今回のインタビューでは実感できた。FORIS.HDはまさしく、PCディスプレイ、および、テレビという異なる2つの分野で同社が培ってきた技術がしっかりと結実した製品といえるだろう。

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提供:株式会社ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日