エプソンダイレクトの「Endeavor ST110」は、2006年に新ラインアップとして投入されたスモールPC「ST100」の後継となる製品だ。好評のコンパクトなサイズはそのままだが、中身は大きくバージョンアップされている。
ST100に引き続いてmini-ITXマザーボードを採用しており、本体サイズも195(幅)×185(奥行き)×75(高さ)ミリとまったく変わらず、机上にすっきりと置ける筐体だ。縦置きにする場合にも高さがないためスタンドは不要で、必要なフットプリントは75(幅)×185(奥行き)ミリときわめて小さい。ACアダプタも、本体までのケーブル長が1.8メートルと長めなので、ACアダプタを必ずしも机上に置いておく必要がなく、さらにこのST100のものよりも小型化されている。従来同様に設置の自由度は高い。もちろん、STシリーズ専用の一体型キット付き19インチ液晶「LD1955FS」と組み合わせれば、一体型PCのように使うこともできる(関連記事:ちっちゃなボディの「ST100」を液晶一体型PCに変えてみた)。
その特徴的な筐体は、デザイン、構造ともそのまま踏襲している。横置き時に左右に位置するダクト部分は、1段低くすることで縦置き時にもダクトとしての機能を維持し、電源スイッチはパワーインジケータとアクセスインジケータを兼ねる合理的なデザインだ。天板と底板は背面のレバーをスライドさせるだけで後方に引き抜くことができ、筐体内部へのアクセスも容易に行える。天板と底板に頼らない剛性の高いシャーシも安心感がある。
注目はチップセットがST100のATI Radeon Xpress 200Mから、Intel GM965 Expressに変更された点だ。ともにSerial ATAやデュアルチャンネルのサポート、Windows Aeroに対応するグラフィックスコアを内蔵する点では共通だが、チップセット内蔵のグラフィックスコアはIntel GM965 Expressのほうが強力。BTOで選択可能なメモリ容量が2Gバイトから3Gバイトに拡張された点もWindows Vistaの快適利用ではポイントになりそうだ。もちろん、CPUを筆頭にHDD、光学ドライブといった各パーツはノートPC用の製品を採用しており、ACアダプタで動作するノートPCクラスの省電力性と静音性を実現している点は従来通りだ。
背面に目を向けると、アナログRGB+DVI-Dの2系統出力でデュアルディスプレイに対応した点が目を引く。おそらくはST100で要望の多かった部分であり、待望の機能と言えるだろう。USB 2.0ポートの数は変わらないが(前面2ポートと背面4ポート)、有線LANはギガビット対応となった。絶対的な通信速度としてギガビットLANを必要とするシーンはまだ少ないと思うが、すでにギガビット環境の整ったオフィスなら帯域の効率利用につながる。
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