3-way NVIDIA SLIを「nForce 780i SLI」と「nForce 680i SLI」で比べるイマドキのイタモノ(1/4 ページ)

» 2007年12月21日 12時30分 公開
[長浜和也,ITmedia]
3枚のGeForce 8800 GTXで評価作業中の3-way NVIDIA SLI構成。バルグ組みの状態なのでGPUの具体的な温度には言及しないが、“外部ファン”を使わないと安定しない局面もあった

 NVIDIAが先日発表した3-way NVIDIA SLIは、3枚のグラフィックスカードを連結して構築するマルチGPU技術で、従来からある2枚構成のNVIDIA SLIの発展形と見ることができる。今のところ、3-way NVIDIA SLIに対応するグラフィックスカードとしては、GeForce 8800 GTX、GeForce 8800 Ultraを搭載してNVIDIA SLI用ブリッジコネクタを2つ用意しているものが、マザーボード側では、チップセットにGeForce 680i SLI、またはnForce 780i SLIを搭載して基板にPCI Express x16サイズのスロット(接続されているレーンの数が16である必要はない)を3本搭載していることが、要求される。

 また、“G80”世代のハイエンドGPU搭載グラフィックスカードでは、1枚あたり2つの6ピン外部電源コードが必要になることから、3-way NVIDIA SLI構築するには6本の6ピンPCI Express外部電源コードを備えた電源ユニットを用意しなければならない。さらに、消費電力が多いハイエンドグラフィックスカードを3枚も搭載ため、電力容量も1100ワット以上とされている。NVIDIAでは、3-way NVIDIA SLIを構築する場合に推奨する電源ユニットを資料の中でも紹介しているが、その選択の幅はいまのところそう多くはない。

 ソフトウェア側も、グラフィックスドライバであるForceWareが3-way NVIDIA SLIに対応するだけでなく、3Dゲームなどのアプリケーション側でも3-way NVIDIA SLI、正確には、3-way NVIDIA SLIが現状で唯一サポートしているマルチGPUレンダリングモードである「3GPU-Alternate frame renderingに対応している必要がある。

 このレビューでは、3-way NVIDIA SLIに対応するnForce 780i SLI搭載マザーとnForce 680i SLI搭載マザーのそれぞれで、GeForce 8800 GTXを用いてNVIDIA SLIを構築し、その単体構成、2枚構成、3枚構成のそれぞれにおけるベンチマークテストの結果と、枚数が増えることで性能がどの程度まで向上するのかを測定するとともに、「3つのPCI Express x16」が使えるnForce 780i SLIと「2つのPCI Express x16と1つのPCI Express x4」となってしまうnForce 680i SLIで、3枚構成時における性能にどのような違いが出るのかをチェックする。

 今回の測定システムでは、液晶ディスプレイは、いつものようにデルの30インチワイドディスプレイの「3007WFP-HC」を使うが、電源ユニットは先に述べた事情から、NVIDIAが推奨している電源ユニットの中で日本でも比較的入手しやすいと思われる、GIGABYTEのOdin Pro 1200W(GE-MK20A-D1)を用意した。

今回の評価で使ったXFXのnForce 780i SLI搭載マザー「MB-N780-ISH9」
3-way NVIDIA SLI専用のブリッジコネクタ(左)と従来のNVIDIA SLI用ブリッジコネクタ
そして、その裏側。XFXのマザーには両方添付される。ちなみに、すでにnForce 680i SLIマザーを所有するユーザーは、Faithからブリッジコネクタを購入できる

今回評価のために用意した、GIGABYTEの1200ワット電源ユニット「Odin Pro 1200W」
PCI Express用として2系統6出力(ともに36アンペア)を有する
Odin Pro 1200Wには、PCI Express外部電源用として、6ピンコネクタ用コードが3本、8ピンコネクタが3本用意されている

 ForceWareは、NVIDIAのWebサイトで配布されている169.25βを適用している。3-way NVIDIA SLIに対応した最新のForceWareであるが、その運用にはいろいろと制約があるので注意する必要がある。すでに2枚構成のNVIDIA SLIを利用しているユーザーが3-way NVIDIA SLIに移行する場合、ForceWareを169.25に更新して2枚組みのNVIDIA SLIを有効させた場合は、3-way NVIDIA SLIを構築する前に、2枚組みの状態のままNVIDIAコントロールパネルでNVIDIA SLIを無効にし、3枚目のグラフィックスカードを追加してから再度NVIDIAコントロールパネルを開いて、今度は3-way NVIDIA SLIを有効にする。

 システムに3-way NVIDIA SLI対応のグラフィックスカードを3枚組み込んでいる場合、NVIDIAコントロールパネルのSLI設定画面には「3-way NVIDIA SLI」の記述が表示される。有効にする方法は従来のNVIDIA SLIと同じで、ラジオボタンをクリックしてAcceptすれば、再起動することなく3-way NVIDIA SLIが有効になる。その後、レンダリングモードを設定するが、アプリケーションごとに用意されているプロファイルを指定するか、強制的に「3GPU-Alternate frame rendering」を選択するようになる。

2枚組みのNVIDIA SLI構成の場合は、従来のように「Enable SLI Technology」と表示される
3枚のグラフィックスカードを組み込むと、「Enable 3-way NVIDIA SLI」と表示が変わる

NVIDIA SLIで選べるレンダリングモードは従来と同じ
3-way NVIDIA SLIでは基本的に3-GPU Alternate frame renderingを選択することになるが、ForceWare 169.25βでは、Quad SLIのためのレンダリングモードも表示されていた

 現時点では、アプリケーション側の対応待ちで、3-way NVIDIA SLIのフルパワーを享受できないゲームタイトルが少なからず存在する。例えば、一連の“イマイタ”レビューで市販ゲームのベンチマークテストとして利用しているゲームタイトルのうち、「World in Conflict」、「PT Boats:Knights of sea benchmark DX10」、そして期待されている「Crysis」でSLI対応パッチが登場していないため、今回のレビューでも測定していない。

 今回は定番の「3DMark06」に加えるゲームベンチマークテストとして「F.E.A.R.」「Enemy Territory-QUAKE Wars Demo」「Unreal Tornament 3」(vCTF-Suspense FlyThrough-PCとDM-ShangriLa-FPS-PC)、「Company of Heroes」を用いた。なお、これまで掲載している「Radeon HD 3870」「Radeon HD 3850」「GeForce 8800 GTS 512M」の各レビュー記事で、負荷条件を変えるために、一部のゲームタイトルでDirectX 9とDirextX 10に切り替えるようにしていたが、今回はハイエンドGPUによるNVIDIA SLIのパフォーマンスを測定するということで、DirextX 10のままでアンチエイリアスと異方性フィルタリングのサンプル数を可変して負荷条件を変更する。

 なお、Unreal Tornament 3は独自のグラフィックスエンジンを採用しているため、ForceWareで強制的に設定しても、アンチエイリアスと異方性フィルタリングを変更できないが、デモ版ではGeForce 8シリーズを利用するときだけ、実行ファイルを「BioShock.exe」とリネームするとこれらの設定が有効になる。今回のレビューではその方法でUnreal Turnament 3も負荷条件を変更した。

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