2008 Internarional CESがいよいよ開幕した。すでに開幕前日からビル・ゲイツ氏の講演で始まった基調講演はCESの主要なイベントの1つであり、その登場するスピーカーの顔ぶれは、その時期におけるデジタル家電業界の動向を物語っているといえる。
2007年は、Walt DisneyやCBSといった「コンテンツホルダー」企業のトップが顔を並べたのに対して、2008年のスピーカーは、日本企業からPanasonic AVCネットワークス社長の坂本俊弘氏が登場するほか、IntelのCEOであるポール・オッテリーニ氏といったPCユーザーになじみのある企業が登場する一方で、ケーブルコンテンツ配信事業の大手であるComcast、そして、自動車産業界の代表ともいえるGMのCEOであるリック・ワグナー氏といった、2007年とはまたちがったカテゴリーの企業が登場する。
CESのキーノートスピーチのラインアップを決定しているのが、CESを主催する全米家電協会(CEA)だ。そのCEOであるゲイリー・シャピロ氏が、日本からの報道陣とのグループインタビューにおいて、2008 International CESにおけるキーノートスピーチの特徴を解説した。
シャピロ氏は、今回のキーノートスピーカーの顔ぶれを「イスを支える3本の足」に例えている。デバイステクノロジ(の代表としてのIntelとPanasonic)、コンテンツ、ホームネットワーク(それぞれの主要なインフラを提供しているComcast)が、融合しあって新しいデジタル家電や家庭における新しい利用形態を創造し、それによって市場が活性化していくというメッセージが、キーノートスピーカーを選定する上で考慮された大きなテーマであるようだ。
そのテーマにおける、GMが登場する意義についてシャピロ氏は、最近利用が増えている車載デジタルガジェットを例に挙げて、新しい利用形態のケーススタディとしてGMのトップが基調講演に登場すると説明した。そういう意味では、日本の自動車産業も十分資格があると思われるが、この点についてシャピロ氏は、「確かに車載エンターテイメントの分野では日本企業も進んでいるが、GPSによるカーナビゲーションと連動した情報サービス分野の製品では、米国が最も大きな市場を形成している」と説明した。
また、2007年のグループインタビューで、キーノートスピーカーの条件として「企業としての実績と歴史」をシャピロ氏は挙げていたが、その点についてはこれからも変わらないと述べ、この選定基準が、動きの早いデジタル家電業界で、その時代に適したスピーカーの選定を妨げているのでは、という疑問にも「CEAの選定作業はそのときの情勢を注意深く把握して行っているので問題ない」とコメントしている。
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