“生ジョブズ”への遠い道のり――「Macworld Expo 2008」開幕直前リポートExpo出展数は488へ増加(1/2 ページ)

» 2008年01月15日 21時56分 公開
[林信行,ITmedia]

基調講演の24時間前、200メートルの行列

サンフランシスコクロニクルの紙面

 Macworld Conference & Expoが開幕した。アップル最高経営責任者、スティーブ・ジョブズ氏の基調講演と同時に展示フロアがオープンするのは、米国時間で1月15日の朝9時(日本時間で16日の午前2時)だが、カンファレンスプログラムは一足先にスタートしている(ちなみにアップルのトップページも“There's something in the air.”の予告に塗り替えられている)。現地サンフランシスコの新聞は、15日に行われる基調講演の話題で持ちきりだ。

 基調講演が始まるちょうど24時間前、筆者がExpo会場に足を運ぶと、講演会場となるモスコーニ・ウェストの巨大な建物を取り囲むように大行列ができていた。Google Earthを使って計測したところ、その距離は約200メートル。先頭の人に聞くと、(14日)の朝7時にはすでに行列ができていたそうだ。

すでに大行列だが……まさか……

 もし、これがジョブズCEOの基調講演を見るための行列なら、いまから列に加わっても生の彼を見ることは確実にできない。基調講演会場の収容人数を超えた時点で、巨大スクリーンによる中継を見るための“別室”行きとなってしまう。しかし、話を聞いてみたところ、どうやらさすがに“生ジョブズ”のための行列ではなかった。

 この長い長い行列は、モスコーニセンター・ウェストを埋め尽くすカンファレンス・ホールで行われる130個のセッションで席を確保するためのもの。ジョブズCEOの講演でなくても、これだけ早くから行列ができることを考えると、翌日の基調講演で“生ジョブズ”を見るためにはかなり早い時間に列に加わっている必要がありそうだ。

基調講演の収容人数はトップシークレット

IDG World Expo Macworld Conference & Expo担当 ポール・ケント氏

 今回のMacworld Expoについて、イベント主催者であるIDG World Expoのブランド副社長で、Macworld Conference & Expo担当のポール・ケント氏に話を聞いた。

 ケント氏は「最近はとにかくMacが勢いづいているから、Macworld Expoもすごいことになってきた」と興奮気味に語り始めた。「出展者の数は389から488へと増えているが、そのうちの約85%がMac関連の出展者だ。我々はそのことを誇りに思っている」。

 また、この記事で触れた会場の変更については、モスコーニ・ノースとウェストを比較すると、会場面積でノースが広いようだが、これまでノースホール全体を使うことはなかったので、会場で使うスペースはそれほど変わっていないと説明する。

Macworldのカンファレンスを収めた2枚組のDVDも

 ちなみにカンファレンスは、合計130セッションと、225人のスピーカーを用意し、5000人が事前登録を行っているという。これまでの統計から言って、参加者の8割が事前登録による参加、残りの2割は当日登録で参加しているということなので、実際の参加者は5000人を大幅に超える数になるようだ。

 気になるスティーブ・ジョブズ氏の基調講演についても聞いてみた。まず、いつごろから並べばいいのか?

 「おそらく14日の7時ごろ(開演14時間前)には行列ができ始めている。これはこのイベントの伝統の1つだ。もしよい席を確保したいのであれば、今晩から並び始めたほうがいい。“まあまあ”の席でかまわないなら、夜中に並び始めればたぶん大丈夫だろう。ただ、会場に入れるか入れないか危険をおかしたくないのなら、空が明るくなるかなり前には列に並んでいる必要があるだろうね」。“生ジョブズ”への道は険しい。

 それでは、基調講演の部屋に入ることができる最後尾の人は、いままでだいたい何時くらいに列に並んでいたのか?

 これに対しては「4時か5時がぎりぎり」という答えだった。ただし「今年はいろいろと新製品のウワサもあり、参加者が増えていることを考えると、とにかく早めに並んだほうがいい」と付け加えた。

モスコーニ・ウェストの風景

 ジョブズCEOの講演が行われる部屋に入れない人は、約1200人ほどを収容可能な「overflow」の部屋(あふれた人たちの部屋)に通されるという。ここには大画面スクリーンが用意され、別の部屋で行われているジョブズCEOの講演を中継で見ることになる。

 もっとも、これまでのMacworld Expoでは、この「overflow」の部屋にすら入れず、「2つめのoverflow」の部屋に招かれた人や、さらにそこにも入れずに展示会場(アップルのブースでも中継が見られるようだ)で基調講演を見ることになった人までいるらしい。

 ジョブズCEOの基調講演は、その十数時間後にはWebでも放送されるので、中継で見てもありがたみが少ない。遠路はるばる参加している人は、やはりどんなに遅くても朝の4時ごろには並んでいたほうがよさそうだ。ちなみにジョブズCEOが講演を行う部屋は、いったい何人くらい収容可能なのだろうか?

 「申し訳ないけれど、それはトップシークレット扱いになっていて、絶対に教えられないんだ」(ケント氏)。

 今年のMacworld Expoでケント氏がおすすめするブースも聞いてみた。「今年はさらに多くの新しい出展者が参加した。アップルブースのすぐ裏にデベロッパーパビリオンというコーナーがあり、そこに49の開発者が出展している。これはどれも粒ぞろいでおもしろい。ちなみにすべてMac OS Xの開発者だ」(同氏)。

 今回、Company Storeが出展していたことについても聞いてみたが、「Company Storeは、これまでのMacworld Expoにも参加していたけど……」と言われてしまった(お詫びして訂正いたします)。ただし「小売店の出展者としては、米国大手量販店のBest Buyが初めてMacworld Expoに出展し、Mac関連の製品を販売する」という。

 Best Buyといえばアップルのライバルとも言える量販店だ。日本ではコンテンツのダウンロード販売サービスというと、携帯電話の着うたフルなどが人気だが、米国では多くの人が、音楽もビデオもTV番組も映画もiTunesで購入している。

 米NPDグループの調査結果によると、米音楽小売業者の2007年1〜3月期のランキングでは、iTunes StoreはAmazonとTargetを抜いて3位にランクされていた。1位は日本の経済誌にもよく登場する小売り大手のウォールマート、2位がBest Buyで、スティーブ・ジョブズ氏は過去の基調講演でもこれら2社を抜かんばかりに息巻いていた。米iTunes Storeの売り上げがどこまで伸びたのかも、今回の基調講演で注目したいポイントの1つだ。

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