ITmediaでTOUGHBOOK、とくれば、これはもう「海でギチギチ使ってやろうかい」となる。過去にもこんな荒行をして、TOUGHBOOK開発陣から「それは、ちょっと勘弁してください」と怒られたこともあるけれど、「TOUGHBOOKが生まれ変わりました」と言われてしまっては、また、ギチギチと使ってやらなければ不公平というもの。
しかも、以前洋上で使った「塩害対応モデル」CF-29が、「TOUGHBOOKを露天甲板で白昼使うと液晶がまったく見えなくなる。入港後にキャビンで使うともちろん見えるが、甲板で使えないとTOUGHBOOKたる必然性がない」状況であったのに対して、新しい(いや、もう登場してから1年が経とうとしているのですけれど)TOUGHBOOKは、A4クラスの「CF-30」もB5サイズの「CF-19」も「直射日光でも見やすいディスプレイ表示」を、最も重要な改善点として訴求してきた。
これが普通のノートPCなら、「Pentium MからCore 2 DuoにCPUを変更するなど、SantaRosa世代のCentrinoに移行して、パフォーマンスも改善しました」というあたりがメインテーマとして取り上げられるところだが、さすが、堅牢ノートPCの先駆者であるTOUGHBOOKだけあって、フィールドノートPCで本当に大事なところが分かっている。
直射日光でも使える液晶ディスプレイを実現する方法として、A4サイズで13インチディスプレイを搭載するCF-30は、バックライトを従来の1灯から2灯にして、最大輝度1000カンデラ/平方メートルを実現するという力技で解決しているが、B5サイズで10.4インチディスプレイを搭載するCF-19は、液晶パネルの構造に工夫をこらすことで、輝度をそれまでのCF-18(500カンデラ/平方メートル)から450カンデラ/平方メートルと下げながらも、直射日光の下で画面が見えるように改善されたという。
その工夫は、CF-19が搭載する低反射タッチスクリーンパネルに施されている。タッチセンサーを2枚の位相差フォルムではさむことで、液晶パネルから発した光と差し込んで液晶パネルに反射した光を“ふるい分け”、表面に重ねた偏光パネルで液晶パネルから発した光だけを“通す”ことで、視認性を向上させている。
この方法のいいところは、バッテリー駆動で大きなウエイトを占める液晶パネルの消費電力を上げることなく屋外における画面表示を改善できるところで、バッテリー駆動時間に与える影響を考えると、輝度を2倍にすることで屋外における視認性の問題を解決したCF-30よりノートPCには適している。
実際に、CF-19を海に持ち出して船上で電子海図を使ってみたが、冬とはいえ、日光を直接液晶ディスプレイに当てた状態でも、細かい海岸線や灯台、ブイの小さなアイコンを識別できた。以前使用したCF-29では同じ電子海図ソフトが日中ではほとんど使い物にならなかったことを考えると、実用性は格段に向上している。
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