Windows XPからWindows Vistaに乗り換えたユーザーがよく口にする不満として、ファイルコピーの遅さが挙げられる。ダイアログがふわりと現れ、XPよりもはるかに美しいアニメーションが滑らかに動く様子など、視覚的には洗練された印象だが、実際の処理自体はもっさりとしており、推定残り時間が表示されるまでに時間がかかるし、そもそもコピーに要する時間も長くなっている。
このことはマイクロソフトも意識していたようだ。「Overview of Windows Vista Service Pack 1」でも次のように具体的な数字を挙げてSP1による高速化を訴えている。
※推定残り時間表示の改善について、「Windows Vista Service Pack 1 (SP1) における主要な変更内容」では、「Windows エクスプローラ内でファイルをコピーするときの推定残り時間の誤差が 2 秒ほどに短縮されます」と説明されているが、この原文と思われる「Notable changes in Windows Vista SP1」には「Improves the copy progress estimation when copying files within Windows Explorer to about two seconds.」と記述されている。
なお、圧縮フォルダ−通常フォルダ間のコピーでは、ファイルの読み出し、書き込みといったディスクI/Oのほか、圧縮処理や伸張処理のパフォーマンスも関係してくる。MPEGやWMVなどの動画ファイル、JPEGなどの画像ファイル、ZIPやLZHなど、圧縮が効きにくいファイルでは圧縮処理の効果がほとんどなく、結果としてむだなオーバヘッドのみが処理時間に追加される。
一方、高い圧縮率が期待できるファイルの場合は、実際にファイルに書き込んだり、読み出したりするデータ量が減らせるため、ある一定以上の圧縮率を超えると通常フォルダよりもパフォーマンスが高くなるようだ。以下、通常ファイルと圧縮ファイルのコピーに要した時間を計測した。
こうして見ていくと、今回のWindows Vista SP1はパフォーマンス向上と諸々の修正が中心であることが分かる。セキュリティに関しても、利便性を取りつつ安全性を確保するという方向性であり、「SP1を適用したら途方に暮れてしまった」というような事態は起こりにくくなっているようだ。
逆に言うと、いま現在安定してVistaを利用している人にとっては、それほど期待できる内容ではないかもしれない(その分、導入のハードルが低いとも言えるが)。急いで導入する必要はないものの、ソフトウェアの互換性に問題がなければ先送りにする必要もない。ただ、サードパーティ製のデスクトップ検索ソフトが出てきたらそのために導入したいと考える人はいるだろう。今後のGoogleをはじめとするサーチエンジンの動向に注目したいところだ。
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