ROBRO-ZEROの個性あふれるWebブラウズ機能は前述の通りだが、もう1つのメインとなる地上デジタル放送の録画機能もシンプルで使いやすくまとまっている。ROBRO-ZEROを初めて起動すると、地域ごとに異なる地上デジタル放送の周波数を自動的にスキャンできるので、数分間放置しておけばTVの視聴環境が整う。あとは、好みに応じてチャンネル番号をカスタマイズすればいいだろう。
番組の録画は、ハイビジョン映像の解像度を落とさずにMPEG-2 TSのままHDDへ保存する仕様だ。録画先のHDDは、内蔵ドライブに加えて、USBやIEEE1394の外付けドライブも選べるため、HDDの容量不足に悩まされることがなく、番組のジャンルや家族でHDDを使い分けることもできる。リモコンのボタン1つで視聴中の番組を録画できるのはもちろん、録画ボタンを数回押すことでタイマー録画の設定も可能だ。
予約録画機能はマニュアルでの設定だけでなく、電子番組表もサポートしている。電子番組表はiEPGデジタル方式を採用しており、リモコンの「番組表」ボタンから即座にアクセスできる。ここでもリンク自動ナンバリング機能が威力を発揮し、3ケタの番号を入力するだけで予約録画する番組が指定できるので、外出する前に急いで予約録画の設定をしたいといった場合でもストレスなく扱えるだろう。
予約録画中の番組は「予約リスト」ボタン、録画した番組は「再生リスト」ボタンでそれぞれ一覧表示できる。日付や保存先によるソート、削除の設定などが手軽に行えるなど、操作性は良好だ。
以上、ROBRO-ZEROの機能を駆け足で紹介したが、実際に使ってみると、機能の目新しさだけでなく、メニューが高速に表示され、テキパキと動くのが好印象だった。地上デジタル放送や録画した番組を表示する際にデコード処理の時間が数秒かかるのは仕方ないが、ここまでレスポンスのよいデジタル放送の視聴・録画ソフトはそうお目にかかれない。
なお、冒頭で触れた通り、ROBRO-ZEROを搭載したPCはクイックサンの直営ショップサイトとPCショップのフェイスで販売中だ。クイックサンでは、AVアンプのようなデスクトップ型、フェイスではデスクトップ型、キューブ型、タワー型の3種類のボディを選択できる。今回試用したのはクイックサンが販売しているPentium Dual-Core E2140(1.6GHz)搭載のエントリーモデルだったので、Core 2 Duo E6550(2.33GHz)やCore 2 Quad Q6600(2.4GHz)を採用した上位モデルでは、さらに軽快に動作するだろう。
地デジもWebも大画面TVで存分に楽しみたいと考えている人は、ROBRO-ZEROの斬新かつ明快な操作感をぜひ一度体験してほしい。
クイックサンが満を持して投入した地デジ&Webシームレスブラウザの「ROBRO-ZERO」は、まったく新しい視聴環境をユーザーに提供するソリューションとして未知の可能性を秘めている。ROBRO-ZEROの開発思想や今後の事業展開について、同社の安達寛高社長に話をうかがった。
――ROBRO-ZEROの開発コンセプトを教えてください。
メディアが真の大衆性を獲得するには、ご年配の方を含むすべての消費者が利用できることが必須だと思います。インターネットは爆発的な速さで普及し、絶えず進化し続けていますが、まだまだTVのように簡単な操作性を実現するには至っていません。
そこでROBRO-ZEROの開発にあたっては、操作にユーザースキルが求められるキーボードとマウスを徹底的に排除し、TVと同じようにリモコンだけでWebをシームレスに、より手軽に閲覧できることを目指しました。ようやく正式版をリリースできたので、1人でも多くの方に、その優れた操作性を実感していただきたいです。
――今後はどのようにROBRO-ZEROの事業を展開していくのでしょうか?
まずは携帯電話との連携を強化します。クイックサンは今年の2月に、インテル様、ドリームポート様、フェイス様(PCショップのフェイスとは異なる)の3社と共同で、デジタルコンテンツ配信の新しいソリューションを開発することを発表しました。これは、PC、デジタル家電、携帯電話など利用する機器を問わず、ユーザーがデジタルコンテンツをより簡単に楽しめるような仕組みを提供するものです。
この中でクイックサンは地上デジタル放送とWebブラウズを行うプラットフォームとしてROBRO-ZEROを提供していますが、今回の携帯電話との連携では、フェイス様のコンテンツ視聴権利技術「Near Field Rights Management」(NFRM)を利用します。NFRMを利用して携帯電話で映像コンテンツの視聴権を購入し、ROBRO-ZERO PCに情報を送信することで、大画面TVで映像コンテンツを視聴できるようになるというソリューションです。
これにより、通勤時や通学時など外出先から携帯電話で好きな映像コンテンツの視聴権利を購入し、FeliCaの通信機能を用いて携帯電話から視聴権利を転送し、自宅のTVでそれを楽しむといった「どこでもレンタルビデオ」のような環境が実現できます。
既にiモードの公式サイトとして、NFRM対応コンテンツのポータルサイト「カザスチャンネル」がオープンしているので、こちらでコンテンツの検索と購入が可能です。現状ではFeliCaポート経由でROBRO-ZERO PCと権利権情報をやり取りする仕様ですが、7月に予定しているROBRO-ZEROのアップデートでは赤外線経由でより簡単に通信できるようになります。NFRM対応の映像コンテンツも続々と増えていく予定です。
――専用リモコンはさまざまな活用法がありそうですね。
はい。ROBRO-ZEROのリンク自動ナンバリング機能は、数字で内容を表すものならば、何でも取り込める可能性があります。例えば、郵便番号、電話番号、株式の銘柄といった番号をリモコンで入力すると、それぞれの情報をインターネットで検索して表示することが可能です。これらの機能はROBRO-ZEROの“裏技”として実装済みです。
今後の事業展開としては、カタログ通販との連携を計画しています。カタログの冊子をROBRO-ZEROのシステムとともに提供し、ROBRO-ZEROのリモコンでカタログの注文番号を入力すると、オンラインショップの購入ページへジャンプし、写真や動画で詳しい製品情報を閲覧して購入できるというものです。現状では、大手のカタログ通販会社様と話を進めているところで、今年中には何らかの発表ができると思います。
――リモコン以外の操作系も開発中と聞きました。
そうですね。リモコンとは逆の発想になりますが、ROBRO-ZEROでは今年の夏に音声入力による操作をサポートする予定です。ROBRO-ZERO PCはWindows Vistaを標準搭載しているので、Vistaの音声認識機能を利用すれば、番号をマイクで話すだけで地上デジタル放送やWebサイトの視聴が可能になります。これも独自のリンク自動ナンバリング機能があるからこそ、実現できる機能です。
この音声入力機能は、リモコン操作の代替ではなく、リモコンの操作が難しい方に使っていただくことを目指しています。ROBRO-ZEROでTVとWebの視聴をより便利にしたいことと同時に、このような社会貢献も考えていきたいです。
実はこのほかにも今回お話できない事業戦略が数多くあります。まだ始まったばかりのROBRO-ZEROですが、ここ数年の間でTVとWebの標準的な視聴環境として普及するプラットフォームに育てていきたいです。今後のROBRO-ZEROの展開にご期待ください。
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提供:株式会社クイックサン
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日