XPS 630は“アニキ”のXPS 720と同じ“前のめり”のタワーケースを採用しているが、(見た目はそうでないにしても)そのサイズは小さくなっている、とデルはいう。XPS 720 H2C Editoinで導入された強大な液冷空冷一体型のハイブリッドクーラーユニットもXPS 630では取り入れられることなく、通常の空冷機構で筐体内部を冷やしている。ハイパフォーマンスを発揮する環境としては、XPS 720 H2Cより不利になったといえる。
マザーボードはXPS 630専用のオリジナルデザインで、チップセットは「nForce 650i SLI」と、2008年のPCとしてはやや旧式のミドルレンジモデルが採用されている。対応するメモリはDDR2-667で、マザーボードに4本あるメモリスロットに最大4Gバイトのモジュールを実装できるが、XPS 630のBTOで選択できるWindows XP/Vistaが32ビット版に限られることに注意しておきたい。
チップセットはミドルレンジモデルだが、PCI Express x16スロットを2本用意して、NVIDIA SLI構成を構築できるあたりに、ゲームユーザーのことを忘れていないXPS 630の心意気を感じる。BTOで選べるのはGeForce 8800 GTXにGeForce 8800 GTの2種類で、GeForce 8800 GTXで最高スペックを狙うもよし、GeForce 8800 GTでXPS 630らしくコストパフォーマンスを極めるもよしと、幅広いユーザーの用途をカバーできる。ただ、こちらもBTOで構成を指定するときに注意が必要だ。ミドルレンジGPUのGeForce 8800 GTは2枚差しのNVIDIA SLI構成でオーダーできるが、ハイエンドのGeForce 8800 GTXは1枚構成しか選べない。X-HDゲーミング環境を視野においたハイエンド構成でガシガシいきたいユーザーは、自前でもう1枚調達する必要がある。
ゲームユーザーを重視したBTOの選択肢として、忘れていけないのが物理演算エンジンカードだ。XPS 720と同様、XPS 630でもAGEIA PhysXを追加できる。ショップブランドPCでは採用例が多い物理演算エンジンだが、大手メーカー製品で選べるモデルは極めて少ない。エントリーモデルのXPS 630でも選択できるあたり、XPS 630の遊び心は半端でないようだ。
CPUは、コストパフォーマンスを重視するXPS 630としては無難なクアッドコア「Core 2 Quad Q6600」が、デルの掲げるベーシック構成でも推奨構成でも取り上げられている。それ以外にも、パフォーマンスを重視したいユーザーのために、出荷が始まったばかりの、45ナノメートルプロセスルールを導入して2次キャッシュを12Mバイトに増やしたCore 2 Quad Q9550と、2次キャッシュは6Mバイトと減ったものの、Q9550と同じ45ナノプロセスルールを採用し、FSB1333MHzにも対応するCore 2 Quad Q9300がBTOで選べる。
筐体が(わずかに)小型化したものの、内部に収納できるストレージデバイスの充実度はXPS 720に引けをとらない。搭載方式は、横向きに開いたドライブベイにレールを使って固定されている。このため、工具なしでも簡単にHDDを着脱できる。デバイスの増設や換装にドライバーなどの工具を一切必要としない作業性の高さは、「Dimension」シリーズから受け継がれてきたデル製デスクトップPCの特徴だ。5インチのオープンベイはXPS 720の3基から2基に減らされたものの、多くのメディアに対応したカードリーダーを収納する3.5インチベイは確保された。
筐体内部のシャドウベイには、最大4基のHDDが搭載できるが、筐体フロントパネルの下部に設置された大口径ファンに隣接する場所にあるので、ファンで取り入れた外気でHDDを十分冷却できる。ただし、BTOで選択できるHDDの台数は、最大で2基までなのに注意したい。「ドライブが空いているのは気持ち悪くて」というユーザーは自分でHDDを2つ調達する必要がある。なお、BTOでHDDを2台購入する場合は、RAID 0、または1を指定することもできる。
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