老舗BTOメーカーの最高峰PCを体感――エプソンダイレクト「Endeavor Pro4300」ゲーマーもエンコ職人も(1/2 ページ)

» 2008年04月15日 12時00分 公開
[兼子忍,ITmedia]

幅広いBTOメニューによりあらゆるニーズに対応

 エプソンダイレクトの「Endeavor Pro4300」は、同社がラインアップするデスクトップPC全7シリーズの頂点に立つフラッグシップモデルだ。最小構成なら11万円台からとリーズナブルな価格でも購入できるが、BTOではクアッドコアを搭載したCore 2 Extremeや、CrossFireといった高性能パーツが用意され、潤沢な予算を用意して、抜群の性能を備えた1台を購入したいというパワーユーザーにも強く訴求する製品となっている。

 まず、今回試用した評価機の基本スペックを紹介しよう。CPUには1333MHzのFSBクロックに対応したクアッドコアCPU、Core 2 Extreme QX9650(3GHz)を採用するほか、メモリは3Gバイト(PC2-6400)、HDD容量は500Gバイトというハイエンド仕様の構成だ(ただし、光学ドライブはコンボドライブ)。さらにグラフィックスカードにはシングルスロットタイプのRadeon HD 3870搭載カード2枚によってCrossFireを構築し、FPSゲームのネットワーク対戦や、3DオンラインRPGも快適に楽しめる、極めて優秀なグラフィックス性能を備えている。OSはWindows Vista Ultimateだ。

 さらに、セキュリティ機能としてマザーボードにセキュリティチップ(TPM v1.2準拠)を搭載することから、本体の盗難やHDDのみを持ち去られた場合でも、個人情報や仕事上の機密情報が外部に漏えいする危険を最小限にとどめている。

 BTOで選択できるCPUは、Core 2 Duo E4500(2.20GHz)〜E8500(3.16GHz)や、Core 2 Quad Q9450(2.66GHz)/Q9550(2.83GHz)に加えて、低価格デュアルコアCPUのPentium Dual-Core E2180(2GHz)も用意されている。また、HDD容量は80Gバイトから1Tバイトまでの6種類から選べるほか、500Gバイト〜2TバイトのRAID 0構成、80Gバイト〜250GバイトのRAID 1構成、1TバイトのRAID 10構成を選択することも可能だ。

 グラフィックスカードの選択肢も普及モデル〜パフォーマンスモデルまで幅広くカバーしており、グラフィックワークステーション用のFireGL搭載カードやQuadro FX搭載カードもラインアップされるなど、用途に応じて柔軟なパーツを選択できる。ただし、光学ドライブに次世代DVD規格に対応したドライブを選択できない点だけは残念に感じられた。今後のBTOメニューの拡充に期待したい。

今回評価したのはCPUにCore 2 Extreme QX9650を搭載したハイエンド仕様の構成だ。グラフィックス機能もRadeon HD 3870を2枚組み合わせたCrossFire構成で、従来モデルに比べて大幅な性能強化が見込める

静音性、拡張性、冷却性能に優れたツールフリー構造のミドルタワー筐体

 ミドルタワー型の中でも若干大振りなPro4300のケースは、全体を清潔感のあるホワイトで塗装しつつ、フロントベゼルにマッドブラックを採用して精悍なイメージを打ち出している。外装の素材にスチールを用いることから、本体はずっしりと重いものの、天面にキャリングハンドルを装着すれば、設置場所を変更するのも困難ではない。また、オプションの専用キャスター(+8400円)を使えば、女性でも簡単に本体を移動することが可能だ。

 前面端子はUSB 2.0×2とヘッドフォン端子のみというシンプルな構成で、カードリーダーも標準では搭載されない。必要ならBTOで3.5インチベイ用のマルチカードリーダー付きフロッピードライブを追加するといいだろう。なお、付属のキーボードには、左右側面に各1基のUSB 2.0端子が搭載されている。USBメモリや携帯音楽プレーヤーとデータをやり取りする際は、キーボードのUSB 2.0端子を使うことで、スムーズにUSB機器を着脱することが可能だ。また背面には6基のUSB 2.0に加え、eSATA端子も搭載されている。

 サイドパネルの着脱から、ドライブ類、拡張カードの固定に至るまで、完全なツールフリー構造を採用するため、メンテナンス性は極めて良好だ。ストッパーやダクトカバー、レバーなどの可動部品はすべて青色で統一されているので、メンテナンス時にどの部品を動かせばよいかを一目で把握できるのもポイントが高い。

写真は左から本体前面/背面/左側面。高い拡張性を備え、メンテナンスのしやすい筐体だ

 拡張性は、5インチベイが3基、3.5インチベイが1基、HDD専用ベイが4基と、こちらも筐体サイズに見合った豊富さを誇る。標準で650ワットの大容量電源を搭載することから、ドライブベイを埋め尽くすようなヘビーな拡張にも対応できる。HDD専用ベイは、フロントベゼル中央付近にあるEndeavorロゴの裏に隠されたレバーを引きながら、ハンドルを前面に引き出すことで、サイドパネルを取り外すことなく簡単にアクセスできるので、購入後にHDDを増設したり、HDDが故障して新しいドライブと交換するといった本格的なメンテナンスも容易に行なえるのがうれしい。ちなみに、HDD専用ベイは付属の鍵でロックすることができるため、複数の人が出入りするオフィス環境でも、盗難を心配することなく利用できる。

 拡張スロットは、PCI Express x16と同x1が各2基、PCIスロットが3基と、こちらも余裕のある構成だ。ただし、PCIスロットのうち2基は、PCI Express x16スロットに極めて近い位置に搭載されるため、ここに搭載した拡張カードは、グラフィックスカードと密接する形となってしまう。カードどうしに物理的な干渉がない場合でも、PCIカードがグラフィックスカードのファンをふさぐ形となってしまうため、十分な冷却性能を確保したいなら、PCI Express x16スロットと併設されたPCIスロットは使用しないほうがよさそうだ。なお、メモリスロットは4基あるが、評価機には1Gバイトモジュール2基と512Mバイトモジュール2基の組み合わせで合計3Gバイトのメモリが搭載され、メモリスロットはすべて使用済みとなっていた。

 ケース内部は、電源ケーブルをメッシュパイプで包んで空気の通り道を確保するほか、後部に12センチ角の大型排気ファンを搭載し、さらに電源ユニットと5インチベイの間の空間をダクトで包んで外気の吸入を効率的に行なうなど、冷却性能を高めるための工夫が見られる。さらに、CPUクーラーに、直立タイプの大型ヒートシンクとヒートパイプに直径9センチの大型ファンを組み合わせたクーラーを採用しているのも目を引く。ファンの回転数を最大2000rpmに抑えることで、十分な冷却性能と同時に高い静音性を実現しており、CPUに高い負荷がかかる作業を行なっても、快適さを損なうことなく利用できるのがうれしい。評価機が動作中に発するファンノイズを確認したところ、電源投入直後にはファンが高速回転して瞬間的に騒音が増大するものの、その後は一貫してファンの騒音は低いレベルに保たれていた。

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