6万円で買えるミニノート「CloudBook CE1200J」を検証するEee PCとは一味違う(1/3 ページ)

» 2008年04月18日 11時20分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

タッチパネルを備えた個性的なデザインの低価格UMPC

「CloudBook CE1200J」

 「CloudBook CE1200J」は、米国カルフォルニアに本社を構えるEverex社の製品で、5万9800円という低価格を大きな武器にするUMPCだ。先行して投入された海外モデルはOSがLinuxのディストリビューションの1つであるgOSだったが、国内向けモデルはWindows XP Home Edition(SP2)に変更されている。搭載OSに関しては賛否両論あると思うが、Windows XPを採用したことで、より多くの人が興味を持つ製品となり、5万9800円という価格をより魅力的に見せていることは事実だろう。

 Everexは国内ではまだなじみが薄いが、2006年9月より日本向け製品の販売を開始しており、PC DEPOT、ソフマップ、ヤマダ電機、ZOAといった販売店向けにカスタマイズされたコストパフォーマンスの高いモデル(いわゆる販売店オリジナルモデル)を投入してきた。CloudBookでは販売店が追加され、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、九十九電機でも販売されている。


 CE1200JはVIAのモバイルプラットフォームを用いており、CPUはC7-M、チップセットはVX700を採用している。C7-Mは1.2GHz動作の超低電圧版(ULV)で、VX700はグラフィックコアのUnichrome Proとノースブリッジ、サウスブリッジを1チップに統合したチップセットだ。このプラットホームは、ほぼ同時期に国内販売が開始されたGIGABYTEの「M704」や、先日PC USERでレビューを行ったWibrainの「B1」も採用するなど、現時点ではUMPCとして消費電力とパフォーマンスのバランス(そしてコスト面でも)に優れた組み合わせになっている。

 メインメモリについては、SO-DIMMスロットが1つあり、標準で512Mバイトのメモリモジュールを搭載している。メモリ容量は最大で1Gバイトをサポートしているが、メモリモジュールは本体を完全に分解しないと交換できず、国内代理店となっているCTOが1Gバイトメモリへの増設サービス(8400円、配送/代引き手数料込み)を提供している。HDDは容量が30Gバイトの1.8インチタイプ(3600rpm)だ。こうした基本スペックはこちらの分解記事に詳しい。

CPUは最大1.2GHz動作のVIA C7-M ULVで、動作クロックはシステムの負荷に合わせてかなり動的に変化する(写真=左)。主要コンポーネントでは、無線LANモジュールをUSB 2.0で接続しているのが、ノートPCとしては少し変則的だ(写真=右)。1.8インチHDDはシーゲイト製だった

液晶ディスプレイ下部にすき間を設けたデザインが目を引く

 本体サイズは230(幅)×171(奥行き)×29.4(高さ)ミリ、重量は約970グラムだ。フットプリントはいわゆるA5サイズとなり、ノートPCとしてはコンパクトだが、UMPCとしては大きめの部類だ。ただし、フットプリントで無理をしていないぶん、一般的なスタイルでのタッチタイプも可能なキーボードを用意できている。

 ボディの携帯性は、より高性能なLet'snote Rシリーズなどと大きく変わらないが、そもそもこれらの製品とは価格帯が大きく異なるため、直接比較してもあまり意味がないだろう。同じ2人乗りの自動車でも実用志向の軽自動車と、1.6〜2Lクラスのエンジンを積んだコンパクトスポーツカーを比較するようなものだ。

 ボディのデザインは少々個性的で、ディスプレイを開くと本体とディスプレイの間に2センチ程度の空間ができる。空間となる部分はディスプレイサイズの兼ね合いでデッドスペースになってしまう部分とも言えるが、同社ではこの空間を利用してディスプレイを開いた状態でもしっかり片手で保持できるとしている。また、ディスプレイを閉じた状態ではこの空間にバッテリーの一部が入り込むようになっており、単にデザインとして奇をてらっただけでないことは間違いないようだ。

ディスプレイ右側に着脱式モジュールのWebカメラを搭載

 液晶ディスプレイ(800×480ドット表示の7インチワイドパネル)の右側に、拡張モジュールを用意しているのもユニーク。標準では、30万画素のWebカメラを装着しているが、交換用のオプションとしてスカイプフォンも提供されるという。

 拡張モジュールに加えて、必要十分な外部インタフェースも備えている。右側面に2つのUSB 2.0ポートと100BASE-TXの有線LAN、音声入出力、左側面にDVI-I出力と、SDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO対応のメモリカードスロットを装備。外部ディスプレイ出力はDVI-Iなので、デジタル接続に加えて、アダプタを使えばアナログRGBでの接続も可能だ。また、IEEE802.11g/bの無線LANと、Bluetooth 2.0+EDRも内蔵しており、ネットワーク機能も充実している。

本体の前面に端子類はない(写真=左)。背面はバッテリーで占有されている(写真=右)

左側面には、SDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO対応のメモリカードスロット、DVI-I出力を搭載している(写真=左)。右側面には、2つのUSB 2.0ポート、100BASE-TXの有線LAN、音声入出力が並ぶ(写真=右)

 モバイルでのインターネット接続手段を考慮すると、国内ではPCカードスロットやCFカードスロットの搭載も望まれるだろうが、この点は世界的に見て日本の通信事情が特殊なので仕方ない部分だ。イー・モバイル、ウィルコム、NTTドコモは、インターネット接続の定額利用向けにUSB通信ユニットを用意しているので、持ち歩いてさまざまな場所でインターネットに接続したい場合は、これらと組み合わせることになるだろう。

搭載されているBluetoothスタックは、海外ベンダーの製品にしては珍しく東芝製だった。手持ちのBluetoothヘッドフォンを接続し、ワイヤレスでの音楽再生も問題なく楽しめた

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