高速SSDを取るか、大容量HDDを取るか――「Let'snote R7」最上位機を駆るZEROスピンドルLet'snoteの実体(1/3 ページ)

» 2008年04月24日 19時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

Let'snote初のSSDモデルがデビュー

Let'snote R7プレミアムエディション

 パナソニックのモバイルノートPC「Let'snote」シリーズがついにSSDの採用に踏み切った。5月17日に発売される2008年夏モデルでは、同社直販のマイレッツ倶楽部で購入できるシリーズ最上位機種の「Let'snote R7プレミアムエディション」で、HDDの代わりにSSDを選べるようになっている。Let'snote R7は、もともと光学ドライブを内蔵しない1スピンドル構成なので、SSDを選択するとゼロスピンドル構成になるわけだ。

 ボディのデザインに変更は見られず、春モデルで好評を博した100台限定の「プロミネントレッドモデル」が用意されなかったのは少し残念だが、ゼロスピンドル構成のLet'snote Rが登場したのは多くのモバイルノートPC愛好家にとって注目すべきトピックと言える。

 ここではLet'snote R7プレミアムエディションのSSD搭載モデルとHDD搭載モデルを入手できたので、パフォーマンスを中心に比較していこう。なお、いずれも発売前の試作機なので、実際の製品とは一部異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。

ストレージの容量差は“10倍”だが……

 まずは、Let'snote R7プレミアムエディションの仕様だが、ボディのデザインや、CPUの超低電圧版Core 2 Duo U7700(1.33GHz)、Intel GMA X3100グラフィックスコアを統合したIntel GM965 Expressチップセット、1Gバイトのメインメモリ(PC2-4200)といった基本スペックは共通で、プリインストールOS、ストレージ、3色のカラーバリエーションが選択できる。

Let'snote Rプレミアムエディションのラインアップ
ライセンスOS Windows Vista Business(SP1)、Windows XPダウンロード権含む
プリインストールOS Vista Business(SP1) XP(SP2) Vista Business(SP1)
CPU 超低電圧版Core 2 Duo U7700(1.33GHz)
メインメモリ 1GB(最大2GB)
HDD 320GB
SSD 32GB
Intel Turbo Memory
バッテリー駆動時間 約7時間 約8時間
本体サイズ 229(幅)×187(奥行き)×29.4〜42.5(厚さ)ミリ
重量 約0.94キロ 約0.91キロ
本体/キーボード色 ジェットブラック/ブラック
カラー天板 ジェットブラック/スパークリングブラック/ミッドナイトブルー
サポート 3年保証、3年特別保証(無償)
クリニック 購入後1〜3年の間に1回(無償)

 ストレージにSSDを選択すると、重量が30グラム軽い約0.91キロに、バッテリー駆動時間が1時間程度長い約8時間になるのがポイントだ。HDD選択時は高速なフラッシュメモリをPCI Express経由で接続してWindows Vistaの高速化を図るIntel Turbo Memory(1Gバイト)が搭載される。SSD選択時はIntel Turbo Memoryが搭載されないが、これはSSD自体がフラッシュメモリのストレージだからだ。

 Windows Vista Business(SP1)をプリインストールした場合、HDD選択時の価格は25万7750円、SSD選択時の価格は29万4800円と後者のほうが3万7050円高くなる。HDDの容量は320Gバイト、SSDの容量は32Gバイトと10倍の容量差があることも考慮すると、SSDを選ぶことによるパフォーマンスの向上がどれくらいあるのかが気になるところだが、Let'snote Rプレミアムエディションが採用したSSDは信頼性と性能面で有利なSLCタイプのNANDフラッシュメモリを使っているので、この点は期待できる。

 SSDで使われるNANDフラッシュメモリは、1つのセルに1ビットを記録するSLC(Single Level Cell)と、1つのセルに2ビットを記録するMLC(Multi Level Cell)の2タイプがある。当然、MLCのほうがコストパフォーマンスで有利になるが、MLCは書き換え限界回数が一般に1万回程度でパフォーマンス面もSSDとしては見劣りする。一方、SLCは書き換え限界回数が一般に10万回程度で、構造上パフォーマンス面でも優位に立つ。

 昨今はより大容量のSSDを搭載したモバイルノートPCも存在するため、32GバイトというSSDの容量は後発の割に小さい印象だが、価格を上げすぎずに信頼性と性能面の両立を図るため、パナソニックはあえてSLCタイプの32GバイトSSDを採用したわけだ。ちなみに、東芝のdynabook SS RX1は、最新モデルで128Gバイトの大容量SSDを採用しているが、こちらはMLCタイプになる。

SSD搭載時のデバイスマネージャ画面。SSDはサムスン電子製(SAMSUNG MCBQE32G5MPP-0VA)だった

HDD搭載時のデバイスマネージャ。HDDは富士通製の5400rpmドライブ(FUJITSU MHZ2320BH G1)だった。こちらはIntel Turbo Memoryも搭載している

 ボディのデザインをはじめ、10.4インチスクエア型の液晶ディスプレイ、キーボードやタッチパッドの操作性、インタフェース回りなどは従来機と同様なので今回はレビューを割愛するが、もちろん、Let'snoteのウリである“タフボディ”は健在だ。天板への100kgf加圧振動試験、動作時76センチ落下試験(底面)、非動作時30センチ落下試験(26方向)をクリアしたボディは、1キロを切る軽さでありながら、ヤワな印象がない。全面防滴のキーボードを採用しているのも隠れた魅力と言える。

今回入手した機材のカラーは、つや消し黒のジェットブラックだったが、光沢黒のスパーリングブラック、光沢青のミッドナイトブルーも選択できる(写真=左)。1024×768ドット表示の10.4インチ液晶ディスプレイは非光沢処理で、外光の映り込みが少ない一方、Windows Vistaのデスクトップ画面は少し狭く感じる(写真=中央)。キーボードと円形タッチパッドは従来モデルと同様で、BIOSセットアップからキーボード左下にあるFnと左Ctrlキーのキーアサインを交換できる(写真=右)

前面にはヘッドフォン、マイク、SDメモリーカードスロット(SDHC対応)、IEEE802.11a/g/bの無線LANスイッチを用意(写真=左)。背面にはリチウムイオンバッテリーと冷却ファンがある(写真=右)

左側面にはACアダプタ接続用のDC入力、アナログRGB出力、オプションのポートリプリケータ接続用の各コネクタ、TypeII×1のPCカードスロットが並ぶ(写真=左)。右側面には、1000BASE-Tの有線LAN、FAXモデム、2基のUSB 2.0ポートが配置されている(写真=右)。アナログRGB出力は、ディスプレイケーブル脱落防止用の6角ネジを備えている

 それでは、次のページからはSSD搭載機とHDD搭載機のパフォーマンスをじっくり比較していこう。

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