一方、自作PC業界では4月もハイスペックなCPUの新製品ラッシュが続いている。インテルは、3月末に投入した「Core 2 Quad Q9550/Q9450/Q9300」の品薄傾向が続いているが、個人向けでは最高性能の「Core 2 Extreme QX9770」を4月初旬にリリース。16万円前後の高級モデルながら、2008年のトレンドとなっている45ナノプロセスCPUとあって、入荷日に売り切れるショップが相次ぐほどの好調ぶりだった。
また、長らく品薄が続いていたCore 2 Duo E8xxxシリーズはゴールデンウィーク前に入荷状況が改善し、現在は比較的入手しやすくなっている。
対するAMDは、エラッタを解消したPhenomの新シリーズ「Phenom X4/X3」を投入。まずは4月初旬に「Phenom X4 9850 Black Edition」と「Phenom X4 9750」を発売し、ハイスペックCPUのシェア奪還をめざした。
最上位のPhenom X4 9850 Black Editionは2.5GHz動作のクアッドコアで、初回から3万円前後の低価格で店頭に並んでおり、熱心なAMDユーザーに好評な様子だった。パソコンショップ・アークは「オーバークロック志向の人に人気ですね。CPU全体ではインテルに大きく水を開けられていますが、その差を縮める方向に動いているのは確かです」と語る。
また、26日にはトリプルコアの「Phenom X3 8750/8650/8450」が登場した。最上位の8750が2万2000円前後という価格設定で、デュアルコアのAthlon X2とクアッドコアのPhenom X4の中間的なラインアップとなる。入荷前後の反応はイマイチで、いくつかのショップからは「中途半端なコア数だけど、何に使うの?」といった疑問さえ飛び出す状況だった。
しかし、X3発売当日に行われたAMD主催イベント「X3登場! ゴールデンウィーク“nagara”スペシャルイベント」では、ショップの疑問に答えるように、3コアを有効活用したデモを実施。タスクマネージャ上でコアの振り分けを行い、3コアのうち1コアを地デジチューナーに割り当て、残りを通常のPC処理用として、複数の操作を同時に行った。並行した処理が高負荷であっても、1コア占有の地デジ側は影響を受けずに快適な動作をしており、“兄貴”こと土居憲太郎氏は「3コアなら、地デジを追加しても、1コアを割り当てることで、残りは従来通りのデュアルコアで処理できます」と語り、トリプルコアのメリットをアピールした。
この提案がどれだけのユーザーに届いたのか。それはゴールデンウィーク以降の売れ行きが示してくれるだろう。
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