nForce 780a SLIで使える「GeForce Boost」ってなに?イマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年05月07日 14時30分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

 NVIDIAが2008年1月に発表したAMD向けの統合型チップセットである「nForce 780a SLI」を搭載した製品が、まもなくOEMメーカー各社からリリースされる。nForce 780a SLIは、AMD向けのチップセットとしては初めて3-way NVIDIA SLIをサポートするほか、DirectX 10に対応した内蔵グラフィクスコアを備えている。この内蔵グラフィックスコアを利用することで、「Hybrid SLI」と呼ばれる内蔵グラフィックスコアと外付けのグラフィックスカードを切り替えて省電力を実現したり、両方を連動させて3D描画を行う機能を実現したりしている。今回はHybrid SLIで提供されているこれらの機能のうち、「GeForce Boost」と呼ばれる内蔵グラフィクスコアと外付けグラフィックスカードの連動機能を試してみた。

AMDプラットフォームで3-way NVIDIA SLIやHybrid SLIが使えるnForce 780a SLI

 NVIDIAのnForce 780a SLIはAMDプラットフォーム向けのチップセットで、2008年の1月にラスベガスで開催されたInternational CESの期間中に発表された。その後、製品のリリースが待たれている状況だったが、ようやくOEMメーカーの出荷準備も整い、まもなく製品がリリースされる見込みだ。

 nForce 780a SLIは「nForce 780a SLI MCP」(開発コード名は“MCP72”)と「nForce 200」というPCI Expressスイッチの2チップ構成になっている。基本的にはnForce 780a SLI MCPというDirectX 10対応のGPUが統合された1チップのチップセットがあり、そのPCI Express x16(Gen.2)にnForce 200が接続されて、32レーンのPCI Expressが利用できるようになっている。なお、nForce 200に接続する32レーンは、Gen.2の「1つのx16、2つのx8」という構成やGen2の「2つのx16」という形で分割可能で、マザーボードに搭載される3本のx16対応物理スロットを利用して、最高で3枚のGeForceシリーズを組み込んで3-way NVIDIA SLIを構築できる。

 nForce 780a SLIでNVIDIA SLIが利用できるようになったことにより、AMD対応チップセットでNVIDIA SLIを利用したいPCゲームユーザーには大きなメリットとなる。さらに、統合されたグラフィックスコアが、GeForce 8世代でDirectX 10に対応していることも特徴として挙げられるだろう。動画再生支援機能も最新世代のPureVideo HDに対応しているので、MPEG4 AVCとVC-1のハードウェアデコードが可能だ。そして、nForce 780a SLIの機能として注目されるのが、Hybrid SLIと呼ばれる機能だ。

「GeForce Boost」+「Hybrid Power」=Hybrid SLI

 Hybrid SLIには大きく2つの機能が用意されている。1つが「GeForce Boost」で、もう1つが「Hybrid Power」だ。GeForce Boostの機能では、nForce 780a SLIに内蔵されているグラフィックスコアと、PCI Express x16スロットに組み込まれた外付けのグラフィックスカードにあるGPUでNVIDIA SLIとして動作し、システムの3D描画性能を向上させる。従来の統合型チップセットでは、外付けのグラフィックスカードを組み込んだ場合、内蔵グラフィックスコアは無効になって利用できなかったが、Hybrid Boostでは、そういう「無駄になっていた内蔵グラフィックスコア」も外付けGPUと一緒に利用する。

 GeForce Boostを利用するには、この機能に対応する内蔵グラフィックスコアを持った統合型チップセットと、同じくこの機能に対応する外付けGPUが必要になる。NVIDIAが明らかにしている対応チップセットとGPUは以下のようになる。

チップセット 単体型GPU 追加後のGPUブランド
nForce 780a SLI GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500
nForce 750a SLI GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500
nForce 730a GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500
nForce 720a GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500
GeForce 8300 GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500
GeForce 8200 GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500
GeForce 8100 GeForce 8500 GT GeForce 8600
GeForce 8400 GS GeForce 8500

 GeForce Boostをサポートするのは“MCP72”、または“MCP78”の開発コード名で知られる「nForce 700a」シリーズ、もしくは「GeForce 8x00」のブランド名がついたAMD向けの統合型チップセットで、GPUは「GeForce 8500 GT」、または「GeForce 8400 GS」となる。この組み合わせで、GeForce Boostに対応したグラフィックスドライバをシステムに適用すると、内蔵グラフィックスコアとGeForce 8500 GTの組み合わせなら「GeForce 8600」に、内蔵グラフィックスコアとGeForce 8400 GSなら「GeForce 8500」と、それぞれブランド名が格上げされる。実際に、デバイスマネージャでも、nForce 780a SLI+GeForce 8500 GTを組み合わせたシステムでは、GPUの名前が「GeForce 8600」と表示される。

nForce 780a SLIに内蔵されているグラフィックスコアの詳細についてNVIDIAは明らかにしていない。Hybrid SLIを有効にした状態でデバイスマネージャを確認すると「GeForce 8200+GeForce 8500=GeForce 8600」という表示がされている

 Hybrid Powerは、GeForce 9800シリーズのGPU(GeForce 9800 GX2、またはGeForce 9800 GTX)が対応する。重たい3D描画を行うときには外付けGPUに電力を供給し、そうでないときには内蔵グラフィックスコアだけに電力を供給して外付けGPUの供給電力を止めることで、3Dゲームにおける性能を犠牲にすることなく省電力を実現できるのが特徴だ(詳細と検証結果は後日紹介する予定だ)。

ASUS「M3N-HT Deluxe」でnForce 780a SLIの実力を試す

 今回の評価作業では、nForce 780a SLIを搭載するATXマザーボードとしてASUSの「M3N-HT Deluxe」と、GeForce 8500 GTを搭載したグラフィックスカードを利用してGeForce Boostによる性能向上を確認していきたい。利用したベンチマークテストは3DMark06とCrysis、Doom3で、あわせて消費電力(アイドル状態、3DMark06 Game1動作状態)を計測してみた。

CPU Phenom 9600
チップセット nForce 780a SLI
マザーボード M3N-HT DELUXE
メモリ DDR2-1066
容量 2GB
標準解像度 1280×1024ドット/32ビットカラー
HDD HGST HDT725050VLA
ファイルフォーマット NTFS
OS Windows Vista Ultimate SP1

評価に用いたASUSのnForce 780aマザーボード「M3N-HT DELUXE」
バックパネルに用意されたインタフェースには、キーボード用のPS/2が残されている一方で、eSATA、そして、アナログRGBとともにHDMIが用意されている
M3N-HT DELUXEのパッケージには、別パーツになっているメモリヒートシンクが標準で付属する。ノースブリッジに重ねて取り付けるジャケットとヒートパイプでつながったメモリ用ヒートシンクが2スロット分利用できる

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