発表会では、同社 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 挽野 元氏が「ビジネスにもインクジェットを」(Inkjet for small office)をテーマに、ビジネス向けプリンタの販売状況や同社の戦略を述べた。
同社のプリンティング事業は、従来からツインタワー戦略をとっているが、今回の新製品は「ボリュームビジネスタワー」の中核をなすスモールビジネス事業に該当する。挽野氏は「日本HPがビジネス向けインクジェットプリンタ市場に本格参入して約3年が経過し、販売台数は当初の約6倍になり、非常に手応えを感じている」と述べた。
一方、これまでのユーザーにアンケートを行ったところ、「プリンタ本体の価格やランニングコストを特に重視していることが分かった」とし、「家庭向けインクジェットプリンタをオフィスで使うには、インクや給紙容量が少なく、耐久性の面でも不安、レーザープリンタはプリンタ自体やランニングコストが高く、ユーザーのニーズがなかなか満たされにくい現状が浮き彫りになった」と説明。「その溝を埋めるのがビジネス向けインクジェットプリンタであり、市場規模のポテンシャルは100万台になるだろう」と予測。「本日発表の新製品は、ユーザーの不満を解消するとともに、さらなるTCO削減を実現した最強のプロダクトであり、あらゆる販売チャンネルを駆使して展開する」とアピールした。
また、「他社がビジネス向けインクジェットプリンタに参入し始めているが、市場の活性化、市場の伸びが図れるのでHPとしては歓迎している。豊富な製品ラインアップを展開していること、ハードウェアだけでなくソフトウェアを組み合わせてユーザーに適したソリューションを展開できることで差別化が図れる」と自信をのぞかせた。
続いて、同社イメージング・プリンティング事業統括 ボリュームビジネス本部 本部長 竹田芳浩氏が登壇し、新製品の概要を語った。
「HPはワールドワイドで全20機種、日本では16機種ほどのビジネス向けインクジェットプリンタを展開してきた。日本での売れ筋や実績、ユーザーアンケートを詳細に分析した結果が、今回投入する4つのプロダクトだ」と述べた。
新製品の中でも、通常の据え置き型プリンタと同じ大容量インクを使え、カラーあるいはブラックインクが切れてもプリントアウトが可能なモバイルプリンタ「HP Officejet H470」と、A3プリンタとしては初めて有線LANとA3の自動両面印刷に対応した「HP Officejet Pro K8600dn」の独自性をアピールしつつ、「小さいものから大きいものまで、ビジネス向けインクジェットプリンタを豊富にラインアップしているのはHPだけだ」と主張した。
また、HP製ビジネス向けインクジェットプリンタを使うことでTCOの削減を図れる点について述べた。具体的には、低ランニングコストのプリンタや両面印刷機能をサポートした新製品を使うとともに、プリンタドライバでインク量をコントロールしてインク消費を約25%削減したり、「HP Smart Web Printing」や「Fine Print5」といったソフトウェアを使うことで、余分な印刷を省いてランニングコストを約35%を減らせたりと、ハードウェアとソフトウェアの両面からアプローチすることにより、3年間の使用コストが半減する(インクと紙代を1枚約9円、1カ月で1000枚プリントアウトした場合)という試算を示した。
竹田氏は最後に、「新製品は全国のSOHO/小規模オフィスの方々にも買いやすくするため、直販チャンネルのHP Directplusだけでなく、ヨドバシカメラやビックカメラなど全国の量販店、販売代理店といったすべてのチャンネルで展開して販売強化を図る」とまとめた。
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