ユニットの認識範囲は意外と広く、ユニット正面は180度近くまで正確に筆跡をとらえた。ただ、デジタルペンのスリットを指でふさいだり、本体ユニットとの間を遮ったりしてはいけない。例えばユーザーが右利きの場合は、用紙の左上にユニットを取り付けるといい。
机の上にあるメモ用紙とPCの画面を比較してほしい。かなり高い精度で筆跡を再現できており、正直ちょっと驚いた。
さらにNoteTakerのメニューから「テキストに変換」を選択すると、付属のOCRソフト「MyScript Notes Lite」が立ち上がり、手書きメモをテキスト化してくれる。今回は、余分な線を入れた「+D」が「十日」になってしまったものの、そのほかは正確に認識された。写真を見れば分かるように、決してうまい字ではない。なお説明書によると、テキスト変換を前提にしたメモの場合は“文字の高さをそろえる”と正しく認識されやすいという。
MVPenがかなりの精度を見せてくれたので、次はよりシビアな“絵”に挑戦してみよう。早速、自称“漫画家の卵”のY記者を呼び出してデジタルペンを持たせる。「なぜ漫画家の卵が記者をしている?」というツッコミはさておき、クリエイターが自分で描いた絵と直接比較するのだから評価は厳しいはずだ。文字なら少々のズレは許されるが、漫画で顔のパーツがズレたりしたら大ごとである。
さらさらと2枚の絵を描き終えたY記者の評価は「結構イケますよ」。もちろん感圧式タブレットと違って筆圧を表現することはできないし、定規で測ったら少々のズレはあるかもしれない。しかしMVPenは、漫画家(の卵)をとりあえず満足させた様子だ。
作成した手書きメモは、前述のNoteTaker Ver.3で管理できる。ユニット単体でメモした場合(モバイルモード)は、PCにUSB接続するだけで自動アップロード。NoteTakerの管理画面では「マイノート」下にある「モバイルノート」に登録される。フォルダ内は作成日時によってフォルダ分けされているため、目的のメモを見つけるのは容易だ。
デジタルデータになったメモは、紙に書いたメモより遙かに柔軟に活用できる。例えばNoteTakerから、メモを“付せん”の形でデスクトップに貼ったり、MyScript Notes Liteを使ってプレーンテキストやWordのリッチテキストとして出力したり。ボタンひとつでメールソフトを起動して、新規メールの本文にするといった機能も用意されている。
MVPenを使うメリットは、やはり手軽さだろう。単に手書き文書をデジタル化するだけなら、タブレットやスキャナもあるが、MVPenはコンパクトだ。例えばノートPCを広げにくいような会議や講義の場でも持ち込める。また急いで文書をデジタル化したいときなどは、使い慣れたボールペンと紙の感触がありがたいと思う。
ビジネスユースからリポートの作成まで、アイデア次第で幅広く活用できそうなMVPen。販売ルートを少し間違えちゃったようだが、実用的なアイテムであることに間違いない。
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