今回発表されたTegraファミリーは「Tegra 650」、「Tegra 600」、「Tegra APX 2500」の3モデルで、いずれも1つのチップにプロセッサ、メモリ、イメージング、サウンド、3Dアクセラレーションも可能なGPU(1部のモデルを除く)を統合しているのが特徴だ。また、プロセッサには、先日発表されたインテルの小型デバイス向けCPUの「Atom」シリーズではなく、従来からある「ARM」ファミリーを採用しているのも注目される。
最上位モデルとなるTegra 650は、800MHzで駆動するARM11を実装する。グラフィックスの機能では、1080pのH.264デコードと720pのH.264エンコードに対応するほか、AAC、AMR、WMA、MP3の音声ファイルを扱う。3Dグラフィックスでは、プログラマブルなPixel ShaderとVertex Shaderをサポートするなど、強力なパフォーマンスを発揮することになっている一方で、省電力設計も最適化が進められており、連続130時間のサウンド再生、もしくは、連続30時間のHDビデオの再生が可能とNVIDIAは説明している。
なお、Tegra APX 2500は、2008年2月にすでに発表されている「APX 2500」で、携帯電話への搭載が想定されているのに対して、Tegra 650とその下位モデルになるTegra 600は、小型デバイスへの搭載を考えてデザインされている。
Tegra 650 | Tegra 600 | Tegra APX 2500 | |
---|---|---|---|
Processor | ARM MPCore/800MHz | ARM MPCore/700MHz | ARM MPCore |
AudioVideo Processor | 1080p H.264 decode | 720p H.264/VC-1/WMV9 decode | 720p H.264/VC-1/WMV9 decode |
720p H.264 Encode | 720p H.264 Encode | 720p H.264 Encode | |
Ultra Low Power GeForce | Programmable Pixel Shader | Programmable Pixel Shader | Programmable Pixel Shader |
Programmable Vertex Shader | Programmable Vertex Shader | Programmable Vertex Shader | |
3D/2D Graphics | 3D/2D Graphics | 2D Graphics、Direct3D Mobile | |
nPower Technology | 連続音声再生130時間 | 連続音声再生100時間 | 連続音声再生100時間(携帯電話) |
連続HD動画再生30時間 | 連続HD動画再生10時間 | 連続HD動画再生10時間(携帯電話) | |
インテルがCentrino Atomを紹介するときに、ARMに比べて消費電力は確かに多くなるが、ソフトウェアの挙動などでx86対応システムとの互換性が高く、ARMを搭載したデバイスで表示されないWebページもCentrino Atomなら問題ないというメリットを実際に調査したデータとともにアピールしていた。
この“反論”としてNVIDIAが説明会で示したのは、ARMを搭載するNokia N810とx86のCPUを搭載するPCのそれぞれで、Flash 9をサポートしないWebブラウザを導入した場合とFlash 9をサポートするOperaを導入した場合とにおけるWebページの表示テストを行った調査の結果だった。
Flash 9をサポートしないWebブラウザでは、N810でもPCでも同程度のエラーが出現した一方で、Flash 9をサポートするWebブラウザを導入したテストでは、表示できないWebページが“どちらも”なかったと報告されている。Webブラウザの機能を同じくすれば、インテルがいうように「ARMは互換性において不利」ということはないというのが、NVIDIAの言わんとするところだ。
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