SSD搭載で圧倒的な性能を――「Endeavor NA104」を検証する価格に見合う?(1/2 ページ)

» 2008年06月20日 17時19分 公開
[兼子忍,ITmedia]

 エプソンダイレクトの「Endeavor NA104」は、軽さと頑丈さ、長時間のバッテリー駆動という、モバイルシーンでPCを活用するために不可欠な要素をすべて満たしたB5ファイルサイズのノートPCだ。

 Celeron Mを搭載した最小構成モデルなら、11万9490円とリーズナブルに購入できるほか、BTOオプションにはHDDに代わる新たなストレージデバイスとして注目が集まるSSDも用意。モバイルノートPCを初めて購入する人だけでなく、より快適な動作を求める上級者にも強くアピールする製品となっている。なお、本体カラーはビジネスシーンで違和感なく利用できるブラック&シルバーと、プライベート用途にマッチするパールホワイトの2色が用意されている。

 今回試用した評価機は、CPUに超低電圧版のCore 2 Duo U7600(1.20GHz)を採用し、1Gバイトのメモリ(PC2-4200)とDVDスーパーマルチドライブ、IEEE802.11a/b/g準拠の無線LAN機能を搭載したモデルだ。快適な操作性を実現する性能と機能を備えたパーツ構成と言える。その中でも特に注目したいのが、HDDの代わりとしてNADA型フラッシュメモリを記録媒体に採用した、64GバイトのSSDを搭載した点。このあたりの性能を中心に評価していこう。

 SSDには(機械的な)可動部分がないため、万が一本体を落下させたり、持ち運びの最中に強い衝撃が加わった場合でも、記録したデータが破損しにくいというメリットがある。また、動作中の騒音も完全に無音であるのも特筆できるポイントだ。さらに消費電力もHDDに比べて低く、より長時間のバッテリー駆動を実現できることから、本機のようなモバイルノートPCのストレージデバイスとして高い適正を持つ。

リード/ライトの両方でHDDを圧倒するSLCタイプのSSDを採用

SAMSUNG製64GバイトSSD「MCCOE64G5MPP-0VA」を搭載

 SSDの最大の特徴は、読み込み速度がHDDに比べて圧倒的に高速であるという点だ。PC上で何らかのソフトウェアを起動する際は、必ずHDDからメモリへのファイルの読み込みが行なわれるが、SSDを採用した本機なら通常のHDD搭載モデルに比べファイルの読み込み時間を大幅に短縮でき、体感でもはっきりと分かるほどのパフォーマンスの向上を見込める。

 また評価機には、1つのメモリセルに1ビットのデータを記録する「SLC」(Single Level Cell)タイプのSSDが搭載されていた。SLCタイプのSSDは、大容量化が難しい半面、データ書き込み速度を高速化できるという特徴がある。また、信頼性(書き換え可能回数)もMLC(Multi Level Cell)に比べて高い。

 評価機のSamsung製SSD「MCCOE64G5MPP」の公称アクセス速度(シーケンシャル)は、リード100Mバイト/秒、ライト80Mバイト/秒。いずれも、平均的な2.5インチSATA HDDのシーケンシャルリード、ライト速度である60Mバイト/秒を大きく上回っており、アクセスが発生するすべての状況において、本機は通常のHDD搭載ノートPCより高いレスポンスを得られるというわけだ。

 ただし、BTOメニューでのSSDの価格は、容量が64Gバイトにもかかわらず9万9750円と、最も安価な80GバイトHDDの10倍以上にまで達する。性能や堅牢性に関しては非常に魅力的だが、コストパフォーマンスを重視する人にとっては、ハードルが高い選択肢であるのも確かだ。

 なお、ストレージデバイスとして、64GバイトSSDのほかに80〜200GバイトのHDDを選べるし、DVDへの書き込み機能が不要と割り切れるなら、光学ドライブをコンボドライブに変更して、若干ながら価格を引き下げることも可能だ。さらに、企業向けの選択肢として、光学ドライブ非搭載という構成も選択できる(この場合、ドライブベイにはウェイトセーバーが内蔵される)。

 このほか、無線通信機能は標準構成では未搭載だが、IEEE802.11a/g/b準拠の無線LAN機能を追加できる。また、Bluetooth(Ver2.0+EDR)モジュールを追加すれば、マウスを初めとする周辺機器の接続までワイヤレス化できるので、電源ケーブルを取り外すだけで本機を屋外に持ち出すことが可能になる。

モバイルに耐えるマグネシウム合金製ボディ

 本体は天面と底面、キーボード周囲の3ヶ所にマグネシウム合金を採用し、約150kgfの天面加重に耐える堅牢性を実現する。さらに、天面に凸型のプレス加工を施して液晶パネル部の剛性を強化することにより、人ごみで圧迫される通勤/通学時の満員電車にも安心して持ち込める頑丈さを獲得した。

 バッテリーには、最大約7.1時間の駆動に対応する標準バッテリ(7800mAh)のほか、駆動時間は約4.7時間に限られるものの、本体重量を約1.2kgに抑えられる軽量タイプ(5200mAh)と、約1.6kgの本体重量で約13.1時間の駆動が可能な長時間タイプ(13000mAh)の3種類を用意している(駆動時間はいずれもWindows Vista選択時)。ユーザーの使い方に応じて、柔軟に選択できるのはうれしい。

 各種コネクタ類は、ボディサイズを反映して数こそ最小限に近いものの、USB 2.0を左側に1基、右側に2基搭載するほか、左側手前にPCカードスロット(TypeII)とメモリカードスロット(SD/SDHC/MMC、メモリースティック)、右側手前にマイク入力端子とヘッドフォン出力端子を装備し、使い勝手も十分に考えられた配置になっている。またアナログRGB出力に外部ディスプレイを接続すれば、内蔵の液晶と組み合わせてデュアルディスプレイ環境を構築することが可能だ。

タイピングしやすいキーボードとノングレアの液晶

キーピッチ17.7ミリ/ストローク2ミリの85キーボード

 キーボードは横方向のピッチが17.7ミリと、B5ファイルサイズのノートPCとしては標準的な広さだ。配列はカーソルキーが周辺のキーと密接し、小さな右Shiftキーとの押し間違えに気を配る必要があるものの、不規則なピッチは見られず、タッチタイプも楽に行なえる。キーストロークは約2ミリとさほど深くはないが、軽めのタッチで確実にキーをタイプできるため、長時間タイピングしても疲労を感じにくい。

 左Ctrlキーの外側にはFnキーが置かれるが、BIOSからレイアウトを入れ替えることができるので、使い慣れたデスクトップPC用キーボードに近い使い勝手を得られるのもポイントだろう。また、Enterキーといった端にあるキーをタイプした際に、ボディと指が接触しないよう、キーボード両側のフレーム部を掘り下げるなど、使い勝手を向上する細かな工夫も盛り込まれている。

 タッチパッドはスクロール用ボタンを持たない2ボタン型で、操作面、ボタンともに小さいが、ボタンは歯切れのよいクリック感があるので、こちらも操作性に不満は感じなかった。

 液晶ディスプレイは、1024×768ドット表示のスクエアタイプと、現在主流のモバイルノートPCと比べて広いとはいえない。また、輝度を最大に設定しても明るさは不足気味で、視野角も上下/左右の全方向でやや狭く感じた。なお、液晶パネルの表面にはノングレア処理が施されているので、強い光源の下でも比較的良好な視認性を得ることができた。

 モバイルノートPCに必須となったセキュリティ機能は、右側のパームレストに内蔵された指紋認証センサと、TCG V1.2準拠のセキュリティチップ、BIOSレベルでHDD/SSDの内容を暗号化できるパスワード機能を搭載することで、第三者の意図しないログインや、盗難、紛失による情報の流出を防止する。なお、指紋認証ユーティリティはストレージ内にイメージとして格納され、(購入直後の状態ではインストールされていないが)付属のリカバリツールを使って簡単にインストールできる。

1024×768ドット表示の液晶ディスプレイを搭載する(写真=左)。右パームレストに指紋センサを装備(写真=右)

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