Atom搭載の“新世代Eee PC日本版”を速攻で使い倒す1万円増しの価値はあるか!?(2/5 ページ)

» 2008年07月11日 15時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

IEEE802.11n+Bluetoothの追加でネットワーク環境は盤石

 外部インタフェースのレイアウトに変更はない。本体の左右に、合計3基のUSB 2.0ポート、有線LAN、アナログRGB出力、ヘッドフォン、マイクの端子と、SDメモリーカード(SDHC対応)/MMCスロットが並ぶ。USBポートは右側面に2基、左側面に1基あるため、状況に応じて無理なく左右のポートを使い分けられる。右側面のカードスロットは従来同様、カード装着時に端が飛び出さず、完全に収納されるので、カードを装着した状態で本体を持ち運びやすい。

前面(写真=左)と背面(写真=右)にインタフェースは一切なく、シンプルにまとまっている

左側面には100BASE-TXの有線LAN、1基のUSB 2.0、ヘッドフォン、マイクの端子を用意(写真=左)。右側面にSDメモリーカード(SDHC対応)/MMCスロットと2基のUSB 2.0、アナログRGB出力が並ぶ(写真=右)

Webカメラは130万画素に高画素化した

 ちなみに、内蔵のWebカメラは30万画素から130万画素に高画素化したほか、内蔵のステレオスピーカーは5.1チャンネル音声を擬似的にステレオで再現できる「ドルビーサウンドルーム」機能に対応、内蔵マイクも集音性で有利なアレイマイクとなった。あまり目立たない部分も着実にスペックアップしているのには感心させられる。

 拡張性で見逃せないのが、ネットワーク機能の進化だ。100BASE-TXの有線LANこそEee PC 4G-Xと同じだが、無線LAN機能はIEEE802.11b/gからIEEE802.11b/g/n(11nはドラフト2.0)に高速化し、さらにBluetooth 2.0+EDRまで追加されている。

 USBポートを1基占有するようなことをしなくても、Bluetoothが最初から使えるのは便利だと感じるユーザーは少なくないだろう。低価格のミニノートPCながら、これだけ充実したネットワーク機能は立派で、Atom搭載のライバル機に優位性を示せる部分だ。

独自の省電力機能でバッテリー駆動を長時間化

 モバイルPCでネットワーク機能とともに重視されるバッテリー性能も大きく向上した。その駆動時間は約8.3時間、充電時間は約3.5時間をうたっており、従来の約3〜3.2時間駆動から2.5倍以上も数値を延ばしている。低価格のミニノートPCで8時間を超えるバッテリー駆動時間をうたう製品はほかに見あたらず、ちょっと驚きの数字だ。

 長時間駆動が可能になった要因としては、CPUがCeleron M 353(630MHz駆動)から省電力設計のAtom N270(1.6GHz)に移行したことに加えて、付属のリチウムイオンバッテリーの容量が7.4ボルト 5200mAh(Eee PC 4G-XUは7.4ボルト 4400mAh)から7.4ボルト 6600mAhに増量したこと、そして「Super Hybrid Engine」という独自の省電力技術を搭載したことが挙げられる。

キーボード上部にある左から3番目のワンタッチボタンを押すと、画面上に「Power Saving」などの設定が表示され、動作モードが切り替わる

 Super Hybrid Engineとは、CPUの動作周波数や電圧を調整することで最大15%の消費電力を削減できるという技術だ。キーボード上部のワンタッチボタン(左から3番目)を押すことで、Super Performance、High Performance、Power Saving、Auto Modeといった動作モードを状況に応じて切り替えながら利用することが可能だ。実際のバッテリー駆動時間の検証は後述する。

 付属のACアダプタは、コンセントに直接つなぐウォールマウントタイプから通常の電源ケーブル分離型に変更された。突起部を含めない実測でのサイズは35(幅)×85(奥行き)×26(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの重量は約213グラムと小型軽量で、本体とともに携帯してもじゃまにならないサイズだ。

 従来のACアダプタは、突起部を含めない実測でのサイズが35(幅)×78(奥行き)×57(高さ)ミリ、重量は約167グラムとさらに小型軽量だったが、ウォールマウントタイプなので、隣接したコンセントと干渉しないように注意が必要だった。使い勝手のよさでは、新タイプのACアダプタに軍配が上がる。

バッテリーは背面に装着、ACアダプタは形状が変更になった(写真=左)。左がEee PC 901-Xのバッテリーで容量は7.4ボルト 6600mAh、右がEee PC 4G-XUのもので容量は7.4ボルト 4400mAhだ(写真=中央)。従来モデルに付属していたウォールマウントタイプのACアダプタ(写真=右)

より大きく高解像度になった液晶ディスプレイ

1024×600ドット表示の8.9型ワイド液晶ディスプレイはノングレアタイプで、外光の映り込みが小さい

 一目見て、その進化ぶりが分かるのが液晶ディスプレイだ。Eee PC 4G-Xは800×480ドット表示の7型ワイドパネルだったが、Eee PC 901-Xでは1024×600ドット表示の8.9型ワイドパネルに変更され、解像度、画面サイズともにワンランク上に引き上げられた。

 液晶のフレーム部の面積が減って、見た目が普通のモバイルノートPCらしくなったうえ、Webブラウザやアプリケーション、OSの基本操作といった全般的な動作時の視認性が高まっている。単純に、アプリケーションのダイアログが画面からはみ出してしまったり、Webブラウザで水平と垂直のスクロールを同時にしながらページを見るようなシーンが減るだけでもありがたい。

 さらに、キーボード上部のワンタッチボタン(左から2番目)を押すことで、画面の解像度を4パターン(800×600ドット/1024×600ドット/1024×768ドット通常/1024×768ドット圧縮)に切り替えられるのは重宝する。「1024×768ドット通常」の設定では、画面が168ドットぶん上下にスクロールする仕組みだが、「1024×768ドット圧縮」の設定では、アスペクト比を無視して縦768ドットの解像度を縦600ドット表示の液晶パネルに圧縮して表示する。

高解像度になったおかげで、Webページの一覧性が高まった(写真=左)。「1024×768ドット圧縮」の設定は、縦方向がつぶれた表示になるが、縦768ドットの解像度が縦600ドットの画面におさまる(写真=中央)。「1024×768ドット通常」の設定では、アスペクト比が維持されるものの、168ドットぶんが画面からはみ出すので、上下にスクロールしながらの操作が必要になる(写真=右)

液晶の角度は、従来より少しだけ開くようになった

 1024×768ドット圧縮は当然、アスペクト比は崩れて縦方向が少しつぶれた表示になってしまうが、通常のXGA(1024×768ドット)ディスプレイに近い感覚で扱えるので、表示品質よりも解像度を重視したい作業などでは試してみるといいだろう。

 Eee PC 4G-Xは、液晶ディスプレイが180度まで開かないため、ひざの上にノートPCを載せて作業する場合など、かなり上から画面を見下ろす姿勢では、チルト角度を調整できず、上下方向の視野角の狭さが目立ちやすかった。しかし、Eee PC 901-Xでは液晶ディスプレイの開く角度が少し広がり、視野角も改善されたので、コントラストや色度の変化があまり気にならない。

 また、輝度は十分確保されており、発色も高い彩度の色が出るようになったことから、映像コンテンツの視聴では臨場感が増した。画面サイズ、解像度、表示品質と全般的なディスプレイ環境の改良は、従来機の画面の狭さにストレスを感じていたユーザーにとって朗報だ。

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