WILLCOM D4が、4月14日の発表から3カ月を経て、7月中旬から出荷を開始する。Atomを搭載したノートPCとしては、すでにASUSの「Eee PC 901-X」や、MSIの「Wind Notebook U100」などが日本でも登場し、日本エイサーからも「Aspire one」が発表されるなど、国内の大手メーカーからこそ登場していないが、ITmediaなどでもその性能や使い勝手を紹介してきている。
ただ、それらのノートPCが「Netbook」と呼ばれる、価格重視の「バリュークラスのノートPC」であったのに対して、WILLCOM D4は、Mobile Internet Device(MID)という、従来のミニノートPCよりもさらに小さい携帯利用を重視した新しいカテゴリーのデバイスであると同時に、インテルの超小型デバイス向けプラットフォーム「Centrino Atom」を採用するなど、NetbookのAtomマシンとはまったく異なる性格も持ったPCとなる。
Centrino Atomを採用したMIDとして最も早く市場に登場した製品であるWILLCOM D4は、これまでVAIO type UやOQO model 02、もっとコアなWibrain「B1」といったミニノートPCユーザーに限らず、W-ZERO3シリーズやEMONSTERといったQWEERTYキー搭載のスマートフォンユーザーなど、携帯重視型デバイスを愛してきた幅広いユーザーが興味を示している。
大いに盛り上がった発表会で明らかになった、親指タイピングにはやや大きめの幅を持つボディサイズや、机において落ち着いて使うにはやや狭いピッチのキーボード、そして、最近になって明らかになったバッテリー駆動時間など、その使い勝手と携帯性能に不安を感じる声も聞こえてくるなか、WILLCOM D4がようやく市場に登場したことになる。
ここでは、出荷開始直後の「ショートショートレビュー」として、WILLCOM D4の本体に用意されたインタフェースを画像を中心に紹介し、Centrino Atomの気になる性能をベンチマークテストで確かめるとともに、気になる消費電力についても液晶ディスプレイの輝度やワイヤレスWANモジュールの設定を変えながら測定してみた。
データ通信の速度やキーボードやタッチパネルなどの入力環境、導入されているオリジナルソフトの使い勝手といった、「MID」としての性能は、後日改めて紹介したい。
WILLCOM D4は、W-ZERO3シリーズ、そして、最近ではEMONSTER、そして、カテゴリー的に競合すると思われるHTC Shiftで採用されているスライドタイプのボディを採用しており、“行軍形態”ではタッチパネルを組み込んだ液晶ディスプレイとその両側に用意されたポインティングデバイスで操作する。この液晶ディスプレイ部分を上にスライドさせるとQWERTYキーボードが姿を現す。アルファベッドキーの多くは均等ピッチになっていて約12ミリ確保されている。
ポインティングデバイスは、液晶ディスプレイのタッチパネルとその両脇にあるタッチパッド式デバイスだけなので、キーボードを使った入力では、タップやクリックのたびに手が移動することになるが、(短い評価期間ではあるが)文字入力が伴わなければ、その操作のほとんどがタッチパッドを使った操作で間に合っているので、特に問題を感じなかった。また、評価用機材のタッチパネルもタッチパッドも追従性が良好だったのでその操作にストレスを感じることもなかった。
本体に用意されているインタフェースは種類が限られている。右側面にスロットやポートはなく、左側面もmicro SDカードスロットがあるだけだ(もう1つ用意されたスロットはW-SIMカードスロットなので拡張性には関与しない)。上側面にはカメラのシャッターボタンに画面の縦横表示切替ボタン、電源ボタンが用意されているほか、平型のヘッドフォンコネクタと電源コネクタがある。スタイラスペンのホルダーとワンセグ用のアンテナも上面右端に設けられている。下面にはHoldスイッチとミニUSB、そしてポートリプリケータと接続する専用コネクタがある。
WILLCOM D4にはワイヤレス接続用として無線LANやワイヤレスWAN、Bluetoothなどが用意されているが、それらのオンオフに使う専用スイッチは本体に設けられていないので、キーボードに用意されたFnキーとのコンビネーションで行うことになる。
WILLCOM D4のスタンドにもなるポートリプリケータには、USB 2.0(4基)やアナログRGB、有線LANがある。その気になれば、キーボードやマウス、外部ディスプレイを接続してWILLCOM D4を使うことも可能だ。また、プロジェクタを利用したプレゼンテーションを行うときにもポートリプリケータが必要になるだろう。
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