店頭向けモデルのVGN-Z70Bは、CPUがCore 2 Duo P9500(2.53GHz)、メインメモリが2Gバイト、データストレージが200GバイトHDD(5400rpm)、光学ドライブがDVDスーパーマルチ、液晶が1366×768ドット表示、OSがWindows Vista Home Premium(SP1)といったスペックだ。HDDの回転数が7200rpmでないのは少し気になるが、実売価格は26万円前後と無難なところにおさまる。
一方、今回入手した直販モデルのVGN-Z90USは、CPUがCore 2 Duo T9600(2.8GHz)、メインメモリが4Gバイト(2Gバイト×2)、データストレージがSSD RAID 0(合計128Gバイト)、光学ドライブがDVDスーパーマルチ、液晶が1600×900ドット表示、OSがWindows Vista Ultimate(SP1)というハイエンドな仕様だった。これに、指紋センサとTPMセキュリティチップ、FeliCaポート、有効31万画素Webカメラを追加した構成で、直販価格は45万4800円と非常に高い。さすがはソニーが“エグゼクティブビジネスパーソン”向けをうたうモバイルノートPCだ。
店頭モデルのスペックと比較した場合の差額は、Core 2 Duo T9600(2.8GHz)が1万6000円、64GバイトSSDを2基搭載してのRAID 0構成が16万4000円、1600×900ドット表示の液晶が1万円だ。そのほか、64GバイトSSDの1基構成は7万5000円、Blu-ray Discドライブは5万円、英字キーボードへの変更は5000円、FOMA HIGH-SPEED対応通信モジュール(受信最大7.2Mbps)の追加は2万円、3パターンのプレミアムデザインが5000円に設定されている(価格はすべて7月22日現在)。
なお、直販モデルのOSはWindows Vista Ultimate/Business/Home Premium(いずれもSP1)から選択できるほか、法人向けカスタマイズモデルに限りWindows XP Professional(SP2)のダウングレード権を利用可能だ。購入時にプリインストールOSとしてWindows XP Professional(SP2)を選ぶこともできる。
今回入手した試作機の主な違い | ||
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製品名 | VGN-Z90US(直販モデル) | VGN-Z70B(店頭モデル) |
OS | Windows Vista Ultimate(SP1) | Windows Vista Home Premium(SP1) |
CPU | Core 2 Duo T9600(2.8GHz) | Core 2 Duo P9500(2.53GHz) |
メインメモリ | 2Gバイト×2(PC3-8500 DDR3 SDRAM) | 2Gバイト×1(PC3-8500 DDR3 SDRAM) |
チップセット | Intel GM45 Express | |
外付けGPU | NVIDIA GeForce 9300M GS | |
外付けGPU使用時グラフィックスメモリ | 256Mバイト | 128Mバイト |
液晶ディスプレイ | 13.1型ワイド(1600×900ドット) | 13.1型ワイド(1366×768ドット) |
データストレージ | 64GバイトSSD×2(RAID 0) | 200GバイトHDD(5400rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ | |
本体サイズ | 314(幅)×210(奥行き)×24.5〜33(高さ)ミリ | |
実測での重量 | 1.393キロ | 1.445キロ |
価格 | 45万4800円(直販価格) | 26万円前後(実売価格) |
冒頭でも簡単に触れたが、type Zが持つ大きな特徴の1つは、パフォーマンスで有利な外付けGPUと消費電力が少なくて済むチップセット内蔵グラフィックスコアを、状況に応じてスイッチ1つで切り替えられる機能を備えていることだ。
これは従来のtype S譲りの機能だが、type Sではグラフィックス機能の切り替え後に再起動が必要だったため、外出先で積極的に利用するのをはばかられることもあった。しかし、type Zでは起動中でも瞬時に切り替え可能な「ダイナミック・ハイブリッドグラフィックス」機能に進化しており、使い勝手が大幅に向上している。
グラフィックス機能の切り替えは簡単だ。キーボード左上の液晶ヒンジ部に切り替え用のスライドスイッチがあるので、外付けGPUを使う場合は「SPEED」モードに、チップセット内蔵グラフィックスを使う場合は「STAMINA」モードにスイッチの位置を合わせればよい。
Windowsの起動中にスイッチを切り替えると、「以下のパフォーマンス設定に切り替えます」というダイアログが表示されるので、その内容に従って起動中のアプリケーションをすべて終了してから、「OK」ボタンを押す。すると、画面が一瞬ブラックアウトした後にグラフィックス機能が切り替わる仕組みだ。試作機における切り替えの所用時間は14秒程度と短く、いったんアプリケーションをすべて終了する必要はあるものの、操作に面倒はない(状況に応じて、切り替え時間は短くなったり、長くなる場合もある)。この仕様であれば、急いでいるときでも利用する気になる。
※記事初出時、グラフィックス切り替え機能の実測値の記載に誤りがありました。おわびして訂正させていただきます。
type Zで本当に驚かされるのは、これほどハイスペックな構成でありながら、本体サイズを314(幅)×210(奥行き)×24.5〜33(高さ)ミリ、重量は直販モデルの最軽量構成で約1.35キロ、店頭モデルで約1.45キロという小型軽量を実現していることだ。今回入手した試作機の本体を実測したところ、直販モデルのVGN-Z90USは1.393キロ、店頭モデルのVGN-Z70Bは1.445キロだった。
type S<プレミアムバージョン>は本体サイズが315(幅)×234.3(奥行き)×21.8〜33(高さ)ミリ、重量は約1.75キロで、モバイルノートPCとしては少々大きく重いイメージがあった。しかし、type Zではフットプリントを約10%、重量を約20%削減することで、携帯性を飛躍的に向上させている。
約1.35キロという重量は、13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載したアップルの「MacBook Air」(約1.35キロ)や、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X300」で光学ドライブを内蔵した場合(約1.42キロ)よりも軽い。特にMacBook Airを意識して、約1.35キロに重量を絞り込んできたのだろう。
これらと比較して、type Zは厚みがかなりあり、画面サイズが13.1型ワイドとわずかに小さいものの、スモールフォームファクタのCore 2 Duoではなく通常電圧版のCore 2 Duoを採用し、外付けGPUや1600×900ドット表示の液晶、SSD RAID 0、Blu-ray Discドライブといったハイスペックなパーツを搭載でき、インタフェースも充実している点で優位に立つ。
堅牢性については、動作時72センチ、非動作時90センチの落下試験をクリアしたほか、加圧振動、一点加圧、衝撃、温度特性、ディスプレイ開閉などの品質試験を行っている。満員電車の車内を想定した、天板からの加圧振動試験の結果は明らかにされていないが、開発時の試験では十分に高いレベルが得られたという。
実際に触ってみたところ、LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイ部は約5ミリと薄いが、天板のカーボン素材を5層から6層構造に強化したこともあり、同じくディスプレイ部が薄いtype Gやtype Tよりも開閉時のたわみは少なかった。
ボディは右手で右側のパームレスト部分を持つと、光学ドライブを内蔵した底面がわずかにへこむ程度で、全体的にしっかりした作りだ。耐久テストの結果は保証対象に含まれるものではないが、小型化と軽量化に注力したからといって、ボディの頑丈さに手を抜いてないのは安心できる。
グラフィックス切り替え機能の搭載や、容量が大きめのリチウムイオンバッテリーを採用することで、長めのバッテリー駆動時間を確保しているのも見逃せない。直販モデルは標準の6セルバッテリー(10.8ボルト 5400mAh)で約7.5〜約11時間、オプションの9セルバッテリー(8100mAh)で約12時間〜約17時間、店頭モデルは標準の6セルバッテリーで約9時間、オプションの9セルバッテリーで約13.5時間の連続駆動をうたう。実際のバッテリー駆動時間については後編でテストする。
一方、ACアダプタは従来のtype Sと同じ19.5ボルト用の「VGP-AC19V25」を使う。かつてのVGP-AC19V10と比較して、容積を約30%ダウン、重量を約100グラム軽量化したACアダプタだが、突起部を含まないサイズは49.5(幅)×121.5(奥行き)×30.2(高さ)ミリ、重量は約320グラム(ケーブル込みの実測での重量は約359グラム)と、モバイルノートPC用にしては少し大きい。せっかく本体を小さく軽くまとめているので、今後はACアダプタももう少し持ち運びやすい形状にしてほしいところだ。
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