「AMD 790GX」でAMDプラットフォームの頂上を目指すイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年08月06日 13時01分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

 AMDから新しいチップセット「AMD 790GX」が発表された。AMDのチップセットラインアップにおいて、AMD 790GXは「AMD 780G」の上位モデル、「AMD 790FX」の下位モデルという立ち位置になる。チップセットにグラフィックスコアとして「Radeon HD 3300」が統合されているほか、外付けのグラフィクスカードのために、PCI Express x16(ただし、使用できるレーンは8本)を2基備えているので、RadeonシリーズでサポートされているマルチGPU技術の「CorssFireX」に対応する。今回は、AMDの最上位CPUとなる「Phenom X4 9950 Black Edition」と組み合わせて、AMD 790GXの性能を検証する。

統合型チップセットなのに本格3DゲームもOKだ

 AMD 790GXの特徴は、「AMD 790FXとAMD780Gのいいとこ取り」と表現できる。それは、スペックを比べてみれば分かるはずだ。

  AMD 790FX AMD 790GX AMD 780G
PCI Expressレーン 40 22 22
PCI Express x16物理スロット 最大4 最大2 最大1
内蔵GPU なし Radeon HD 3300 Radeon HD 3200

 AMD 790FXは最大でPCI Express x16の物理スロットが4基サポートできるため、4-GPUによるCorssFireXの構築が可能だ。これに対して、AMD 780GはPCI Express x16スロットは1本だけ利用できるが、Direct3D 10に対応したRadeon HD 3200をチップセットに統合しているおかげで、動画のハードウェアデコードに対応した「UVD2」を利用できるなど、特に外付けのグラフィックスカードを追加しなくてもHDコンテンツが再生できるPC(AMD的には「AMD HD! Experience」を訴求したいところだ)を低価格で作れるのがポイントとなっている。

 しかし、最初は内蔵GPUを利用していても、将来的にはCrossFireを構築できる最新のグラフィックスカードを追加したい、というようなユーザーにとっては、どちらのチップセットでも要求を満たすことができない。AMD 790FXはCrossFireを構築できるがGPUは内蔵していないし、AMD780GはGPUを内蔵するが、PCI Express x16スロットが1基だけなのでCrossFireは構成できない。

 AMD 790GXでは、AMD780Gに内蔵されていたRadeon HD 3200の上位モデルとなる「Radeon HD 3300」が内蔵されており、PCI Express x16スロットも利用できるレーンはx8ながら2基サポートするようになった。これなら、最初は内蔵GPUを利用しながら、将来的にはRadeon HDシリーズのグラフィックスカードを2枚追加してCorssFireを構成したいユーザーでも問題ない。

コアクロックが引き上げられたRadeon HD 3300

 すでに述べたように、AMD 790GXでは、統合されたグラフィックスコアがAMD 780GのRadeon HD 3200からRadeon HD 3300に変更された。Radeon HD 3300に内蔵されているシェーダプロセッサ数は40で、これはRadoen HD 3200と同じだが、コアクロックがRadoen HD 3200の500MHzから700MHzに引き上げられており、これにより描画性能が向上している。3DMark06でRadeon HD 3200と比較した結果もRadeon HD 3300はRadeon HD 3200の1.3倍程度と、ほぼクロックが上がった分だけ向上している。

 なお、Radeon HD 3200とRadeon HD 3300の機能は、ほぼ同じものとなっているので、AMD 780Gのレビュー記事で説明した「Hybrid Graphics」も利用できる。統合されたグラフィックスコアと外付けのグラフィックスカードに搭載されたGPUを連動させて3D性能を向上させる「Hybird CrossFire」では、遅いGPUと速いGPUを組み合わせると性能が遅いGPUにそろえられてしまうので、Radeon HD 3300でも、Radeon HD 3450といった同じクラスの外付けGPUと組み合わせる必要がある。

AMD 780Gに統合されたRadeon HD 3200とAMD 790GXに統合されたRadeon HD 3300を3DMark06 3DMarksで比較する

Phenom X4とAMD 790GXで発揮するAMDプラットフォームの性能は?

 現時点におけるAMDの最高峰CPUである「Phenom X4 9950 Black Edition」と組み合わせて、AMD 790GXの性能を確認してみたい。一連の「イマイタ」連載でPhenom X4 9950 Black Editionが登場するのは初めてなので、念のため説明しておくと、Phenom X4 9950 Black Editionは、Phenom X4シリーズの最上位グレードであると同時に“Black Edition”とあることからも分かるように「倍率ロック」が解除されている。そのため、ユーザーがオーバークロック設定を行える「遊べるPhenom」でもあるのだ。動作クロックは2.6GHzで、TDPは140ワットの大台に乗っている。なお、AMD 790GXを搭載したマザーボードは、TDP140ワットのCPUに対応できるように設計されているので、ユーザーは安心してPhenom X4 9950 Black Editionで“遊べる”はずだ。

 今回利用したベンチマークテストは、筆者が本連載で利用しているものと同じなので、過去の結果と互換性がある。興味がある読者はほかのCPUの結果とも比べていただきたい。

CPU Phenom X4 9950 Black Edition Phenom X3 Phenom 9600 Athlon 64 X2 Core2 Duo/Core2 Extreme
チップセット AMD 790GX AMD 790FX AMD 790FX nForce 590 SLI Intel X38
マザーボード GIGABYTE ASUS M3A32-MVP MSI K9A2 Platinum FOXCONN C51XEM2AA ASUS P5E3
メモリ DDR2-1066 DDR2-800 DDR2-800 DDR2-800 DDR3-1333
容量 2Gバイト
グラフィックスチップ GeForce 8800 GTX
グラフィックスメモリ 768Mバイト
グラフィックスドライバ ForceWare 163.69
標準解像度 1280×1024ドット/32ビットカラー
HDD HGST HDT725050VLA
フォーマット NTFS
OS Windows Vista Ultimate RTM(32ビット)版

評価用のAMD 790GX搭載マザーボードにはGIGABYTEの「GA-MA790GP-DS4H」を用意した。評価に耐えうるサンプルをかなり早い段階で用意できたこのマザーは、GIGABYTE独自の「4+1 Phase PWM design」「Silent-Pipe Cooling design」「DualBIOS」を実装するほか、AMD 790GXに統合された「Radeon HD 3300」専用グラフィックスメモリとしてDDR3 1333の「SidePort Memory」をオンボードで用意している。GIGABYTEは、このSidePort Memoryと独自のオーバークロック機能で30%の性能向上を実現するとしている。その実力や充実したインタフェース(画像出力ではアナログRGBに加えて、DVIとHDMIも有する)については、別記事で詳しく紹介する予定だ

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