ASUS製マザーボードのラインアップである「R.O.Gシリーズ」は、ゲーマーやオーバークロッカーなど、遊び心に満ちたユーザーに向けた製品を投入してきている。これまでに多くのモデルがリリースされたが、今回は、最新のIntel P45 Expressチップセットを搭載しながらも、R.O.G.シリーズとしては比較的価格を抑えて購入しやすくなった「Maximus II Formula」で遊んでみる。
Maximus II Formulaは、2007年10月に発売されたIntel X38 Expressチップセットを搭載したR.O.G.シリーズの「Maximus Formula」の後継モデルとなる。Intel P45 Expressを搭載したDDR2メモリ対応版で、Maximus Formulaで存在したDDR3対応モデルは、今のところ発売されていない。
Maximus II Formulaで最も目を引くのが、チップセットの上に配置された剣山型のヒートシンクだ。ノースブリッジのヒートシンクには、明るく輝くLEDが組み込まれており、「Republic Of Gamers」のロゴが浮かび上がる。サウスブリッジのヒートシンクも、従来には見られないほど大きいサイズのヒートシンクを採用している。高負荷時にチップセットの温度が上昇して挙動が不安定になるのを防いでくれるはずだ。電源回路のレギュレータ部にも剣山型のヒートシンクが取り付けられている。
これらのマザーボードに実装された合計4個のヒートシンクは、かなり太いヒートパイプで連結されている。Maximus II Formulaのヒートシンクには冷却ファンが装着されておらず、CPUクーラーで起こした風で排熱する。なお、水冷ユニットやクーラーの周囲に風を送らないタイプの空冷ユニットを使う場合は、Maximus II Formulaに付属するファンを取り付けることで対処できる。
ヒートシンクのサイズは従来モデルのMaximus Formulaと比べてだいぶ大きくなっている。そのためか、ヒートシンクの固定方法が従来のプッシュピンからビスとナットの組み合わせに変更されている。ピンに内蔵されたバネで固定していた状態と比べて、かなり強い力で固定しているおかげで重いヒートシンクでも心配ない。
基板の下端にはとてもよく目立つ2つの大きなプッシュボタンが装備されている。それぞれ、電源スイッチとリセットボタンだ。R.O.G.シリーズで想定しているオーバークロックのチューニング作業では、PCケースに入れずシステムを使うことが多いため、電源スイッチとリセットスイッチをオンボードで用意するマザーボードが多くなっている。ただ、Maximus II Formulaのように、サイズが大きいだけでなく、LEDを内蔵して光り輝くデザインを採用しているのは例が少ない。
また、オーバークロックのチューニング作業では、ついつい、BIOS設定でクロックを上げすぎ、システムが起動しなくなることがある。そういうときには、CMOSをクリアしてBIOS設定をデフォルトに戻すことになるが、マザーボードをPCケースに収めている場合、その都度PCケースを開いて、基板にあるジャンパスイッチを抜き差しするのは面倒だ。そのため、Maximus II FormulaではCMOSのクリアスイッチがバックパネルに用意されている。設定を間違えてシステムが動作しなくなったら、PCケースの背面に手を回してCMOSクリアスイッチを押すだけで作業が済んでしまう。仮にオーバークロッカーによくある「バルク組み」(PCケースに収納せず、パーツをむき出しにしたまま使う)の状態でも、基板に用意されたCMOSクリア用のジャンパを使うことはほとんどないだろう。
電源、リセット、CMOSクリアの各スイッチのほかにも、HDDアクセス、BIOSチェックなどで利用できるLEDインジケータがマザーボード上に用意されているので、ヘッダピンにスイッチやインジケータユニットを接続せずに、ひと通りのテストができる使い勝手は「マザーで遊ぶ」ユーザーにはすこぶる便利だ。まさに、コアユーザー向けのマザーボードといえる。
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