Intelの開発者向け会議「Intel Developer Forum 2008」(IDF 2008)が、米国サンフランシスコで8月19日(現地時間)より3日間の予定で行われる。2008年は正式リリースまであと数カ月となった「Intel Core i7」(開発コード名:Nehalem)のほか、GPU市場を足がかりとするプログラマブルなメニーコア・プロセッサの「Larrabee」、そしてNetBookやMIDなどでの採用が進んでいるAtomの後継製品など、数多くの新情報が紹介されている。まずは初日のキーノートで紹介された話題を中心にまとめてみた。
初日の19日に行われたキーノートスピーチで登場したのは、同社会長のクレイグ・バレット氏、デジタルエンタープライズ部門トップのパット・ゲルシンガー氏、そして、モビリティ部門トップのダディ・パルムッター氏の3人だ。それぞれのキーノートで言及した分野は、バレット氏がIntelの社会貢献についての取り組み、ゲルシンガー氏が技術全般、パルムッター氏がモバイル製品群に関する内容であった。すでに公表されている話題も多いが、19日の午後に行われたゲルシンガー氏とパルムッター氏の講演では、いくつかの新しいトピックが登場している。その中でも特に注目の話題は、やはりNehalemだろう。
「Intel Core i7」という正式名称が発表されたばかりのNehalemだが、その登場予定時期である2008年第4四半期まであとわずかと迫っている。プロセスルールの変更が中心だった現行の“Penryn”世代に対し、Nehalemではアーキテクチャそのものが一新されることになる。Nehalemに関する情報は、これまでも段階的に公開されているが、すでに明らかにされている大きな特徴として、
などが挙げられる。特に、4コア以上のCPUデザインを標準でサポートすることとメモリコントローラをCPU内部へ統合することは、メインストリーム向けのIntel製CPUでは初の出来事だ。今回のIDFではこれらの特徴に加え、Nehalemに実装される予定で、これまだ明らかになっていなかった「最後の隠し機能」について紹介された。その機能は「Turbo Mode」と呼ばれるものだ。
NehalemではPenryn世代から省電力機能がさらに強化されているが、そのために採用される「Power Gates」と呼ばれる技術を応用することでTurbo Modeを実現している。Power Gatesでは、電気の流れの切り替えやアイドル時に失われる電流を大幅に低減する。これにより、アイドル状態にあるコアの消費電力を限りなくゼロに近付けつつ、電力をロスすることなく電流を自在に制御できるようになる。Turbo Modeはこの性質を利用したもので、未使用状態にあるコアへの電流を遮断し、その分の電力をアクティブな状態のコアへの供給に切り替える。これにより、Turbo Modeによって電力供給の恩恵を受けたアクティブなコアは、単体だけでさらに強力なパフォーマンスを引き出すことが可能になる。
例えば、アプリケーションによってはマルチスレッドによる並列動作が難しいものもあるが、Turbo Modeを活用することで単一コアでも十分な力を発揮できる。ちょうどアクティブなコアだけをオーバークロックしたようなイメージだ。多数のコアとハイパースレッディングをサポートして並列性の高いNehalemだが、このような形で従来型アプリケーションの高速動作が可能な点で、非常に柔軟性が高いCPUといえる。
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