Pumaに衣替えした10万円を切る激安タブレットPC「HP Pavilion Notebook PC tx2505/CT」の実力は!?ペンでもタッチでもOK(1/2 ページ)

» 2008年08月26日 12時10分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

AMDのPumaプラットフォームを採用

Pumaプラットフォームを採用した「HP Pavilion Notebook PC tx2505/CT」

 「HP Pavilion Notebook PC tx2505/CT」の大きな特徴は、AMDの新しいモバイルプラットフォーム(開発コード名:Puma)を採用していることだ。この「Pumaプラットフォーム」は、CPUのTurion X2 Ultra、AMD M780Gチップセット、およびGPUのATI Mobility Radeon HD 3800シリーズなどで構成されるノートPC向けのプラットフォームのことを指す。ただ、インテルのCentrinoシリーズのようなプラットフォーム単位でのブランド名は与えられておらず、満たすべき要件が定められているわけでもない。AMDの公式情報でも「次世代AMDノートブックPCプラットフォーム」とされているだけなので、開発コードネームの「Puma」の名のまま呼ばれている。少々わかりにくいが、要するに、CPUとチップセット、グラフィックスといった主要部分がまとめて新しい世代にリニューアルされたというわけだ。

CPUとグラフィックス機能がパワーアップ

Vistaロゴやペナブルのロゴとともに、Pumaプラットフォームを構成するシールが本体にはられている

 さて、本機のスペックはというと、同社おなじみのBTOに対応しており、CPUは、Turion X2 Ultra ZM-80(2.1GHz/2次キャッシュ2Mバイト)と、Athlon X2 QL-60(1.9GHz/2次キャッシュ1Mバイト)の2種類が選べる。

 Turion X2 Ultraは、開発コード名「Griffin」の名で呼ばれていたモバイルPC向けの新ブランドで、先代機「tx2105」が採用していたTurion X2 TLシリーズと比べると、2次キャッシュが2倍の2Mバイト(1Mバイト×2)に増えたほか、システムバスと省電力関連の機能が強化されている。内蔵する2つのコアとメモリコントローラ部分は独立して電力制御できるようになり、2つのCPUコアは、コア単位で負荷に応じて動作クロック(9段階)とコア電圧(5段階)を細かく変化させることで無駄な電力消費を省く。また、システムバスはHyperTransport 3.0に対応し、データ転送速度が最大14.4Gバイト/秒(3.6GHz)に高速化されたほか、転送量によってバス幅を5段階に可変させることで消費電力を節約する機能も加わっている。

 なお、Athlon X2 QL-60は、Turion X2 Ultraの廉価版として用意されているCPUだ。HyperTransport 3.0には対応しているが、省電力関連の機能は簡略化されており、2次キャッシュの容量も半分に減っている。

CPU-Z 1.46(写真=左)とGPU-Z 0.2.6(写真=中央)の画面。GPUはコアクロック500MHz、メモリクロック400MHzで動作しているのが分かる(写真=右)

 一方、チップセットのAMD M780Gが内蔵する「Mobility Radeon HD 3200」グラフィックスコアはDirectX 10に対応しており、内蔵グラフィックスとしては高いレベルの3D描画性能を持つほか、H.264/MPEG-2/VC-1のハードウェアデコード機能を備えるUVD(Unified Video Decoder)を内蔵しており、Blu-ray DiscなどのHDコンテンツも少ないCPU負荷で再生できる。ただ、本機が内蔵する光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブであり、BTOでもBlu-ray Discドライブが選べないのは少々残念だ。HD動画の外部出力に必要な著作権保護技術「HDCP」にも対応し、Display Port出力やHDMI出力もチップセットレベルではサポートしているが、本機ではこれらのデジタル出力は使えない。

 統合型チップセット内蔵のグラフィックスコアは、メインメモリをビデオメモリとして利用することが一般的だが、Radeon HD3200では専用のLFB(ローカルフレームバッファ)をサポートしており、本機でも64MバイトのDDR2 SDRAMを装備している。画面のリフレッシュなどをメインメモリにアクセスせずに行えるため、HyperTransportやCPU内蔵メモリコントローラの負担が減って省電力になる効果がある。

 そのほか、メモリやHDDの仕様は従来機と同様だ。メモリはDDR2 SDRAMに対応し、底面カバーから2基のSO-DIMMスロットにアクセスできる。BTOでは1Gバイト(1Gバイト×1)/2Gバイト(1Gバイト×2)/4Gバイト(2Gバイト×2)の構成が選択可能だ。HDDはSerial ATAインタフェースの5400rpmモデルを採用しており、容量は120Gバイトと250Gバイトが選べる。

DVD+R DLに対応したDVDスーパーマルチドライブは着脱式だ(写真=左)。重量を軽減するウエイトセーバーも付属している。4セルバッテリー(リチウムイオン)の容量は7.2ボルト 37ワットアワーで、6セルバッテリー装着時は背面に21ミリほど出っ張りが生じる(写真=中央)。ACアダプタのサイズは45(幅)×110(奥行き)×29(高さ)ミリ、重量は約400グラムだ。3ピンタイプの電源ケーブルを採用する。2基のメモリスロットやHDDベイには底面からアクセス可能だ(写真=右)

「ZEN design」による美しいボディは健在

 1280×800ドット表示の12.1型ワイド光沢液晶ディスプレイを搭載したボディのサイズは、308(幅)×224(奥行き)×37.5〜41(厚さ)ミリと、従来のtx2105と共通だ。しかし、重量は100グラムほど増しており、着脱式のDVDスーパーマルチドライブを取り外してウエイトセーバーを装着した最軽量時で約2.05キロ、6セルバッテリー装着時は2.16キロとなっている。公称のバッテリー駆動時間は従来機とほとんど変わっておらず、4セルバッテリーで約2時間12分、6セルバッテリーで3時間14分となっている。

 ボディのデザインもそのまま引き継いでいる。光沢感のある明るいシルバーとブラックのツートーンで仕上げられ、天面とパームレストには、「音や影響などが放射線状に広がっていく様」をモチーフにしたという「ZEN design hibiki(響き)」と呼ばれる独特のグラフィックパターンがプリントされている。これは成型過程でグラフィックをボディ素材の内部に転写する「HP Imprint」を利用したもので、このような繊細なパターンでも消えにくく、長期間保てるのがウリである。

12.1型ワイド光沢液晶ディスプレイは、やや映り込み激しく、タッチパネルゆえ視野角もあまり広くない(写真=左)。液晶ディスプレイ天面部分とタッチパッド面に「ZEN design hibiki(響き)」のデザインパターンが採用されている(写真=中央と右)

 端子類の構成、種類も変わりがなく、3基のUSB 2.0ポート、ExpressCard/34スロット、SDメモリーカード/メモリースティックPROなどが使える5in1メモリカードスロットを装備している。さらにアナログRGB出力、S-Video出力、拡張ポートコネクタ(拡張ポート用オプションは国内未販売)などを用意する。通信機能も充実しており、1000BASE-T対応の有線LAN、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/nドラフト準拠)、Bluetooth 2.0、56kbpsのFAXモデムを備える。

前面には電源スイッチや赤外線リモコンの受光部、2基のヘッドフォン(うち1基は光デジタル音声出力対応)、マイク、無線LANの電源スイッチが並ぶ(写真=左)。背面は排気口とバッテリー、FAXモデム、2基のUSB 2.0端子がある(写真=右)

左側面にはメモリカードスロットやExpressCardスロット、DVDスーパーマルチドライブが配置される(写真=左)。右側面にはUSB 2.0、ギガビット対応の有線LAN、独自規格のExpansion Port 3(日本では対応機器が未発売)、アナログRGB出力、S-Video出力端子がある(写真=右)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー