「iPod touch」は究極のエンターテイメントを目指すアップルインタビュー(後編)(1/2 ページ)

» 2008年09月16日 20時26分 公開
[林信行,ITmedia]

 前・中編に続き、AppleワールドワイドプロダクトマーケティングのiPod担当者、ショーン・エリス氏に話を聞いた。今回は、新たにスピーカーを搭載した「iPod touch」と「iPod Classic」、そして2つのイヤフォン新製品がテーマだ。

――それでは、新「iPod touch」の特徴を紹介してもらえますか?

photo 左から「iPhone」、新「iPod touch」、従来の「iPod touch」

エリス:とにかく美しい製品です。磨かれたスチールのエンクロージャーの側面には、ユーザーの声を反映してボリュームボタンが追加され、本体の底には内蔵スピーカーが追加されました。われわれは常にユーザーの声に耳を傾けており、それがふさわしいと思えば、ちゃんと製品に反映するのです。

 音質に優れたスピーカーかといわれれば、そうではないかもしれません。でも、ちょっと音楽を聞きたいときには十分な音質です。

 さて、画面の大きいiPod touchでは、動画を見るのもかなり楽しくなってきます。音楽ビデオも大変きれい。また、この画面の大きさと加速度センサー、タッチスクリーンなどを生かして本格的なゲームも楽しむことができます。

 スティーブ・ジョブズの講演でフィル・シラー氏が紹介したエレクトロニック・アーツの「SPORE」や「Need for Speed」などのゲームはもう見ましたか? なかなか、すごいですよね。ちょっと前のPC並みのリアルなグラフィックでゲームが楽しめてしまいます。

photophoto エレクトロニック・アーツ「Need for Speed」(左)と、ゲームロフト「REAL SOCCER 2009」(右)

エリス:App Storeでは、そうした楽しいゲームが700種類近く用意されています。しかも、その多くが無料で入手できるものです。こうした要素があわさることでiPod touchは最高のエンターテイメント機器に仕上がっています。

 しかも、無線LANの接続を使って「App Store」から直接アプリケーションをダウンロードしたり、音楽を「iTunes Wi-Fi Music Store」から購入、ダウンロードすることも可能です。

――なるほど。しかし、個人的には「Nike+iPod」の機能はiPhoneにこそ内蔵してほしかったと思います。携帯電話は常に持ち歩くもの。それとは別にiPod nanoやiPod touchを持ち歩くと、かえって荷物が増えてしまいます

エリス:なるほど、その要望は皆で話し合うことにします。

――ほかにも何か特徴はありますか?

エリス:そういえば、新しいiPod touchでは、箱も変わりました。従来のような紙の箱ではなく、iPodシリーズらしい中身の見えるプラスチック製の箱です。電源を入れるとどう見えるのか、液晶画面の上に画面表示を印刷した紙が載った状態で棚に並べられます。

――iPhoneにしかなかったいくつかの機能が、新搭載されていますが、カメラはつかなかったですよね? どうしてですか?

エリス:ええ、お答えしました通り、われわれはどの機能を、どの製品に搭載するかは、製品ごとのバランスを考えて検討していますが、その結果カメラは不要という結論に達しました。

――私はこれは非常にいい結論だと思います。というのが、最近、「DESIGN BUSSAN NIPPON」展という非常によくできた展覧会があり、そこのガイドとしてiPod touchが使われていたのですが、もしカメラがついていたら、禁じられている作品の写真撮影を、来場者が不用意にしてしまう可能性があったからです

エリス:なるほど、それは確かにいいポイントですね。実際に米国でもiPod touchはニューヨークの「MoMA」(ニューヨーク近代美術館)をはじめ、多数の美術館や展覧会のガイドとして貸し出しされています。

――今回のiPod touch、米国では即時発売でしたが、日本は9月下旬の発売ですよね。これは無線の許認可の問題ですか?

エリス:その通りです。

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