ハイビジョンモバイルを実現した新型「VAIO type T」に肉薄エレガントな進化(1/3 ページ)

» 2008年10月02日 11時02分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

Montevina-SFFで実現したエレガントボディにモデルチェンジ

評価機は、バーガンディーレッドを採用したVAIOオーナーメードモデルだ

 ソニーの人気モバイルノート「VAIO type T」シリーズに、最新モデルのVGN-TTシリーズが登場した。VAIOノート10周年記念モデルでもあった先代機から外観も中身もフルモデルチェンジし、プラットフォームがMontevina-SFF(開発コード名)ことSFFパッケージのCentrino 2にリニューアルされた。最新の45ナノメートルプロセスルールで製造されるSFFシステムを得てtype Tはどのように進化したのだろうか。評価機は店頭販売モデルではなく、同社の直販サイト「ソニースタイル」限定カラーのバーガンディーレッドをまとったVAIOオーナーメードモデルである。

液晶ヒンジ部からキーボード〜パームレスト部が一体成型になった

 装いも新たにしたボディの第一印象は、先代のtype TZと大きくは変わらない。アスペクト比16:9の11.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載した横長のボディ、ヒンジ部にバッテリーを配置したシリンダーフォルム、アイソレーションキーボードといったデザインの要となる部分はそのまま受け継いでおり、ボディのサイズもほとんど変更がないためだろう。

 それでも、直線的でシャープなラインが強調されていた従来モデルに比べて、曲面を利用した柔らかみのあるデザインとなっているほか、液晶ヒンジ部からパームレストまで一体成型となったアイソレーションキーボード回りも、光沢仕上げではなくマットな塗装でザラリとした独特の質感に仕上げており、より繊細でエレガントになった印象を受ける。本機のコンセプトは「マイエレガントモバイル」というのもので、従来のビジネスマンに加えて、働く女性を新規ターゲットユーザーとして想定しているというが、そのイメージは確かに表現できているといえる。

 天面のカラーは「プレミアムカーボン」「バーガンディーレッド」「グレースゴールド」「シルキーブラック」の4種類が用意される。グレースゴールドにはさらに「ロイヤルオーナメント」「フレグラントフラワー」「ノーブルテキスタイル」という3種類のプレミアムデザインも用意されている。評価機はバーガンディーレッドだが、メタリック仕上げの落ち着きのある赤は派手さはないが適度に刺激的で、コンセプトにふさわしいエレガントな雰囲気を醸し出している。

左から店頭販売モデルのシルキーブラック、直販限定カラーのグレースゴールド、プレミアムカーボン

こちらもVAIOオーナーメードモデルのみの柄バリエーションとなるロイヤルオーナメント、フレグラントフラワー、ノーブルテキスタイル

新たにHDMI端子を標準装備

こちらは先代のtype T(type TZシリーズ)

 ボディの具体的なサイズ、重量、バッテリー駆動時間などはパーツ構成によって変わってくるが、ほぼ同等装備の新旧店頭販売モデルを比較すると、先代のtype TZ(VGN-TZ73B)は277(幅)×198.4(奥行き)×22.5〜29.8(高さ)ミリで重量が約1220グラム、バッテリー駆動時間が約11時間であったのに対し、type TT(VGN-TT50B)は279(幅)×199.8(奥行き)×23.5〜30.7(高さ)ミリで、重量が約1270グラム、バッテリー駆動時間は約10時間となった。若干ながら大きく重く、そしてバッテリー駆動時間も短くなっている。Montevina-SFFの採用によってさらなる小型軽量化を期待していたユーザーはちょっとガッカリしたかもしれないが、今回は小型軽量化ではなく、性能面の強化や機能面の充実に力を割いた格好だ。

 端子類の構成はほぼ夏モデルを踏襲しつつ、細かい変更が行われている。DC入力と電源ボタンをヒンジの左右に配置し、右側面は奥側にアナログRGB出力、アンテナ入力(ワンセグ用)、手前に光学ドライブ(または2.5インチHDD)を装備。左側面は手前からヘッドフォン、マイク、USB 2.0×2、4ピンのIEEE1394、ExpressCard 34スロット、排気口、そして奥のカバー内にはギガビット対応の有線LANと、新たにHDMI端子を装備した。

 前面はメモリースティックスロットとSDメモリーカード/MMCスロットを上下に並べ、無線LANの電源スイッチとインジケータランプを左側に、右側には音量調整とワンタッチボタン、光学ドライブのイジェクトボタンを並べている。ExpressCardなどのカバー類もボディのラインに沿って加工されており、このあたりの仕上げはさすがといえるが、HDMIポートや有線LANがカバー内にあるのは少々不便だ。

新型VAIO type Tの前面(写真=左)と背面(写真=右)

左側面(写真=左)と右側面(写真=右)。HDMIと有線LAN端子はカバー内に収納されている。ワンセグ用の内蔵アンテナは右側面にあり、伸ばすと92ミリほど本体から出っ張る

内部システムが一新されメモリとグラフィックス機能が大幅に進化

メモリスロットは2基に増えたが、底面からアクセスできるのは1基のみ。標準バッテリーの容量は10.8ボルト 5400mAhだ

 基本システムは全面的にリニューアルされている。CPUはTDP10ワットのCore 2 Duo SU9400(1.4GHz)とSU9300(1.2GHz)から選べる。店頭モデルは後者のみだが、いずれも45ナノメートルプロセスルールを採用したSFFパッケージのCPUで、2次キャッシュ容量は3Mバイト、FSBは800MHzだ。45ナノメートル世代のPenryn(開発コード名)コアにリニューアルされたことで、除算器の追加による浮動小数点演算性能改善やSSE系命令の演算性能の一部強化などが図られており、特定の動画エンコードなどに有効な新命令のSSE4.1もサポートしている。

 チップセットもSFFパッケージのIntel GS45 Express/ICH9Mとなった。従来のIntel 945GMS Expressと比べると内蔵グラフィックスコアが「Intel GMA 4500MHD」に進化している。Intel GMA 4500MHDはDirectX 10に対応するほか、MPEG-2/H.264/VC-1のハードウェアデコードを含む動画再生支援機能を内蔵しており、対応ソフトウェアと組み合わせることで、Blu-ray DiscやAVCHDムービーなどのHDコンテンツをCPUに負担をかけずに快適に再生できるようになった。

 HDコンテンツのデジタル出力に必要な著作権保護技術のHDCPにも対応し、本機ではHDMI出力も標準で装備しており、HDコンテンツを外部の液晶ディスプレイや大画面テレビにデジタル出力して楽しむことができる。

 また、チップセットの変更に伴うメモリ回りの強化も見逃せない。従来はDDR2-533(PC2-4200)までの対応で、メモリソケットも1基で最大容量も2Gバイトに制限されていたが、今回はDDR3-800(PC3-6400)に高速化し、最大容量も4Gバイトまでとなった。DDR3はDDR2の高速改良版であり、信号電圧が1.8ボルトから1.5ボルトに変更されたことで低消費電力にもなっている。メモリスロットは2基に増えたが、底面からすぐにアクセスできるのは1基のみだ。メモリモジュールを2枚使う場合はデュアルチャネルでのアクセスが可能で、メモリアクセスが高速になる。メモリの一部をグラフィックスメモリとして利用することでグラフィックス性能の向上にも効果がある。BTOメニューでは、4Gバイト(2Gバイト×2)、3Gバイト(2Gバイト+1Gバイト)、2Gバイト(2Gバイト×1)の容量が選べ、4Gバイトか3Gバイトを選べばデュアルチャネルアクセスとなる。

 通信機能は、有線LAN(1000BASE-T)、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/nドラフト準拠)のほか、Bluetooth 2.1+EDRも装備する。無線LANモジュールにはインテルのWiFi Link 5100を採用しており、45ナノメートル世代のCore 2 Duo、Intel GS45チップセットとあわせて、インテルが展開している「Centrino 2 プロセッサー・テクノロジー」の要件を満たしている。

CPU-Z 1.47の画面。1.2GHz駆動のCore 2 Duo SU9300、PC3-6400対応メモリを搭載しているのが分かる

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