メーカー製地デジPCの決定版か――「HP Pavilion Desktop PC m9380jp/CT」のダブル地デジモデルを検証するタワーの魅力(1/2 ページ)

» 2008年10月09日 12時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
HP Pavilion Desktop PC m9380jp/CT

 国内メーカー製PCが液晶一体型PCを中心のラインアップに傾倒する中、高いパフォーマンスと拡張性を備えた魅力のタワーPCとして登場したのが日本ヒューレット・パッカードの「HP Pavilion Desktop PC m9380jp/CT」だ。すでにレビューでも触れているとおり、BTOで選択できるCPUはクアッドコアのIntel Core 2 Quadのみとし、PCに高い処理能力を求めるユーザーにターゲットを絞った潔い製品とも言える。

 本機は同社の直販で販売されており、豊富なBTOに対応する。BTOではダブルチュナー搭載の地上デジタルチューナーも選択可能で、DVDメディアへのダビング、さらにダビング10にも対応している。スマートに内蔵できる「パーソナル・メディア・ドライブ」に地上デジタル放送の録画を行い、必要に応じて手軽に交換することにより、理論上無限に地上デジタル放送をHDDに録画することもできる。今回はこの地上デジタルチューナー搭載製品の使い勝手をチェックしていく。なお使用機は前回のレビューに準じた仕様に地デジチューナーが搭載された製品となる。

メディアセンター連携も可能なダブルチューナー仕様の地デジチューナー

 本機にBTOで搭載される地デジチューナーカードは、PC向け地デジチューナーでは当初から国内大手PCベンダーの採用例が多かったピクセラ製だ。現在はピクセラでも単体製品を販売しているが、本機が採用しているのは地デジのダブルチューナー仕様になる。B-CASカードの背面へのはみ出しが大きい点は少し気になるが、実際には各種ケーブルのコネクタなども背面方向には出っ張ることになるので、設置スペースに大きな影響を与えるようなことにはならないだろう。

地デジ機能はメディアセンターからも呼び出しが可能。テレビ視聴ソフトはフルスクリーンに加えてウィンドウ表示もサポートしており、PC利用中の“ながら視聴”にも対応できる

 ちなみに地デジチューナーはBTOのベースとなる「ダブル地デジモデル」として提供されるため、BTOでの単体価格は厳密には分からない。ただし「ベーシックモデル」を地デジチューナーを除いて「ダブル地デジモデル」にBTOでスペックを合わせるとその価格差は+1万9950円となり、ダブルチューナーであることを考慮すればなかなか魅力的な価格設定だ。

 テレビ視聴ソフトウェアもピクセラ製が搭載されている。ただし「StationTV for HP」の名称から分かるとおりHP向けのカスタムバージョンで、単体製品と異なりメディアセンター対応モジュールも搭載され、メディアセンターから直接、視聴画面、番組表、録画番組一覧を呼び出すことが可能だ。

付属のリモコン

 付属のリモコンは海外モデルとは異なるタイプで、メディアセンターと「StationTV for HP」の両方の操作にも対応するタイプが付属する。「StationTV for HP」の利用時には電子番組表や録画番組一覧を1ボタンで呼び出すこともできるし、ソフトウェアキーとして機能する4色のボタンも装備している。

 レコーダーとしての使い勝手もツボはしっかり抑えたもの。電子番組表はWUXGAディスプレイとの組み合わせなら最大で9チャンネル×4時間半分の一覧表示が可能で、拡大表示も可能だ。録画番組の一覧はシンプルで特に一覧性が高いわけではないものの、PCらしくスクロール動作などもキビキビしている。番組ごとのレジューム再生(前回停止位置からの再生)もサポートしている。

メニューなどは10フィートUI仕様の、リモコン操作を強く意識したものだ。民生機のレコーダーと比較するとキビキビ動作する点が魅力の1つ。録画番組一覧では未再生の番組も確認できる(写真=左/中央)。これは1920×1080ドット表示時の電子番組表。最大で9チャンネル分の表示が可能だった。マルチチャンネル(放送局毎のサブチャンネル)表示を無効にできない点は残念だが、横スクロールが俊敏なため操作性はまずまず(写真=右)

 本機の特徴であるダブルチューナーは「レコーダー1」「レコーダー2」と表記され、視聴、録画ともに明示的にユーザーが切り替えて利用するタイプだ。従って1番組の録画中にチューナーを切り替えて録画中とは別の番組を視聴することができるし、もちろん2番組同時録画もできる。基本的には地デジチューナーカードが2枚搭載されていると思ってよく、2つのチューナー間で機能的な差異もない。

 録画予約でも明示的にチューナーを指定して予約を行う。録画予約が重ならないように2つのチューナーに自動で振り分けるといった親切な機能はないが、例えば繰り返し録画する番組は「レコーダー2」で録画予約しておき、単発予約を「レコーダー1」で、と明示的に指定すれば分かりやすく使い分けられる。ただ、あと1歩踏み込んで、録画予約の重複が発生した場合にはユーザーがチューナーを選択できる機能があればよかったとは思う。

視聴画面でも2つのチューナーの切り替えが可能。録画中の番組も裏番組も自由に視聴できる(写真=左)。録画予約時に「レコーダー1」「レコーダ2」を自由に選択可能。同じチューナーで録画予約が重複した場合、予約済み番組の録画予約をキャンセルすることもできる(写真=中央/右)

 さて、実際に2番組同時録画を複数回行ってみたが、録画内容も含めてまったくトラブルはなかった。使用機のHDDがRAID 0構成だったこともあると思うが、バックグランドで2番組同時録画を行っている最中にブラウザを利用する、といった使い方でもまったくストレスなく行える。また、2番組同時録画時にはおのずとHDDへのランダムアクセスが増えるが、静音性は十分に保たれており、動作音が気になることもなかった。動作音に関する許容は個人差があるとは思うが、例えばプライベートルームに設置して就寝中の深夜に予約録画を行うことが多いといった場合でもこれなら大丈夫だろう。

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