SSDを超える超高速ストレージを無料で手に入れる――「RamPhantom3 LE」を試す手軽にRAMディスク

» 2008年10月09日 17時29分 公開
[ITmedia]

 アイ・オー・データ機器の「RamPhantom」は、メインメモリを高速ストレージとして転用するソフトウェアだ。10月8日に公開された「RamPhantom3 LE」では、32ビットWindowsが扱えない約3〜3.5Gバイト以上の領域をRAMディスクとして利用できるようになり、OSの上限を超えるメモリを搭載した環境では特に有用なツールとなっている。RAMディスクの高速性を生かして、画像編集時の作業フォルダやWebブラウザのテンポラリフォルダに設定すれば、より快適な環境を実現できるはずだ。

 同様の機能を提供するものとして、ERAM改やGavotte Ramdiskなど、すでに複数のソフトウェアが存在しているものの、RamPhantom3 LEは煩雑な設定をする必要がなく、初心者ユーザーでも簡単に導入できる。例えば、スライドバーでRAMディスクの容量を変更したり、IEとFirefox用に専用のチェックボックスを用意するなど、ユーザーインタフェースが分かりやすい(少なくとも初心者にとっては、海外製ソフトウェアや、ソースコードからコンパイルする必要があるものよりはずっと簡単)。

 また、PCの電源を落とすと当然RAMディスク内のデータは消失するが、システムをシャットダウンする際に自動的にHDD側にバックアップを行い、再起動した時点でRAMディスク内に書き戻してくれるため、特にRAMであることを意識することなく利用できる。なお、予期しないフリーズやシャットダウンによってデータが失われないようにRAMディスクへの書き込みと同時に逐次バックアップを行ったり、セキュリティ上の理由からあえてデータを残さない設定も用意されている。

RamPhantom3 LEのプロパティ画面。RAMディスクとして割り当てるメモリ容量はスライドバーで簡単に設定できる。システムの上限を超える「OS管理外メモリー」とシステムメモリの一部を足すと最大2Gバイトまで割り当て可能。ちなみにアプリケーションがRAMディスク領域を参照しているときに容量を変更すると再起動が必要になる(画面=左)。PCの電源を落とすとRAMディスク内のデータは消失するため、複数のバックアップ機能が用意されている(画面=中央)。標準でWebブラウザのテンポラリフォルダに割り当てるチェックボックスが用意されている。こちらは設定を変更すると必ず再起動が必要(画面=右)

 RamPhantom3 LEで作成したRAMディスクの性能をCrystalDiskMarkで測定してみると、シーケンシャルリードで3000Mバイト/秒を軽く超えた。これがそのまま実際のパフォーマンスに反映されるわけではないとしても、HDDはもちろん、高速と言われているSLCタイプのSSDもまったく比較にならないスコアだ。

エプソンダイレクトの「Endeavor NJ3100」で試してみた。左がシーゲート製HDD(2.5インチ/7200rpm/120Gバイト)、中央がRamPhantom3 LEで作成したRAMディスク(PC2-6400)、右がバックアップ設定で「RAMディスクの書き込みと同時に保存」をチェックしたRAMディスクのスコア。逐次バックアップだと当然書き込み速度が低下してしまうが、シャットダウン時にバックアップする設定だと不意の事故でデータを失いかねないので悩ましいところ

 実際に高解像度画像の展開やWebブラウザの再表示なども行ってみたところ、確かに体感で分かるくらい速いと感じた。RamPhantom3 LEでは最大2Gバイトまでのメモリ領域しか扱えないため、用途はかなり限られてくるとはいえ、32ビットWindowsのシステムに4Gバイト以上のメモリを搭載したユーザーは試してみる価値はあるだろう。なお、RamPhantom3 LEは同社のWebサイトで無料配布されているが、ダウンロードにはアイ・オー・データ製メモリのシリアル番号が必要だ。

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