アイ・オー・データ機器の「RamPhantom」は、メインメモリを高速ストレージとして転用するソフトウェアだ。10月8日に公開された「RamPhantom3 LE」では、32ビットWindowsが扱えない約3〜3.5Gバイト以上の領域をRAMディスクとして利用できるようになり、OSの上限を超えるメモリを搭載した環境では特に有用なツールとなっている。RAMディスクの高速性を生かして、画像編集時の作業フォルダやWebブラウザのテンポラリフォルダに設定すれば、より快適な環境を実現できるはずだ。
同様の機能を提供するものとして、ERAM改やGavotte Ramdiskなど、すでに複数のソフトウェアが存在しているものの、RamPhantom3 LEは煩雑な設定をする必要がなく、初心者ユーザーでも簡単に導入できる。例えば、スライドバーでRAMディスクの容量を変更したり、IEとFirefox用に専用のチェックボックスを用意するなど、ユーザーインタフェースが分かりやすい(少なくとも初心者にとっては、海外製ソフトウェアや、ソースコードからコンパイルする必要があるものよりはずっと簡単)。
また、PCの電源を落とすと当然RAMディスク内のデータは消失するが、システムをシャットダウンする際に自動的にHDD側にバックアップを行い、再起動した時点でRAMディスク内に書き戻してくれるため、特にRAMであることを意識することなく利用できる。なお、予期しないフリーズやシャットダウンによってデータが失われないようにRAMディスクへの書き込みと同時に逐次バックアップを行ったり、セキュリティ上の理由からあえてデータを残さない設定も用意されている。
RamPhantom3 LEで作成したRAMディスクの性能をCrystalDiskMarkで測定してみると、シーケンシャルリードで3000Mバイト/秒を軽く超えた。これがそのまま実際のパフォーマンスに反映されるわけではないとしても、HDDはもちろん、高速と言われているSLCタイプのSSDもまったく比較にならないスコアだ。
実際に高解像度画像の展開やWebブラウザの再表示なども行ってみたところ、確かに体感で分かるくらい速いと感じた。RamPhantom3 LEでは最大2Gバイトまでのメモリ領域しか扱えないため、用途はかなり限られてくるとはいえ、32ビットWindowsのシステムに4Gバイト以上のメモリを搭載したユーザーは試してみる価値はあるだろう。なお、RamPhantom3 LEは同社のWebサイトで無料配布されているが、ダウンロードにはアイ・オー・データ製メモリのシリアル番号が必要だ。
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