1枚のアルミ板から生まれる質実剛健なMacBookAppleスペシャルイベント詳報 前編(1/2 ページ)

» 2008年10月15日 12時40分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]
発表会場となった本社キャンパスを構成するビルの1つ「4 Infinite Loop」

 米Appleは10月14日(現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノにある本社キャンパスにおいて、報道関係者を集めた新製品発表のためのスペシャルイベントを開催した。

 このイベントでは、事前に送られた関係者への招待状にもあったように、ノートPC関連製品の大規模アップデートが行われている。前編では、ボディデザインを含めて内容が完全に刷新された「MacBook Pro」と「MacBook」の2機種にフォーカスを当て、その概要を紹介していこう。

新型MacBook/MacBook Proを象徴する3つの特徴

 今回発表された新MacBookで3つのポイントを挙げるとするならば、「新型筐体」「グラフィックス性能」「新ユーザーインタフェース」だろう。特にAppleが強調しているのは、新機種で採用されたアルミニウムベースの「ユニボディ」と呼ばれる筐体だ。

 近年のApple製品のデザインを一手に引き受けている同社デザイン担当SVPのジョニー・アイブ(Jony Ive)ことジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)氏がイベントのステージ上に登場し、従来のノートPCの構造について「構成する部品点数が多く、組み立て工程が複雑で、コスト高の要因にもなっており、また1つのエラーが筐体の剛性など全体へと波及する問題もあった」と述べている。

 ユニボディはこれら問題を一挙に解決する手段で、1枚のアルミ板を成形し、単一部品で剛性の高い筐体を実現できるという。ノートPCがPC業界の主役となりつつある中、その製造手法をめぐって各社が技術開発にしのぎを削っている状態だ。新MacBookとMacBook Proは、AppleのノートPC技術の結晶とも言える存在かもしれない。

おなじみスティーブ・ジョブズ氏。これはMacBookとMacBook Proに採用された「ユニボディ」のフレームを会場の報道陣に配り、「実際に見て触って確かめてほしい」とアピールしているところ(写真=左)。新たに採用されたアルミニウムベースのユニボディ。パームレストからキーボード部分まで、天板がすべて1つの部品となっている。MacBook ProのキーボードもMacBook Airのような形状になった(写真=右)

「ユニボディ」と呼ばれる新技術を採用したパームレスト部の天板。フレーム自体は非常に軽い


新型MacBookシリーズでは、NVIDIAのGPU統合型チップセットが採用された。インテルベースの統合型チップセットを搭載する従来モデルと比較して、約5倍のグラフィックスパフォーマンスを発揮するという

 次のポイントがグラフィックス性能だ。MacBook Proでは初期に専用GPUとしてATI Radeonを搭載し、後のモデルチェンジでNVIDIA 8600M GTを搭載するなど、ノートPC全体を見渡しても比較的高い性能のGPUを搭載していることで知られている。だが一方でMacBookなどのエントリー製品や、軽量化を重視したMacbook Airでは、インテルが提供するグラフィックス統合型チップセットを使用しており、性能的に不満を持っていたユーザーも多かったと思われる。

 新型MacBookとMacBook Proでは、チップセット内蔵のグラフィックスコアがGeForce 9400Mとなり、従来のIntel GMA X3100と比較してより高い性能を実現したという。また、MacBook Proでは、このGeForce 9400Mに加えて、さらに外付けGPUとしてNVIDIA 9600M GTを搭載している。これにより、バッテリー駆動時間を重視する場合には9400M、描画パフォーマンスが必要な場合には9600M GTといった形で使い分けることもできるようになった。

パフォーマンス比較図。これまで弱いと言われてきた統合型チップセットによるGPU性能が向上している

MacBook Proでは、チップセット内蔵のグラフィックスコアとは別に、NVIDIA 9600M GTを備えている。9400Mに接続される形で併存しており、用途に応じて切り替えられる。9600M GTを使用した場合、バッテリー駆動時間は若干短くなる

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