デルの10万円切りスリムノート「Inspiron Mini 12」をテストするで、実際のところは!?(2/2 ページ)

» 2008年10月28日 11時11分 公開
[田中宏昌,ITmedia]
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Windows XPとSSDを搭載したInspiron Mini 9がキビキビと動作

評価機のWindowsエクスペリエンスインデックス画面

 ここからは、PC USERおなじみのベンチマークテストで評価機を見ていこう。ベンチマークプログラムを使う前に、姉妹機であるInspiron Mini 9との比較を行った。各モデルのスペックは下記の通りで、Inspiron Mini 12は10月29日に発売予定の店頭先行機のうち、上位に位置付けられるモデルだ。一方のInspiron Mini 9も店頭モデルの最上位機にあたり、16GバイトのSSDを搭載している。

 CPUは同じAtomでも、ノートPC向けのチップセットを利用するInspiron Mini 9のAtom N270(1.6GHz)と、C6ステートをサポートしたInspiron Mini 12のAtom Z530(1.6GHz)をはじめ、ストレージやOSも異なる両機を比べるのはフェアではないが、OSの起動時間や休止状態への移行/復帰は、SSDとWindows XPを採用したInspiron Mini 9が圧勝だ。さすがに、スピードが遅い1.8インチHDDと、Windows Aeroやタブレット機能を持たないとはいえWindows Vista Home Basic(SP1)をOSにすえたInspiron Mini 12は分が悪い。

 バッテリーの駆動時間を海人氏作のBBench V1.01を使って計測したところ、輝度最高で電源設定をポータブル/ラップトップ(Inspiron Mini 9)/バランス(Inspiron Mini 12)にしてWeb巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオンにしたところ、バッテリー容量が14.8ボルト 32ワットアワーのInspiron Mini 9は175分、11.1ボルト 24ワットアワーのInspiron Mini 12は125分でバッテリー残量がゼロになった。

 モバイルでの用途や持ち運びやすさを最優先させればInspiron Mini 9が有利だが、Inspiron Mini 12が持つ高解像度で広い画面や、比較的素直な入力環境は代え難い魅力であり、使い方によって大きく評価が分かれるところだろう。もっとも、Inspiron Mini 12は大容量バッテリーが発売される予定であり、BTOでOSにWindows XPなどが選べるようになれば、このあたりの数値は大きく変わる可能性はある。

Inspiron Mini 9とInspiron Mini 12の起動時間などを比較したグラフ(写真=左)。1.8インチHDDを搭載したInspiron Mini 12のCrystalDiskMark 2.2.0の結果(写真=右)。書き込み速度はInspiron Mini 9が採用するSSDよりも高速だが、読み出し速度が圧倒的にふるわない

テストに使ったInspiron Miniシリーズの主なスペック
モデル Inspiron Mini 9 Inspiron Mini 12
CPU Atom N230(1.6GHz) Atom Z530(1.6GHz)
メモリ DDR2 SDRAM 1Gバイト
ストレージ 16GバイトSSD 1.8インチHDD(80Gバイト)
液晶ディスプレイ 8.9型ワイド 12.1型ワイド
画面解像度 1024×600ドット 1280×800ドット
バッテリー容量 14.8V 32Wh 11.1V 24Wh
本体サイズ W232×D172×H27.2〜31.7ミリ W299×D229×H23.3〜27.6ミリ
重量 約1.06キロ 約1.24キロ
OS Windows XP Home Edition(SP3) Windows Vista Home Basic(SP1)
店頭実売価格 6万5000円前後 9万9800円前後

ベンチマークテストのスコアはふるわないが、新たな選択肢として魅力的

 本機はチップセットに、性能よりも低消費電力を優先させたIntel SCHを採用しただけあって、ベンチマークテストの結果は総じてふるわない。グラフィックス機能やメモリコントローラ、I/O機能を1チップに統合したIntel SCHは、消費電力や集積度でこそ有利だが絶対的なパフォーマンスはNetbookの多くが搭載するIntel 945GSE Expressチップセットにかなわない。ちなみに、3DMark05のスコアは114(1280×800ドット表示)だった。

 試しに、本機でYouTubeニコニコ動画などを見たところ、CPU使用率は前者が40〜50%、後者が70%台だった。ただ、シングルタスクであれば問題なく視聴できたが、複数のアプリケーションを同時に利用するケースでは動作がもたついた。

左から、PCMark05、3DMark06(1280×800ドット)、FF XIのテスト結果

YouTube視聴時のCPU使用率(写真=左)とニコニコ動画視聴時のCPU使用率(写真=右)。どちらもメール作成やテキスト入力程度なら同時に行えるが、スムーズに見るためには単独視聴が基本になるだろう

 ベンチマークテストのスコアだけを見てしまうと物足りなさを覚えてしまうが、本機の意義はこれまで高価だったスリムA4ノートPCの新製品が10万円以下で購入できる点にある。これこそ、2008年最大のトピックであり、現在でも続いているNetbookがもたらした効果の1つだ。現時点のInspiron Mini 12の価格は、店頭モデルで9万9800円/8万9800円前後だが、11月下旬に開始予定の直販ではさらなる低価格モデルも期待できる。価格に敏感なデルだけに、各種キャンペーンが行われるのも時間の問題だろう。

 Inspiron Mini 12は、ほかのNetbookと同様に一長一短があるモデルながら、デルが新たに提示した選択肢であるのは間違いがない。ユーザーや市場がどのように受け止めるのか、今後の動向が興味深いところだ。

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