ここ半年の間で矢継ぎ早に新機種が投入され、あっという間にPC市場の一大勢力にまで成長したNetbook。その元祖といえるのはもちろん、台湾ASUSTeK Computer(ASUS)が2007年10月に海外で発売した「Eee PC」シリーズだ(国内での販売開始は2008年1月)。
同社が自負するように、インテルがAtom N270(1.6GHz)搭載の低価格ミニノートPCに「Netbook」という名前を与えて売り出す前から、Celeron M搭載の初代Eee PCを国内外で数多く販売し、このジャンルを開拓して普及させる足がかりを作った。
そのEee PCも早いもので、11月22日には第3世代の製品が国内で発売される。それがこの「Eee PC S101」だ。10型ワイド液晶搭載の「Eee PC 1000H-X」や、8.9型ワイド液晶搭載の「Eee PC 901-X」といった第2世代のEee PCに比べて、価格は上がったものの、本体の薄型軽量化、静音性と放熱性の改善、パフォーマンスの向上、そしてデザインと、全面的な強化が図られている。
今回は発売に先駆けてS101の実機を入手できたので、1000H-Xや901-Xとの比較も交えつつ、その実体に迫っていきたい。
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S101を最初に見て驚いたのが、一層洗練されたデザインだ。スリムになったボディに加えて、UVコーティングを施したツヤのある天板に、39もの工程を経たメッキ加工の天板フレームと液晶ヒンジ部が、第2世代のEee PCとは違った次元の華やかさを与えている。カラーはこれまでのホワイトとブラックではなく、落ち着いたブラウン、シャンパン、グラファイトの3色を用意しているのも見逃せない。
第2世代のEee PCもNetbookとしてはデザインに凝ったほうだったが、S101はもはや高価なモバイルノートPCと並べても遜色(そんしょく)ないほどになった。違いがあるとすれば、天板にさりげなくプリントされた「Eee」ロゴが、どうしてもNetbookであることを主張してしまうことくらいか。
そのほかにも、パームレストにヘアライン処理と酸化防止処理を採用したり、液晶のヒンジ部の両端をスワロフスキーのクリスタルガラスで飾り、キーボードユニットにラメをちりばめるなど、外観を豪華に仕上げるための工夫が随所に見られる。個人的にはクリスタルガラスの装飾や液晶フレームの光沢塗装、ラメ入りのキーボードは少々やり過ぎのようにも感じるが、派手すぎることはなく、全体に品よくまとまっていると思う。
デザインの好みは人それぞれだが、その外装は見かけ倒しではなく、ラッチレスでぴったりと液晶が閉じたり、ボディ全体がたわまず硬質感を保っている点など、細部までしっかりと作り込まれている。現存するNetbookの中でとりわけボディデザインに注力した製品であることは間違いない。
そのスリム化したボディだが、本体サイズは264(幅)×180.5(奥行き)×18〜25(高さ)ミリ、重量は約1.06キロとなっており、本体サイズが266(幅)×191.2(奥行き)×28.5〜38(高さ)ミリ、重量が約1.45キロだった1000H-Xから、かなりの薄型軽量化を果たしたことになる。
液晶ディスプレイのサイズが一回り小さい901-Xは、本体サイズが225(幅)×175.5(奥行き)×22.7〜39(高さ)ミリ、重量が約1.1キロなので、これと比べても、S101のほうが薄さと軽さで勝っている点に注目したい。S101のほうが画面サイズが大きいため、幅と奥行きが長くなるのは仕方ないところだ。
実際に携帯してみると、同じ画面サイズの1000H-Xは重量が約1.45キロあり、モバイルノートPCとして見た場合に決して軽いほうではなく、背面に厚みがあるので、バッグに入れると意外にかさばる印象だ。S101はボディが平らなうえに薄く、重量も約1.06キロに収まっているため、携帯性は大きく勝っており、かなり軽く感じる。
901-Xと比べた場合、画面サイズの関係で幅と奥行きこそ少し長いが、薄型軽量なので、ブリーフケースのようなマチ幅が狭いバッグへの収まりはS101のほうがよかった。
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