Atom+スリムボディで5万円切りのNetbook「HP Mini 1000」を試す今度はAtomを搭載(2/2 ページ)

» 2008年11月25日 13時30分 公開
[田中宏昌(撮影:矢野渉),ITmedia]
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液晶サイズが大型化するも解像度は一回り小型に

 LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイは10.2型ワイドに大型化した一方で、画面解像度は1024×600ドット表示とHP 2133に比べ一回り小さくなった。液晶表面にアクリルパネル(HP スクラッチ・レジスタント・ディスプレイ)を張った光沢仕様に変わりはなく、視野角は上下方向こそ狭いものの、左右は比較的広めなので視認性はよいほうだ。もっとも、画面への映り込みは顕著で、Eee PC S101のように縦解像度の狭さをフォローするようなユーティリティーは本機に導入されていない。

 液晶の明るさは11段階に切り替えられ、最高輝度にするとややまぶしく感じるほど。なお、ステレオスピーカーは液晶ヒンジ部のシルバー部分に内蔵され、液晶ディスプレイは180度の開閉ができず、140度前後までしか開かない。

10.2型のワイド光沢液晶ディスプレイを採用する(写真=左)。表面にアクリルパネルが装着済みで、画面への映り込みが目につく。解像度はほかのNetbookと同じ1024×600ドットだ。液晶ディスプレイ上部にWebカメラを内蔵する(写真=中央)。GPU-Z 0.2.8の画面(写真=右)

Intel Graphics Media Accelerator Driver for Mobileの画面。グラフィックスメモリには最大128Mバイトのメインメモリが割り当てられる

 キーボードは、ゆとりがあるHP 2133と同じユニットが取り入れられており、アルファベットキーで17.5ミリのキーピッチ(キー自体は16ミリ×16ミリの正方)を確保している。HP 2133は発売当初、英語キーボードも用意されていたが、今では直販/店頭モデルとも日本語キーボードに統一されており、Mini 1000もそれに習った格好だ。最下段のキーは縦方向が19ミリと長くなっており、日本語キーボードながらスペースバーは61.5ミリと長めで、そのぶんほかのキーの横方向は13ミリ(キーピッチは14ミリ)と狭い。

 不規則なキー配列は見られず、強くキーをたたいてもユニットが大きくしなることもなく、快適に入力が可能だが、入力時にわずかではあるがカチャカチャという音がするのは気になった。

 タッチパッドは実測値で59.5×34ミリあり、右側にスクロールエリアを設けている。ジェスチャー機能は対応していないが、シナプティクスの多機能ドライバが導入済みで、コーナータップやエッジモーションといった一通りの機能は備えている。タッチパッドの機能をワンタッチでオン/オフできるボタンがタッチパッド上部に用意されているのも、同社製PCならではといえるだろう。ただ、クリックボタンがタッチパッドの左右に分かれて配置されており、好みが別れるところだ。

アルファベットキーを中心に17.5ミリのキーピッチを確保したキーボードを採用する(写真=左)。パームレストの幅は48ミリある。タッチパッド上部にタッチパッドの機能をオン/オフするボタンが用意される(写真=右)。使用時は白、非使用時はオレンジに点灯する。クリックボタンの幅は約13ミリあり、確かなクリック感はあものの、タッチパッドの左右に分かれて配置されており、慣れが必要となる

シナプティクスのユーティリティーを使えばタップゾーンやエッジモーション、感度調整など細かな設定が行える

インタフェースは割り切った構成

 スリムなボディを採用とした代償として、インタフェースは非常に割り切った構成だ。2基のUSB 2.0とSDHC対応SDメモリーカード/MMC対応のメモリカードスロット、ヘッドフォンとマイク兼用端子、100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LANのみとなる。気になるのは、ただでさえ画面の狭いNetbookを有効活用するための外部ディスプレイ出力が省かれていることだ。左側面に専用の拡張端子があるものの、現時点で接続可能なアダプタは提供されず、今後も未定とのことだ。同社のノートPC「HP Pavilion Notebook PC」シリーズではExpansion Portという独自端子を装備するモデルがあり、日本では対応機器が提供されず(海外では販売済み)宝の持ち腐れとなっているだけに、その二の舞だけはぜひとも避けてほしいところだ。また、有線LANポートがゴムカバーで保護されているのも好みが別れるだろう。

前面は左から電源スイッチ、状態表示ランプ、無線LAN/Bluetoothの電源スイッチが並び(写真=左)、背面はすっきりとしている(写真=右)
インタフェースは両側面にまとまっており、左側面のゴムカバー内に有線LAN端子があり、こちら側にヘッドフォン/マイク端子(ただしマイク単体はサポートせず、ヘッドセットに対応する)、専用拡張端子、排気口、USB 2.0、DC入力が並ぶ(写真=左)。右側面にはメモリカードスロットとUSBのほか、奥にHPミニモバイルドライブ用のスペースがある(写真=右)

選択肢が広がるNetbook/低価格ミニノートPC

試作機のプロパティ画面

 本機の基本スペックは文中や前ページの表で触れてきたが、OSのWindows XP Home Edition(SP3)、IEEE802.11b/g対応の無線LANやBluetooth V.2.1を標準で備えているのを含め(8GバイトSSDモデルは無線LANのみサポート)、競合となる他社のNetbookと大きく異なる部分は見当たらない。Netbookというカテゴリー自体にさまざまな制約があるが、本機ではスリムボディやネジを見せないようにしたデザイン、ストレージのバリエーションで特色を出している。上位モデルのHP 2133と合わせて、選べるラインアップがそろった格好だ。

 本機の発売は直販が12月上旬、量販店向けの店頭モデルは12月中旬に発売される予定だ。価格は同社直販のHP Directplusで8GバイトSSDモデルが4万9980円、そのほかの2モデルが5万4600円となっている。

 激しい戦いを繰り広げているNetbook/低価格ミニノートPC市場だが、デザイン重視のスリムボディを採用した「Eee PC S101」と同様、新たな次元に突入したNetbookの選択肢として、来年に発売される予定のスペシャルモデルを含め、本機の動向には注目していきたい。

試作機のデバイスマネージャ画面

無線LANやBluetoothの電源オン/オフを切り替えるユーティリティー「HP Wireless Assistant」(写真=左)。Bluetoothの設定画面(写真=中央と右)。モジュールはBroadcom製だ

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