LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイは10.2型ワイドに大型化した一方で、画面解像度は1024×600ドット表示とHP 2133に比べ一回り小さくなった。液晶表面にアクリルパネル(HP スクラッチ・レジスタント・ディスプレイ)を張った光沢仕様に変わりはなく、視野角は上下方向こそ狭いものの、左右は比較的広めなので視認性はよいほうだ。もっとも、画面への映り込みは顕著で、Eee PC S101のように縦解像度の狭さをフォローするようなユーティリティーは本機に導入されていない。
液晶の明るさは11段階に切り替えられ、最高輝度にするとややまぶしく感じるほど。なお、ステレオスピーカーは液晶ヒンジ部のシルバー部分に内蔵され、液晶ディスプレイは180度の開閉ができず、140度前後までしか開かない。
キーボードは、ゆとりがあるHP 2133と同じユニットが取り入れられており、アルファベットキーで17.5ミリのキーピッチ(キー自体は16ミリ×16ミリの正方)を確保している。HP 2133は発売当初、英語キーボードも用意されていたが、今では直販/店頭モデルとも日本語キーボードに統一されており、Mini 1000もそれに習った格好だ。最下段のキーは縦方向が19ミリと長くなっており、日本語キーボードながらスペースバーは61.5ミリと長めで、そのぶんほかのキーの横方向は13ミリ(キーピッチは14ミリ)と狭い。
不規則なキー配列は見られず、強くキーをたたいてもユニットが大きくしなることもなく、快適に入力が可能だが、入力時にわずかではあるがカチャカチャという音がするのは気になった。
タッチパッドは実測値で59.5×34ミリあり、右側にスクロールエリアを設けている。ジェスチャー機能は対応していないが、シナプティクスの多機能ドライバが導入済みで、コーナータップやエッジモーションといった一通りの機能は備えている。タッチパッドの機能をワンタッチでオン/オフできるボタンがタッチパッド上部に用意されているのも、同社製PCならではといえるだろう。ただ、クリックボタンがタッチパッドの左右に分かれて配置されており、好みが別れるところだ。
スリムなボディを採用とした代償として、インタフェースは非常に割り切った構成だ。2基のUSB 2.0とSDHC対応SDメモリーカード/MMC対応のメモリカードスロット、ヘッドフォンとマイク兼用端子、100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LANのみとなる。気になるのは、ただでさえ画面の狭いNetbookを有効活用するための外部ディスプレイ出力が省かれていることだ。左側面に専用の拡張端子があるものの、現時点で接続可能なアダプタは提供されず、今後も未定とのことだ。同社のノートPC「HP Pavilion Notebook PC」シリーズではExpansion Portという独自端子を装備するモデルがあり、日本では対応機器が提供されず(海外では販売済み)宝の持ち腐れとなっているだけに、その二の舞だけはぜひとも避けてほしいところだ。また、有線LANポートがゴムカバーで保護されているのも好みが別れるだろう。
本機の基本スペックは文中や前ページの表で触れてきたが、OSのWindows XP Home Edition(SP3)、IEEE802.11b/g対応の無線LANやBluetooth V.2.1を標準で備えているのを含め(8GバイトSSDモデルは無線LANのみサポート)、競合となる他社のNetbookと大きく異なる部分は見当たらない。Netbookというカテゴリー自体にさまざまな制約があるが、本機ではスリムボディやネジを見せないようにしたデザイン、ストレージのバリエーションで特色を出している。上位モデルのHP 2133と合わせて、選べるラインアップがそろった格好だ。
本機の発売は直販が12月上旬、量販店向けの店頭モデルは12月中旬に発売される予定だ。価格は同社直販のHP Directplusで8GバイトSSDモデルが4万9980円、そのほかの2モデルが5万4600円となっている。
激しい戦いを繰り広げているNetbook/低価格ミニノートPC市場だが、デザイン重視のスリムボディを採用した「Eee PC S101」と同様、新たな次元に突入したNetbookの選択肢として、来年に発売される予定のスペシャルモデルを含め、本機の動向には注目していきたい。
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