記録メディアやストレージ市場で確固たる地位を築くイメーションが、ポータブルHDDやUSBメモリといったPC用周辺機器を続々と投入している。その背景や戦略を聞いた。
「イメーション」という言葉を聞いて、皆さんは何を想像するだろうか? 多彩なBlu-rayディスクやDVD/CDメディアだろうか。古くからお世話になっているフロッピーディスクやMOメディア、さらにはテープカートリッジやデータカートリッジ、データテープだろうか。あるいは、USBフラッシュメモリやポータブルHDD、ユニークなライブラリーシステム「Disc Stakka」を思い浮かべるかもしれない。そのほか、海外ではメモレックスブランド、日本ではTDK Life on Recordブランドのメディアなどでお世話になっている人が多いだろう。
イメーションの歴史をひもとくと、源流は1902年に創業した3M Companyに行き着く。1953年に世界初のコンピュータテープを発売し、1985年には初のリライタブル光ディスクを発表するなど、55年を超える記録メデイアの開発と販売の歴史を誇る。イメーションは1996年7月に3Mのデータストレージシステム事業が分離・独立して設立され、その後もMemorexの買収(2006年)、TDK Life on Recordの記録メディア販売事業の取得および記録メディア分野におけるTDK Life on Recordブランドの使用権取得(2007年)と着実に拡大を続け、BtoBとBtoCの両市場で存在感を増している。
このように、データストレージメディアのリーディングカンパニーとして君臨しているイメーションだが、これまでの「磁気テープ」や「オプティカル」といった主力事業に加え、近年は「フラッシュメモリ」や「リムーバブルHDD」分野に製品を積極的に投入し、これらを成長分野と位置付けて事業展開を行っている。
一方で、エクサバイトブランドメディア製品の独占的販売権を獲得(2003年)したり、IBMやサン・マイクロシステムズ、Hewlett-Packard(HP)などと流通協定や技術協力を結び、マルチブランドによる事業領域の拡大を続けている。同社では、これらを「ブランド&プロダクトマネジメント」と呼び、長年培ってきた“データを守る”のに不可欠な高い「品質」と、グローバルカンパニーとしてのスケールメリットを生かした製品調達力や販売力を武器にして、ビジネスを展開している。
「光学メディアや磁気テープは規模から考えて間違いなく事業の柱ですが、中長期的なことを考え、フラッシュメモリやHDDは成長の糧として事業に取り組んでいます」と同社 コンシューマ商品 マーケティング本部 本部長 桂幹氏は説明する。
「ブランド&プロダクトマネジメント・カンパニー」としてのイメーションが放つ次の一手は、コンシューマー向けのHDDだ。従来からBtoB市場で提供してきたリムーバブルHDDやカートリッジHDDで積み上げてきたノウハウ、HDDベンダーとの関係性を惜しみなく投入して開発されたのが、2.5インチHDDを内蔵した「Portable HD」シリーズである。
ここで取り上げる「Apollo Portable HD」は、Portable HDシリーズの第2世代にあたる製品だ。第1世代は、米国でメモレックスブランドとして販売が行われ、日本でもPortable HDとしてラインアップされていたが、米国での開発リソースをベースにして、当初から世界規模での展開を視野に入れて企画されたのがApollo Portable HDだ。
本製品のマーケティングに携わった同社コンシューマ商品 マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 ペリフェラルグループ マネージャーの三田健語氏は、「イメーションは世界各地を4つのリージョンに分けて展開しています。米国、ヨーロッパと中近東、アジアパシフィック、そして日本です。つまり日本の比重はそれだけ大きく、当然、日本でもリサーチが行われました」と語る。
その結果、ポータブルHDD利用者の約25%が据え置き、約27〜28%はそれほど持ち出さないで利用しているという驚くべき実態が浮かび上がってきたという。実に半数以上のユーザーが、ポータブルHDDを持ち歩かずに使っているわけで、それならば場所をとらないスリムでコンパクトなボディや、デザインにこだわった製品が望ましく、セキュリティ機能よりもノートPCなどのデータバックアップ機能が必須ではないか、という議論を経て、Apollo Portable HDシリーズが産声を上げた。
容量別に3モデル(PHDD-320GB/PHDD-250GB/PHDD-160GB)をラインアップするApolloシリーズだが、いずれもヘアライン加工を施したブラックボディを採用し、本体厚が17.2ミリと競合製品よりもスリムに仕上がっているのが印象的だ。ライバル機の多くが、どちらかというとビジネス用途に向いた外観を備えているのに対し、Apolloシリーズはブラックを基調にシルバーラインをアクセントに取り込んだスタイリッシュなボディを採用することで仕事だけでなく、さまざまなライフスタイルシーンにも適合できる上品さを獲得しているのがポイントだろう。
ポータブルHDDは、大容量データの受け渡しやデータの持ち運びに適するだけでなく、普段使っているPCのバックアップや、ストレージ容量が少ないNetbookのデータタンクとして使うのにも向いている。
ボディサイズは80.9(幅)×127.4(奥行き)×17.2(高さ)ミリと小型で置き場所に困らず、重量も約160グラムと軽量だ。オフィスやリビングなど、どこに置いても違和感なく使えるだけでなく、持ち運ぶ際もかさばらなくて済む。
PCと接続するUSBケーブルに、電源供給用のポートを備えたY字タイプを採用しているのも見どころだ。通常は1本のケーブルを接続するだけでHDDは使えるのだが、まれにUSBバスパワーで電力供給が不足する場合でも、補助電源ケーブルをUSBポートに接続すれば問題なく利用できるわけだ。ケーブル長も65センチほどで取り回しもよく、補助電源用のポートをグレーに色分け(データ用はブラック)しているのも気が利く。
対応OSがWindows Vista/XP/2000だけでなく、Mac OS X 10.2.8以降と幅広く、WindowsとMacに両対応したバックアップソフトウェア「TotalMedia Backup」が付属するのも見逃せない。インストールは簡単で、ApolloシリーズをPCに接続してHDD内にあるインストーラーをダブルクリックするだけでいい。
TotalMedia Backupは、データの完全バックアップや差分バックアップを自動的に行え、スケジュールを指定することも可能だ。また、写真や動画、音楽ファイル、個人用文書などフォーマット別にバックアップも指定でき、復元作業もウイザード形式で手軽に行える。いったんフォーマットを変更する必要があるものの、Mac OS X Leopardに付属する「Time Machine」用のバックアップドライブとしても指定できるので、活用の幅は大きく広がる。このあたりの懐の広さは、グローバルカンパニーとして活躍する同社製品らしい仕様といえるだろう。
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提供:イメーション株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年12月11日