経営の立て直しを目指す九十九電機は、商品在庫の差し押さえによる対外業務の一時中断を経て、11月末に元・ツクモ9号店の建物を利用し特設店舗をオープンさせ復活に向けて動き出した。それから1週間弱でTSUKUMO eX.の1階フロアで営業を再開、12月5日には同店1〜4階とツクモパソコン本店でも通常営業をはじめた。
特設店舗オープン時は目立ったキャンペーンを打たず、周囲のショップから「支えてくれたお客さんに感謝や報告が足りないんじゃないか」といった意見も聞かれたが、TSUKUMO eX.再開の際には「お客様感謝セール」を実施し、大いに盛り上げている。
この急速な復活劇に、賛辞の声を周囲のショップからいくつか聞いた。あるベテラン店員氏は「正直、九十九電機だからこそできた復活劇ですね。ウチではまず無理です。九十九電機はもともと小売り分野では黒字だったという話もありますが、停滞気味の自作PC市場で底力をみせてくれたのは、大きな励みになります」と語った。
とはいえ、「まだ予断は許されない」と慎重に見守る姿勢もある様子だ。某ショップは「九十九電機が復活を急いだのは、12月のボーナス商戦で大いに売って当面の現金を手に入れたいという思惑があると思います。復活といっても、商品を大量に仕入れて、借金は増えているはず。これまでの蓄えもなくなっているのだから、12月中に派手に売らないとすぐショートしてしまうのではないか。崖っぷちの状態だからこそ、すばやく復活していると見るべきです」と分析し、そのうえで「まあ、少なくともユーザーの支持は失っていないのだから、希望は持てますよ」とエールを送る。完全復活を期待したいところだ。
また、中古PCショップ「U&J Mac's plus」の店長は、視野を全国に広げて電気街の明日を憂う。「ここ最近は、地方の量販店が閉鎖されて流れてくる商品がたくさん入荷できるようになっています。良い商品が仕入れやすいのはうれしいですが、全国規模でPCパーツショップが縮小傾向にあることを示す端的な事象といえます。そのなかで、アキバは人が多く集まるという代え難いメリットある。このメリットを持ち続けるには、たくさんのショップが集まるというアキバならではの魅力がないといけません。そういう意味で、九十九電機さんにはがんばってほしいですね」とコメントしていた。
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