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手ごろな大画面PCはないのか――デルの「Vostro 1710」なんていかが?狙い目は法人モデル(1/2 ページ)

» 2008年12月11日 11時11分 公開
[富永ジュン,ITmedia]

SOHOをメインターゲットにしたVostroシリーズ

 デルのPCといえば、大幅値下げされたNetbook/低価格ノートPCの「Inspiron Mini 12」や「Inspiron Mini 9」を筆頭に、StudioシリーズやXPSシリーズといった個人向けラインアップがおなじみだが、日本でシェアを稼ぎ出しているのは、法人向けのPCだ。サポートメニューと機能面を充実させた大〜中規模企業向けの「OptiPlex」「Latitude」シリーズ、ワークステーションの「Precision」シリーズが用意されている。2007年にはSOHO/小規模企業をターゲットにした「Vostro」ブランドが追加された。

 Vostroは、「導入・運用の手間やコストの観点から新たなPCの導入を見合わせていたり、専任のIT担当者を置くことができないスモールビジネスに対し、規模や用途に合わせた最適な製品、運用サービスを、最適なコストで提供する」(同社)ことを目的としたシリーズだ。そのため、単純にコストパフォーマンスを高めるだけでなく、簡易オンラインアクセスツール「Dell Connect」を利用したリモート診断・修復や、アプリケーションおよびネットワークなどの関連する問い合わせにも応じる電話サポート「エンドユーザ・デル・プロサポート」といった中小企業専門のサポートやサービスメニューも用意されているのが特徴だ。

大企業向けブランドの「Latitude」(写真=左)、「OptiPlex」シリーズ(写真=中央)。そしてワークステーションの「Precision」シリーズ(写真=右)

 2007年7月に立ち上がったVostroシリーズの現行ラインアップは、ノートPCがNetbookの「Vostro A90」を皮切りに液晶ディスプレイの大きさ別に7モデル、デスクトップPCもケースサイズ別に3モデルが用意される。特にノートPCは、12.1型ワイド(1280×800ドット)液晶の「Vostro 1200」、13.3型ワイド(1280×800ドット)の「Vostro 1310」、15.4型ワイドの「Vostro 1510」と「Vostro 1000」、15.6型ワイドの「Vostro A860」、そして17型ワイドの「Vostro 1710」と多彩な顔ぶれがそろう。

 このうち、第2世代となるVostro 1310、15101710の3機種では、他機種と比較して薄型・軽量ボディとなっているほか、ギガビットLANが標準搭載となり、オプションで指紋認証デバイスを選択できるのが特徴だ。今回は、Vostroシリーズの中で最大の画面サイズとなる17型ワイド液晶を備えたフラッグシップモデル「Vostro 1710」を紹介しよう。

10キーを備えたキーボードを採用

17型ワイド液晶ディスプレイ搭載の最上位モデル「Vostro 1710」

 シンプルなスクエア形状のボディは、オフィスにもしっくりとなじむブラックカラーが採用されている。液晶ディスプレイの天板は、ヒンジの少し上にある切り返し部分から全面につややかなクリアコーティングが施され、シルバーのラメが散らされているのが目を引く。一見するとラメが入っていることに気がつかないぐらい細かく目立たないものだが、光があたる角度によって微妙にブラックの色の深みが変わり、樹脂製天板ながらも質感の向上に役立っている。

 天面中央にシルバーのエンボスロゴが配置された液晶ディスプレイを開くと、ブラックベースに細かなシルバーのラメという組み合わせはそのままながらも、パームレストや液晶フレーム部はさらりとした手触りのつや消しコーティングに変わり、さらに落ち着いた雰囲気となる。

 本機が採用するキーボードは、シール保護された簡易防水・防じんのもので、ボディサイズが393(幅)×286(奥行き)×33.6〜40.5(高さ)ミリとゆとりがあるため、10キーも用意されている。キーピッチは19ミリ、キーストロークは約3ミリを確保しているものの、底板の強度が十分でないのか、キーを押し込んだ際にふにゃふにゃとした感覚が伝わってくる(特にEnterキーや10キー周辺)。また、カーソルキーがほかのキーより一段下がった配置になっているとはいえ、ボディサイズに余裕があるにもかかわらず上下の幅が狭い横長のキーが採用されていて、少々打ちづらいと感じた。細かいところでは、10キー部分の最下段にPageUp、PageDown、Home、Endキーが並んでおり、慣れるまではミスタイプを誘発しそうだ。もっとも、パームレスト部分は118ミリと広く、ゆとりをもって入力が可能だ。また、ボディ手前の部分が面取されて角張っていないため、パームレストに手を置いても手が痛くならない工夫が施されている。

 一方のポインティングデバイスは、2ボタンタイプのタッチパッドで、パッド面が74×44ミリあり、ボタンのクリック感もしっかりしていて使いやすい。アルプス製のシンプルなドライバが導入されているが、外付けUSBマウスが接続された場合に自動的にタッチパッドを無効にする設定や各ボタンへの機能割り当てといった設定は利用できる。

 キーボード上部には静電容量式のタッチボタンが並び、電源ボタンのほか、再生/一時停止、停止、曲送り、音量調整、光学メディアイジェクトといったマルチメディアアプリケーションをワンタッチで操作できる。しかし、なぜか消音だけは専用ボタンが用意されておらず、FnキーとDeleteキーを同時に押すホットキーで実現する。頻繁に利用する機能だけに専用ボタンが用意されていれば便利なのにと感じた。

第2世代となり、内部のフレームがマグネシウム合金になって強度がアップしたほか、液晶ディスプレイ天面に光沢塗装が施されて見た目は格段に向上した(写真=左)。重量は構成にもよるが、評価機は約3.4キロあった。手の脂や指紋が目立ちやすいが、クリーニングクロスが付属する。大柄なボディを生かして、10キー付きのキーボードを採用する(写真=中央)。キーボードとタッチパッド上部に24ミリも離れているため操作に慣れを必要とするかもしれないが、このクラスのノートPCは外付けマウスでの利用が前提なので大きな問題にはならないだろう。アルプス製のシンプルなドライバが導入済みだ(写真=右)

状態表示ランプや静電容量式のワンタッチボタンがキーボード上部に並ぶ(写真=左)。ボタンにタッチすると青色LEDが点滅する。第2世代のVostroから、光学ドライブがスロットイン式に変更された(写真=右)

 拡張性は、オーソドックスだが過不足なく一通りのインタフェースを搭載している。USB 2.0の端子が6基あるほか、4ピンのIEEE1394、メモリカードスロット、ExpressCardスロット(ExpressCard 54/34両対応)が両側面に並び、スロットイン式の光学ドライブは右側面に内蔵されている。

前面に電源ランプと充電ランプ、SDメモリーカード(SDHC対応)/メモリースティックPRO/MMC対応のメモリカードスロット、下部左側にステレオスピーカーが並ぶ(写真=左)。背面はバッテリーとギガビット対応の有線LAN、アナログRGB出力がある(写真=右)

左側面には4基のUSB 2.0と排気口、ExpressCardスロットが(写真=左)、右側面には無線LANの電源スイッチと4ピンのIEEE1394、2基のUSB 2.0などが配置される(写真=右)。光沢塗装は両側面および前面下部にも施されている

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