DisplayPortからD-Subまで――液晶ディスプレイの「映像入力インタフェース」を網羅するITmedia流液晶ディスプレイ講座II 第2回(2/4 ページ)

» 2008年12月12日 10時00分 公開
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2つの新世代デジタルインタフェース

 最新のデジタルインタフェースとして注目を集めているのが、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)とDisplayPortだ。両者に共通の特徴としては、映像信号と音声信号を1本のケーブルでデジタル伝送できることや、ケーブルの着脱が容易なことなどが挙げられる。

 HDMIとDisplayPortのコネクタ形状は、USBのシリーズAコネクタ(PCなどUSBホスト側)と似ており、コネクタのサイズも少し大きくした程度だ。コネクタ部分にはネジがないので、簡単に着脱できる(半面、ケーブルに手や足を引っかけて抜けやすいというデメリットも指摘されている)。

左がHDMI(タイプA)、右がDisplayPortのメスコネクタ。どちらもサイズと形状が似ているが、HDMIは19ピン、DisplayPortは20ピンでコネクタ形状が左右非対称となっている。ちなみに、HDMIは1080pを超える解像度に対応する29ピンのタイプBコネクタも定義されている

 また、HDMIとDisplayPortは、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection system)にも対応している。HDCPはデジタルコンテンツの著作権保護技術で、出力機器と入力機器が相互に認証し、認証できた場合のみ映像を表示する仕組みだ。

 HDMIとDisplayPortの映像信号は、PCのデジタルインタフェースであるDVI-Dとの間で相互に変換できるのも特徴だ。出力側がDVI-D/HDMI/DisplayPortのいずれか、そして入力側がDVI-D/HDMI/DisplayPortのいずれかでも、適切な変換アダプタ/ケーブルを使うことで映像の入出力が行える。ただし現状では、入出力機器の対応によって、正常に相互変換できない(画面が正しく映らない)場合も見られる。

 なお、HDMIとDisplayPortは映像/音声を1本のケーブルで伝送可能だが、DVI-Dが伝送するのは映像のみで、音声は別の入出力端子とケーブルを使う。このため、DVI-DとHDMI/DisplayPortを変換する場合、1本のケーブルで伝送できるのは映像のみとなる(中にはDVIから変換アダプタを介して音声まで伝送する製品もある)。

 HDMIとDisplayPortに関しては、もう少し詳しく見ていこう。

ハイビジョン対応デジタルインタフェースの新標準「HDMI」

 テレビやレコーダーを中心に今ではすっかりおなじみのインタフェースとなったHDMIは、Silicon Imageを中心として、ソニー、東芝、Thomson Multimedia、パナソニック(旧:松下電器産業)、日立製作所、Philipsによって2002年12月に策定された。映像信号はPCのデジタルRGBインタフェースである「DVI-D」をベースにしており、これに音声伝送やDRM(著作権保護機能)などを追加している。HDMIは主に家電やAV機器のデジタル映像/音声インタフェースを想定したものだ。

HDMI(タイプA)のメスコネクタ(写真=左)とオスコネクタ(写真=中央)。HDMIのケーブルは小型でUSBのように着脱が容易だ(写真=右)。HDMIケーブルは伝送速度試験で74.25MHzにクリアした「Standard」(カテゴリ1)、340MHzにクリアした「High Speed」(カテゴリ2)の2種類があり、1440pなど超高解像度の信号を扱う場合はHigh Speedケーブルが推奨されている

 HDMIを語るうえで避けては通れないのが、HDMI規格のバージョンによる機能の違いだ。目立った部分は下表にまとめたが、HDMIバージョン1.2aまでとHDMIバージョン1.3以降において、実装する機能に大きな差が生じている。

 HDMIのバージョンには下位互換性があるため、出力側がバージョン1.3以降で入力側がバージョン1.2a以前でも、映像や音声が入出力されないようなことはない。しかし、出力機器がバージョン1.3以降で実装された機能を使用している場合、その機能はバージョン1.2a以前の入力機器ではキャンセルされる。

 もっとも、HDMI 1.3では広色域規格の「xvYCC」や24ビット超の色情報を扱える「Deep Color」などを盛り込んでいるものの、これらはオプション仕様にすぎない。1.3のようなバージョンナンバーはあくまでも技術仕様の番号であり、メーカーは製品に応じて各機能を取捨選択して実装することが可能だ。よって、「HDMI 1.3a」をうたう製品でもHDMI 1.3aがサポートする全機能を搭載しているわけではない点に注意してほしい。

HDMI各バージョンの主な機能その1
バージョン リリース 伝送周波数/帯域 解像度 フレームレート 色深度 色空間 PC入出力サポート
1.0 2002年12月 165MHz/4.95Gbps 1080p 60Hz(fps) 24ビット YCrCb
1.1 2004年5月 165MHz/4.95Gbps 1080p 60Hz(fps) 24ビット YCrCb
1.2 2005年8月 165MHz/4.95Gbps 1080p 60Hz(fps) 24ビット YCrCb、RGB
1.2a 2005年12月 165MHz/4.95Gbps 1080p 60Hz(fps) 24ビット YCrCb、sRGB
1.3 2006年6月 340MHz/10.2Gbps 1440p(2560×1440ドット) 120Hz(fps) 24ビット、30/36/48ビット(Deep Color) YCrCb、sRGB、xvYCC
1.3a 2006年11月 340MHz/10.2Gbps 1440p(2560×1440ドット) 120Hz(fps) 24ビット、30/36/48ビット(Deep Color) YCrCb、sRGB、xvYCC

HDMI各バージョンの主な機能その2
バージョン PCM(192kHz/24ビット・8ch) Dolby Digital DTS DVD Audio SACD DolbyTrueHD、DTS-HD Master Audio CEC(※1) Lip Sync(※2) ミニコネクタ
1.0
1.1
1.2
1.2a
1.3
1.3a ○(機能追加)
※1 CEC(Consumer Electronic Control):HDMI接続された機器同士を制御する信号で、シャープの「AQUOSファミリンク」、東芝の「レグザリンク」、パナソニックの「ビエラリンク」などで利用されている。 ※2 Lip Sync:映像と音声の同期ズレを自動補正する機能

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年3月31日