富士通がFMV-BIBLO NWをむいてくれた そこまでやって大丈夫?

» 2008年12月16日 11時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 12月15日に発表されたFMV-BIBLO NWは、富士通のノートPCとしては初めて水冷を組み込んだハイブリッドクーラーユニットを導入したほか、タッチパネルを組み込んだ480×272ドット表示可能な4型ワイド液晶サブディスプレイを搭載するなど、新機軸のデバイスを搭載したフラッグシップノートPCとして、2009年春モデルのなかでも注目を集めそうなモデルだ。

 その新しいギミックを搭載したFMV-BIBLO NWを、開発者自らが分解し、その特徴を紹介するデモンストレーションが富士通で行われた。

注意

  • 製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは富士通のデモで使用した機材のものであり、すべての個体にあてはまるものではありません。
  • 今回の分解作業は開発用テスト機材をデモのために分解しているため、静電対策を施さない状態で行っています。富士通における実際の分解作業では、静電気による事故を防ぐために厳重な静電対策を施した状態で行っています。

手順1:バッテリーパックを外す

手順2:底面からキーボード面まで固定しているネジを外す

手順3:キーボードの上側にあるタッチスクエアが組み込まれたパネルを外し、次いでキーボードのケーブルを抜いて外す。FMV-BIBLO NWにはテンキーも用意されているが、これらは1つのユニットとして組み込まれている

手順4:再度、底面からHDDを取り出し、残っているネジを外してから底面パネルを外す。この段階でシステムボードとクーラーユニット、内蔵ドライブが姿を現す

手順5:3波デジタル対応チューナーMini PCI Expressカードとカードスロットが組み込まれたサブボード、空冷水冷クーラーユニット、内蔵ドライブを取り外す

手順6:タッチスクエアが組み込まれたパネルから、サブディスプレイモジュールを取り出す


分解は、バッテリーを外して底面からネジを外していく作業から始まった(写真=左)。ネジを外したのち、ボディを表に返したら、キーボードの上にあるタッチスクエアを組み込んだパネルを外し(写真=中央)、フレキシブルケーブルを抜いてキーボードユニットを取り外す(写真=右)

ボディを再度裏返して底面に残ったネジを外し(写真=左)、カバーを外してHDDを取り出し(写真=中央)、カードスロットのダミーカバーを抜いてから、ボディの下側ユニットをカゴッと外すと……(写真=右)

ボディ内部全体が姿を現す。手前側がボディ背面にあたる

 サブディスプレイや水冷クーラーユニットなどが注目されるFMV-BIBLO NWだが、国産ノートPCとしては初めてとなる3波対応デジタルチューナーや、BD-R、BD-REへの書き込みに対応するBlu-ray DISCドライブを搭載するなど、ノートPCとしての仕様も充実している。CPUはCore 2 Duo P8600(動作クロック2.4GHz)、チップセットは統合型のIntel G45 Expressで、メモリはPC3-8500 DDR3 SDRAMを2つのスロットに1Gバイト×2の構成で実装する。

底面から見て手前左寄り(通常の状態では手前右側)にあるサブボードに、ExpressCard、SDメモリーカードスロットと3波対応デジタルチューナーを搭載する

 ファンを組み込んだ水冷クーラーユニットはサイズを小さくすることで製造コストを抑えている(しかし、それでもシステム全体のコストにおけるウエイトは上位になるという)。小型化は、マザーボードに冷却するパーツをまとめて配置することで可能になったと開発スタッフは説明している。重さは約200グラム。

 クーラーユニットの素材はアルミニウムで、CPUジャケットの部分に銅のプレートを組み込んでいる。CPUジャケットの奥に見える黒い部分がポンプユニットだ。2本のパイプで冷却液を循環する。CPUジャケットから右に伸びている部分にはノースブリッジと海外モデルで搭載されるGPUに接着する凸部が見える。今回分解された機材は国内向けモデルであったため、ノースブリッジ部分にのみグリスが確認できた。

底面から見て左側奥(通常の状態では右側面奥)に搭載されるクーラーユニット(写真=左)。排気口は背面になる。搭載するファンは通常60%程度のゆっくりした回転数で騒音を抑えている。CPUに接する部分は銅のプレートを組み込み、その奥の黒い部分がポンプユニット、右に伸びているのがノースブリッジと(海外モデルで搭載される)GPUに接する部分になる(写真=右)

FMV-BIBLO NWはHDDを1基だけ搭載できる(写真=左)。FMV-BIBLOのフラッグシップモデルでは、HDDを2基搭載することも多いが、FMV-BIBLO NWでそうしなかった理由として開発スタッフは、コンシューマーユーザーではRAIDなどの需要があまりなかったことと、1基のHDDでも十分な容量を確保できるようになったことを挙げている。FMV-BIBLO NWでは12.5ミリ厚のHDDまで搭載できるドライブベイが用意されている(写真=右)

タッチパネルを組み込んだサブディスプレイの「タッチスクエア」は、解像度480×272ドットの4型ワイド液晶ディスプレイを採用する。テレビやDVD-Videoを表示するときは、OS側で960×544ドットとして認識された映像が、タッチスクエアでスケーリングされて再生される

 マザーボードは10層基板を採用する。底面側に発熱の多いCPUとノースブリッジ、メモリスロットを配し、表側にサウスブリッジを向けている。海外ではGPU搭載モデルも用意されるが、マザーボードはそれぞれ別に用意され、レイアウトや配線パターンなども異なる。国内モデルでGPU搭載モデルを用意しない理由として、日本では専用のGPUを必要としているコンシューマーノートPCユーザーが少ないことを挙げている。

マザーボードは底面側に発熱の多いCPUとノースブリッジ、メモリスロットを配し、表側にサウスブリッジを向けている(写真=左)。このボードは試作機向けのもので、サウスブリッジ側にはMini PCI Expressが2つ確認できるが(1つは無線LANモジュールが組み込まれている)、製品版では空いているスロットはなくなっている(写真=右)

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