「よくできました」「がんばりましょう」「よくがまんしました」──新世代パーツ通知簿2008年版イマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年12月31日 09時43分 公開
[長浜和也,ITmedia]

立ち上がり好調のCore i7、ようやく離陸のPhenom

 CPUでは、“Nehalem”という開発コード名で長らくユーザーの注目を集めていた新アーキテクチャが「Core i7シリーズ」として市場に登場した(Nehalemのパフォーマンスは?──Core i7 965 ExtremeとCore i7 920の性能に迫る)。Core i7に対応するIntel X58 Express搭載マザーボード(写真で予習するX58マザー(その5)──実用的なハイエンドを目指したMSI「X58 Platinum」写真で予習するX58マザー(その4)──ゲーマーもクロッカーも満足のASUS「Rampage II Extreme」写真で予習するX58マザー(その3)──巨大なヒートシンクに驚くGIGABYTE「GA-EX58-EXTREME」写真で予習するX58マザー(その2)──省電力を強化したMSI「Eclipse」写真で予習するX58マザー(その1)──機能充実のASUS「P6T Deluxe」)と合わせて、ハイエンドユーザー向けの高額ラインアップにしぼって登場すると思われていたが、3万円台というミドルレンジ価格のCore i7 920も投入されたこともあって、好調な立ち上がりを見せている。

 イマイタレビューで測定されたCore i7のパフォーマンスは、総じてほかのCPUを圧倒していたものの、オフィスソフトで構成されるSYSmark2007 Preview:Productivityでやや不利になる局面も確認された。

Core i7シリーズで測定したSYSmark2007 Preview:Rating(写真=左)とSYSmark2007 Preview:Productivity(写真=右)

 立ち上がりこそ何かと問題のあったPhenomも、2008年には「B3ステップで本格離陸なるか──「Phenom X4 9850 Black Edition」で占う」で紹介したB3ステップの登場以降、ようやくユーザーが安心して購入できるようになった。その後、トリプルコア(AMDから登場した“コア3つ”なCPU──「Phenom X3 8750」を試す)や低消費モデル(Phenom X4 9350eとAMD 780Gで、パワフルな省電力システムは実現するか)が登場するなど、価格と省エネで勝負するラインアップが続いた。イマイタレビューにおけるPhenom X3 8750の評価では、デュアルコアCPU相当の価格でそれを大幅に上回るパフォーマンスが注目されていた。

Phenom X3 8750で測定したSYSmark2007 Preview:Rating(写真=左)とTMPGenc 4 Xpress Ver.4.4.0.233(MPEG2 6312 8Mbps to MPEG2 4Mbps CBR)フレームレート(写真=右)

 12月には、デュアルコアPhenomともいえる“Kuma”コアのAthlon X2 7000シリーズが登場した(“Kuma”は冬眠はしない──K10世代デュアルコアの「Athlon X2 7000シリーズ」で費用対効果を考える)。イマイタレビューで測定したベンチマークテストの結果は、同じバリュークラスのCPUながら、従来のK8世代Athlon X2を超える性能を示した。ただ、省電力で低価格モデルのPhenom X4 9350eにSYSmark 2007 Previewで引き離されるなど、デュアルコアの制限やクアッドコアPhenomと同等の消費電力など、懸念材料も同時に指摘されている。

Athlon X2 7750 Black Editionで測定したSYSMark 2007 Preview Patch-4:Ratings(写真=左)と、消費電力:CnQ=オン/アイドル時/ミニマム値(写真=右)

膨張するGeForce。復活のRadeon

 GPUでは、NVIDIA、AMDともに新世代となるGeForce GTX 200シリーズ、Radeon HD 4000シリーズが登場した。基本的なアーキテクチャは従来シリーズと共通だが、GeForce GTX 200シリーズは、従来シリーズを拡大進化させる方向で「GeForce GTX 280」「GeForce GTX 260」が開発された一方で(「新世代GPU」の実力はあるのか?──GeForce GTX 280ベンチマークレビュー)、Radeon HD 4000シリーズでは“効率重視の設計”が採用された「Radeon HD 4870」「Radeon HD 4850」が投入された(GeForce 9800 GTXに負けないっ! 新世代ミドルレンジ「Radeon HD 4850」)。

 一足先に登場したGeForce GTX 280のイマイタレビューでは、従来モデルで登場から間もないデュアルGPUグラフィックスカードのGeForce 9800 GX2を重負荷条件のベンチマークテストで上回っただけでなく、2008年のGPUで強く訴求されるようになったGPGPUとしての性能として測定したトランスコード処理でCPUを大きく上回る速度も確認された。

GeForce GTX 280で測定した3DMark06 3DMark Score(写真=左)と、Crysis 1.1 Benchmark_GPU(写真=右)

 続いて登場したAMDのRadeon HD 4850、そしてRadeon HD 4870とGeForce GTX 260も加えて比較したイマイタレビュー(北京直前!GPUトップアスリートで競う“ベンチマークオリンピック”)では、性能も価格も抜き出たGeForce GTX 280は別格として、AMD側が「競合相手」と想定していたGeForce GTX 260とRadeon HD 4870とでは、ほぼ互角の結果を出しているが、価格はRadeon HD 4870が安く設定されている(この傾向は2008年の大晦日でも変わっていない)。この、パフォーマンスと価格のバランスが多くのユーザーに支持されて、長らくGeForceに苦戦を強いられてきたRadeonが、2008年に奇跡の復活をはたした。

Radeon HD 4870、Radeon HD 4850、GeForce GTX 280、GeForce GTX 260で測定した3DMark Vantage:Graphics Score(写真=左)とCrysis 1.1 GPU_Benchmark(写真=右)

 2008年のイマイタレビューで最初に登場したのが「Radeon HD 3870 X2」(「Radeon HD 3870 X2」は1枚の価格で2個分の性能を発揮できるか)だったように、NVIDIAとAMDがハイエンドラインアップとしてデュアルGPUに力を入れていたのも2008年の特徴として挙げられる。このカテゴリーは、単体GPUのハイエンドモデルがいきわたり、オーバークロックモデルもひと通り出尽くすと、次世代のGPUが登場するまでのつなぎとして投入されることが多かったが、今ではNVIDIAもAMDもGPUの“予定された”ハイエンドモデルとしてデュアルGPUグラフィックスカードを“正式な”ラインアップとして投入、もしくは発表している。

「Radeon HD 4870 X2」(RadeonはGeForceを追い越せたのか──「Radeon HD 4870 X2」を「GeForce GTX 280」にぶつけてみる)では、3DMark系の重負荷条件ベンチマークテストでGeForce GTX 280を完全に抑えている。しかし、デュアルGPUは、マルチGPUの利用が前提となっているため、この効果があまり出てこない軽負荷条件の測定やゲームタイトルでベンチマークテストを行うと、単体GPUのGeForce GTX 280に逆転されるケースも確認された。NVIDIAが2009年1月に正式発表する予定の最上位モデル「GeForce GTX 295」もデュアルGPUグラフィックスカードだ。

Radeon HD 4870 X2で測定した3DMark06 3DMark Score(写真=左)とCrysis 1.1 GPU_Benchmark(写真=右)

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