Macworld Expoはなくなってしまうのか?――開幕直前リポートMacworld Conference & Expo 2009(1/3 ページ)

» 2009年01月06日 19時00分 公開
[林信行,ITmedia]
Macworld Expo開幕直前のサンフランシスコ

 Macworld Expoは、1985年から毎年開催されているMacのトレードショーだが、もしかしたら今年が最後になるかもしれない。

 既報のとおり、アップルは今回のMacworld Expoを最後に同イベントへの出展をとりやめることを公式発表している。また、2009年はイベント最大の目玉となるアップルCEO、スティーブ・ジョブズ氏による基調講演も行われず、代わりにワールドワイドマーケティング担当の上級副社長、フィル・シラー氏が講演を行う。

 シラー氏は、これまでに何度もジョブズ氏の代打を務めてきた人物で、日本で行われたWPC EXPOや、ジョブズ氏がすい臓がんの手術で欠席したApple Expoでの講演も行った実績がある。とはいえ、来年以降、アップルの出展なしでは集客が望めないだろうと見る向きが大半だ。

気になるジョブズ氏の健康問題

2008年10月の新製品発表イベントでスピーチを行うジョブズ氏。健康問題に関する話題をけん制する意味を込めて当日の血圧をスライドで示し笑いを取る場面も

 ジョブズ氏はどうして、今回講演を取りやめたのか。この件に関して、世界中のメディアが彼の健康問題を指摘する報道を行っており、同氏に死期が近づいているとする報道も多い。

 これに対してアップルは、「スティーブ・ジョブズ氏からのオープンレター」という形で、このウワサを公式に否定した。

 ジョブズ氏の健康状態を危惧(きぐ)する声の多くは、同氏が昨年の中ごろから劇的に痩せていることを根拠としている。これに対してオープンレターでは、これがホルモンバランスの異常に起因するものであると紹介しており、「すでに治療を始めている」と説明している。

 また、このオープンレターとは別に、アップルの取締役会から、ウワサを憂慮して、ジョブズ氏が万が一、何らかの理由でCEOの座を辞すことになったら、そのことはちゃんと伝える、とも明言している。

 こうした公式書面でいつわりの報告を行うことは、アップルの信頼を失墜させる危険がある行為であり、そうでなくてもリーダーシップ的観点から不安視されているジョブズ氏退任後のアップルを危険にさらす可能性がある。それだけにこれらの発表が虚偽とは考えにくい。ジョブズ氏の健康状態の本当のところは分からないまでも“死期が近づいている”といった状態ではないだろう。

 もっとも、現地ではそのことを示すためにも、明日の基調講演でジョブズ氏が姿を見せる(講演をしなくても)ことが期待されている。

アップル撤退後のMacworld Expo

 それでは、ジョブズ氏の健康状態に問題がないとして、アップルが参加を止めた後のMacworld Expoについてはどうだろう?

 実はMacworld Expoは、2002年までは日本でも行われており、2003年まではBostonやNew Yorkといった米国東海岸の都市でも開催されていた。しかし、2003年の2月にアップルが不参加を発表したことで、2003年のMacworld Expo/Tokyoは中止された。New Yorkについても、アップルが参加を止めた後の1年はCreativeWorld Expoというイベントが行われ、その後アップル不在のままMacworld Expo/Bostonが実施されたものの、(アップルのもう1人の創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏や、初代Macの開発者らが参加して盛り上げようとしたにも関わらず)十分な集客ができなかったために、2005年9月、イベント運営会社のIDG Expoが正式に東海岸のMacworld Expoを取りやめると発表した。

 同様にフランスで開催されているApple Expoというイベントも、アップルが出展を取りやめて以来、参加者の減少が目立ち、来年以降はイベント自体が中止になるというウワサが根強い。

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