2009年のアキバ電気街で最も早くユーザーイベントを開いたメーカーはAMDだった。製造プロセス45ナノメートルにシュリンクした新型クアッドコアCPU「Phenom II」発売にあわせて、カフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店にて「Don't think〜兄貴と紳士のお正月だよAMD」を開催。当日は先着100名におしるこをふるまうなどして、多くのユーザーを集めていた。
主役はもちろんPhenom IIだが、いくつかの協賛メーカーはRADEON HD 4000シリーズを念頭に置いたセッションを用意していた。アークソフトは、1月末にリリース予定のGPGPUに対応したアップスケーリング対応動画プレーヤー「TotalMediaTheatre」をアピール。Windows 7を意識してユーザーインタフェースを一新したという。
また、LoiloはおなじみのGPGPU対応動画編集ソフトウェア「Super Loilo Scope」の最新版を紹介。YouTube HDへ対応するなどの改良が施された。なお、Super Loilo ScopeはDirect XにてGPGPU効果を得られるため、NVIDIAのCUDAで同様のパフォーマンス向上が見込めるとのことだ。
なお、「紳士」こと、日本AMDの森本竜英氏は、GPGPUを念頭に置いた汎用API「OpenCL」について解説した。OpenCLは、GPUとCPUに得意な処理を柔軟に割り振って開発できるうえ、各メーカーが参加できるオープンな仕組みを採る。NVIDIAのCUDAと比較して「自由度が高く、CPUとGPUの処理を混在させることもできます。GPGPUを含めた今後のパラレルコンピューティングに効果を発揮するでしょう」(森本氏)と語った。
市川ソフトラボラトリーは、Phenom IIの基本性能について言及していた。同社のRAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio Pro」はいち早くPhenom IIに対応しており、性能をフルに生かすことでAthlon X2 6000+と比べて245%の性能向上を実現したという。同じクアッドコアのPhenom X4と比べても「RAWデータ現像が従来比140%速い」(同社)とアピール。同社の計測によると、キヤノン「EOS 5D」(1280万画素)のRAWデータをAthlon X2 6000+マシンに入れた「SILKYPIX Developer Studio 3.0」で現像するのに約10秒かかるが、これをキヤノン「EOS 5D Mark II」(2110万画素)とPhenom II X4 940 Black Editionマシン、「SILKYPIX Developer Studio Pro」に置き換えても、同じ約10秒で処理が完了したという。「最新のデジカメを購入すると、PCの処理が遅くなるように感じる場合がありますが、それはデジカメデータがより大きくなっているからです。デジカメにあわせてマシンとソフトを最新にすると、同じ快適さが得られます」と語った。
また、スペシャルゲストとして、著名な鉄道写真家の広田泉氏も登壇。サクサク処理が進むRAW現像デモを見て「この速さですよ。デモ機をそのまま持って帰りたいくらいです」と感嘆していた。
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