でっかいブースで小さなMIDをプチプチする2009 International CES(1/2 ページ)

» 2009年01月14日 17時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 インテルブースの入口付近にあるのが、Atomをアピールするコーナーだ。2008年のCESでは、CPUとしての“Silverthorne”AtomとCentrino Atomブランドが大々的にローンチされ、その新しいプラットフォームを搭載したMID(Mobile Internet Device)では、東芝をはじめとして完成度の高い実働サンプルが多数用意され、それに多くの来場者が群がるといった感じで盛り上がっていた。

 Centrino Atomがフェードアウトして、MIDと呼ばれる製品もなかなか市場に普及しないまま2009年のCESを迎えたことになるが、AtomのZシリーズが2009年に登場するNetbookや“あの”VAIO type PをはじめとするモバイルノートPCなどで採用されるケースが増えてきているなど、少なくとも“Silverthorne”Atomには復活の兆しが見えてきている。

 「それでは、MIDはどうなるの?」ということが気になってくるが、インテルのAtomコーナーに展示されていたMIDのサンプルには相変わらず多くの来場者が列をなして取り付いて、スタッフに質問をぶつけながらしげしげと端末を試している。

 ここでは、これらMIDの展示サンプルから、来場者が特に興味を示していた、おなじみ「OQO」の新製品と韓国メーカーが出品していたクラムシェルMIDを紹介しよう。

有機ELとAtomの採用で見た目以上に変身したOQO

 MIDという言葉が生まれる前からWindowsが動く超小型PCとしてコアユーザーから支持されているOQOだが、ユーザー(もしくは潜在ユーザー)の希望がようやくかなってAtomを搭載した「OQO Model 2+」が登場した。サイズは5.6(幅)×2.2(高さ)×1.0(厚さ)インチ(約142×84×25ミリ)、重さ1ポンド(約452グラム)、ディスプレイサイズが5型ワイドで解像度は800×480ドット(ズーム機能で1000×600ドット、もしくは1024×768ドット表示可能)、本体に実装するインタフェースはHDMI、USB 2.0、IEEE 802.11a/b/g、Bluetooth 2.0+EDRとその基本スタイルは従来のOQO Model 2と変わらない。

 しかし、VIA C7M LVUとVIA VX700の組み合わせだったこれまでのプラットフォームが、Atom Z540、もしくはZ520とIntel システムコントローラハブ(US15W)チップセットを組み合わせたAtomプラットフォームに移行しただけでなく、ディスイプレイのサイズ、解像度も従来モデルと同じながら、パネルが有機ELに変更されたのが大きな変更点として挙げられる(ただし、標準構成では液晶パネルとなる)。

 ただ、軽量薄型が期待できる有機ELを採用しているのに、先ほど述べたとおりボディサイズと重さは従来モデルとほとんど変わっていない。一方、Atomと有機ELディスプレイの搭載で消費電力が抑えられたはずだが、こちらも3.7ボルト4500ミリアンペアアワーの標準パッテリーパック搭載状態で3.5時間、3.7ボルト9000ミリアンペアアワーの大容量バッテリーパック搭載状態で7時間と、従来モデルから駆動時間が多少長くなるようだ(実質的な駆動時間はベンチマークテストなどの結果を待ちたい)。

 メモリ容量はDDR-533を標準で1Gバイト、最大2Gバイト搭載可能。データストレージは60Gバイト、もしくは120GバイトのHDDのほかに64GバイトのSSDを搭載したモデルも用意される。

 VIA C7Mを搭載していた従来モデルでは発熱が気になるところだったが、Atomプラットフォームを採用したOQO model 2+を実際に手にとってプチプチしていたときは、そういうことが問題になっていたことを忘れてしまっていたほどに、ボディの熱は気にならなかった。

 また、タッチパネルを組み込んでいるのにもかかわらず、有機ELを採用したディスプレイの表示は鮮やかで見やすい。スタッフの説明では、処理能力も大幅に向上しているというが、これについては、ぜひ実機を早期に入手して検証してみたいところだ。

 OQOによるとOQO model 2+の価格は、Atom Z520とメモリ容量1Gバイト、液晶ディスプレイ、HDD60Gバイトの標準構成で999ドル、Atom Z540とメモリ容量2Gバイト、有機ELディスプレイ、120GバイトHDDの構成で1499ドルと設定されている(64GバイトSSDを選択すると700ドルの追加)。日本でもブルレーが扱いをアナウンスしているが、標準構成が15万9800円と従来モデルからかなり下がっている。

スタイルはおなじみだが中身は思いっきり変わったしたOQO model 2+(写真=左)。キーボードのレイアウトは従来モデルと同じ。クリック感もあって(記者には)親指で打ちやすいと感じた(写真=右)

展示されていたサンプルはAtom Z540を搭載してメモリ2Gバイト、HDD60Gバイト、Windows Vista Business(SP1)という構成だった(写真=左)。その展示サンプルで測定したWindows Experiencs Index(写真=右)

OQO model 2+の左側面、底面、右側面。用意されたインタフェースは従来モデルとほぼ変わらない

有機ELの採用で表示が“かなり”(記者の個人的印象)鮮やかになったOQO model 2+のディスプレイ(写真=左)。有機ELの特徴として優れた視野角も挙げられるが、斜めから見ても表示の色や階調に変化は見られない(写真=右)

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