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NASらしからぬ自由度が魅力――ネットギア「ReadyNas NV+」を試す元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)

» 2009年01月23日 17時30分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
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ベンチマークテストで性能を検証

 このReadyNAS NV+を実際に使ってみたところ、最初は起動時の冷却ファンの音の大きさに驚いたが、システムのブートアップが完了しOSが稼働すると、回転が落ち着き、ファンの音も低くなった。それでも、コンシューマー向けのNASよりは大きめで、夜はやや気になるかもしれない。もっとも、事務所などで使う分には問題のないレベルだろう(本機はビジネス向けの製品である)。ReadyNAS NV+では、電源がファンレスになり、少しだがノイズレベルが減ったという。

 上述したように、工場出荷時はRAID 5で構成されていたので、この状態でドライブの抜き差しと簡単なベンチマークを行ってみた。HDDを抜くと、ただちにアラートが表示され、再びHDDをセットするとRAIDアレイの同期(再構築)が始まった。もちろん、この過程はログに記録される。設定していれば、管理者へメールも届く。

ドライブが追加されると自動的に同期が始まる(画面=左)。重要なイベントはログとして保存される(画面=右)

表1:テストに用いたシステムの構成
CPU Core 2 Extreme QX9650 (3.0GHz/FSB 1333MHz/12MB L2)
マザーボード GIGABYTE GA-EP35-DS3R
メモリ 2GB DDR2-800×2
グラフィックス RADEON HD 4850
ブートHDD 日立GST HDS722580VLSA80 (SATA)
サウンド REALTEK ALC889A
LAN REALTEK 8111B
OS Windows XP SP3 Professional

 一方のベンチマークによる性能評価だが、表1のようなシステムをクライアントを用いてファイルコピー(831MバイトのMPEG2ファイルのコピー)と、CrystalDiskMark 2.2を実行した。比較には、ローカルのSerial ATA HDDとしてシーゲートのBarracuda 7200.11の1Tバイトモデル、シングルドライブのNASとしてアップルのTimeCapsule(500Gバイトモデル)、RAID 5をサポートしたNASとしてコンシューマー向けの製品であるアイ・オー・データ機器のHDL4-G1.0(1Tバイト)を用意した。

 大きなサイズ(831Mバイト)のファイルコピーでも、本機の読み出し性能のよさの片鱗くらいは見えるような気がするが、大きな差ではない。もちろんここではローカルのHDDが圧倒的な速さを見せるが、これは予想されたことである(表2)。

表2:831MバイトのMPEG-2ファイルのコピー 書き込み(PC->Target) 読み出し(Target->PC)
RND4450-100AJS 1分49秒 1分1秒
TimeCapsule 500GB 1分55秒 1分47秒
HDL4-G1.0 1分26秒 1分3秒
ローカルHDD(ST31000333AS) 16.2秒 17.8秒

 それに対して、CrystalDiskMakr 2.2の結果はちょっと興味深い。ReadyNAS NV+の性能のよさがかなり目立っている。特に4Kバイトのランダムアクセスでは、読み出しでハッキリと差をつけた。4Kバイトのリードは一般的なWindowsのアクセスで最も頻繁に利用されるものであり、これを重視したチューニングが行われているのだろう。

画面は左から、RND4450-100AJS/Barracuda 7200.11 1TBモデル/TimeCapsule/HDL4-G1.0でCrystalDiskMakr 2.2を実施したスコア。CrystalDiskMarkは5回実行して平均をスコアとして表示するが、ここでは3回行い、真ん中と思われるものを掲載した。いずれのテストにおいても、スコアのバラつきは極めて小さかった

 実際、ビジネスユースでは数100Mバイトもあるような単一ファイルをコピーするといった使い方はあまり多くないので、実用に即したチューニングと言える。また、このテストはFlex RAIDモードのRAID 5で行っているが、X-RAIDの方がシーケンシャルリード/ライトの性能が若干よくなるということであり、ファイルコピーなどの性能が向上すると考えられる。いずれのしても、このクラスのNASとしては、十分な性能だろう。

 本機を導入するに際して最も気になるのは、やはりその価格だ。本稿執筆時点において、容量が半分の2Tバイトモデル(RND4450-100AJS)でも18万円前後といったところ。コンシューマー/パーソナル向けのNASであれば、同容量の製品が6万円前後で購入できる。だが本機には、ベンチマークテストのスコアだけでなく、金属製ボディによる堅牢性やX-RAID技術に代表されるRAID構成の自由度、ホットスワップへの対応など、多くの付加価値がある。このあたりをどう評価するかで、結論が出るのではないだろうか。

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