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格安A3対応インクジェット複合機の衝撃――JUSTIO「MFC-6490CN」(前編)(1/2 ページ)

» 2009年02月05日 13時20分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

 2008年、PC USERはビジネス向けプリンタや複合機を紹介してきたが、2009年も同様にビジネス向けプリンタの新製品情報をお伝えしたいと思っている。ただ、2009年の商戦はまだ始まったばかり。今回は2008年にリリースされた製品の中から「極めて個人的」にインパクトの大きかった製品を紹介していく。

2008年に強烈なインパクトを感じたA3対応インクジェット複合機

MFC-6490CN

 今回はブラザー工業のインクジェット複合機、JUSTIO(ジャスティオ)「MFC-6490CN」(以下、MFC-6490CN)を紹介しよう。2008年に登場した製品をいまごろ取り上げたのには理由がある。このMFC-6490CNは、極めて個人的ではあるが「筆者にとって2008年度のベストインパクト複合機」と呼べるだけのインパクトがあったからだ。筆者がそう呼ぶ最大の理由は、「A3対応のFAX付き複合機が実売5万円程度で登場してきたこと」に集約される。

 最初に断っておくが、このMFC-6490CNは、細かい部分や性能などをじっくりとチェックすると「まだまだ改善が必要」と思える部分が多い製品である。そうした点を考慮したとしても「A3対応で低価格」の破壊力は絶大なのだ。その理由を説明していこう。

あるようでなかった純ビジネス向けのA3対応インクジェット複合機

 A3対応機(A3ノビ含む)と言えば、安価なA3対応レーザーや高精細なフォト印刷を行うことが目的のハイエンド向けA3対応インクジェットが真っ先に思い浮かぶと思う。ほかにもA3以外の用紙が複数セットできるハイエンド複合機などがあるが、これは個人ユーザーを含むSOHO環境では明らかにオーバースペックだ。

 いま現在、高精細なフォト出力は必要ないがA3用紙で出力したいというSOHOや個人ユーザーのニーズに対しては10万円以下で購入できるA3対応レーザーを使うのが一般的である。もちろん、その中には高精細なフォト印刷を得意とするA3対応インクジェットをビジネス文書印刷に利用するユーザーもいるが、これは例外と言える。そうしたニーズに手軽にA3用紙に対応し、しかもカラー印刷環境まで提供してくれるのがMFC-6490CNということになる。

まだまだ高価なA3対応のスキャナ

A3対応スキャナを搭載

 MFC-6490CNは複合機なのでADFとスキャナを標準で搭載しており、当然のことながらスキャナもA3サイズに対応する。巷にはビジネス向けにA3対応のフラットベッドスキャナやドキュメントスキャナもあるが、こちらは安くても10万円前後、高いものになると30〜40万円とA4サイズまでのフラットベッドやドキュメントスキャナと比べて価格が一気に跳ね上がる。一方、MFC-6490CNはA3対応、かつADFまで搭載しているわけで、A3対応のフラットベッドスキャナが5万円程度で購入できるというだけでもかなりのインパクトを持つのだ。しかもMFC-6490CNはA3対応FAX機能まで搭載しているのである。

 一言でいえば、単に「FAX付きのインクジェット複合機がA3に対応した」というだけの話なのだが、それがどれだけのインパクトを持っているのかを理解してもらいたい。それでは実際にMFC-6490CNの性能や使い勝手を紹介していこう。

A3対応複合機の中では世界最小サイズ

 MFC-6490CNのボディサイズは、540(幅)×488(奥行き)×323(高さ)ミリで、ブラザーの発表によれば「A3対応複合機で世界最小」をうたっている。本体デザインは、同社のコンシューマ向けインクジェット複合機「MyMio(マイミーオ)」シリーズを彷彿とさせる。実際、MFC-6490CNでは4色独立インク方式やUSBと有線LANケーブルの接続部分の構造などでMyMioに似た仕様になっている部分が見られる。こうした部分はMyMioからの転用であろう。

 ただし、MFC-6490CNはあくまでビジネス向けモデルなので、電話の子機が付属しなかったり、MyMioの上位モデルのようなタッチパネルは搭載していないなどの違いがある。そしてレーザー系JUSTIO複合機と共通の添付ソフトウェアやツール類などと合わせることでMyMioとは一線を画した製品になっている(もちろん最大の違いがA3対応というのは言うまでもない)。そしてA3対応をうたっている以上、当然ながら本体はA3よりも大きなサイズになる。

本体前面/背面/左側面

 同社はMFC-6490CNをビジネス向けのA4インクジェット複合機並みのコンパクトサイズと例えている。確かにMFC-6490CNに近いサイズの製品もA4複合機の中にはあるが、この表現はいささか大げさだろう。なお、重量は約15.6キロで、成人男性なら1人で十分に持てる重さであり、持ち運んで設置するのに苦労することはなかった。

レーザー系とは微妙に異なるが、悪くない使い勝手の操作パネル

前面の操作パネル

 MFC-6490CNの操作パネルは、レーザー系のJUSTIO複合機とは異なる。ベースがMyMioだからなのかは不明だが、レーザー系のJUSTIO複合機から乗り換えると、操作パネルを使った各種操作に違和感を覚えるかもしれない。その理由は明白で、レーザー系のJUSTIOは、現行モデルを含めテンキー部分が液晶モニターの右側に設けられているからだ。いままでPC USERで紹介してきたレーザー系JUSTIO複合機との大きな違いがこれだ。従来モデルを多く触って来た経験から、テンキー入力が必要な時(FAX送信や無線LAN設定など)に一瞬テンキーの場所を探してしまうのだ。

 また、パネルの左側に短縮ダイヤル兼ワンタッチダイヤルが用意されているのだが、レーザー系JUSTIO複合機に比べワンタッチダイヤルに登録できるのが6件と圧倒的に少ない。SOHOや自営業ならまだ我慢できるかもしれないが、小規模事業所や部署などではワンタッチダイヤルが6件では足りなくなる可能性が高いだろう。

 そのほかの操作ボタン類だが、短縮ダイヤル兼ワンタッチダイヤルの下に「見てから送信/見るだけ受信」用ボタンとオンフックボタン、再ダイヤル/ポーズボタンが並び、その右側に前述したテンキー(兼文字入力)、中央部の3.3型のワイドビューカラー液晶を挟んですぐ右側に上からファックス/スキャン/コピー/デジカメプリント用ボタン、その右側に十字キーと機能(インク/メニュー/クリア&バック/OK)ボタンとなる。そしてその右側には停止/終了ボタンとカラーとモノクロのスタートボタンに電源ボタンという配置になっている。

 ボタン類の配置が異なるからといって、全体的な使い勝手が悪いわけではない。従来モデルのボタン配置を知らないユーザーからしてみれば、FAX操作以外は液晶モニター右側にあるボタン類を操作するだけで完了させることができる点を考えると、この配置は納得がいく。加えてカラーのワイド液晶モニター上に表示される情報は、レーザー系JUSTIO複合機と比べて見やすく、かつ表示してくれる量も多い。これはレーザー系JUSTIOでも採用してもらいたいと感じた部分である。

3.3型のカラーワイド液晶を採用しており、情報量は多い。サムネイルを見ながら写真印刷も行える。パネル下には、コンパクトフラッシュ/各種SD系メモリーカード/xDピクチャーカード/メモリースティックに対応したカードスロットを備える

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