「神舟」が導く中国“激安”PC市場山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

» 2009年02月13日 11時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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販売網の強化で中国PC地図は激変する

「神舟」の弱点は内陸や農村部における販売拠点の少なさだ。上海などの大都市にはリアルショップを展開するが、それ以外ではネットショップでしか購入できない

 日本市場における「安くないメーカー製PC」と「安いメーカー製PC」の違いは、ボディのデザインや付属する豊富なソフトウェア、特殊な拡張カード(現在はデジタルテレビチューナーカードであることが多い)の有無、そして、最近では付属する液晶ディスイプレイの画質の優劣であったりする。

 中国において、神舟や新藍、七喜などの「安いメーカー製PC」とレノボや方正などの「安くないメーカー製PC」の違いは何か。それは、「OSの有無」(神舟製PCのほとんどは「正規版の」Windowsがプリインストールされていない)や「ボディデザイン」であったりする。しかし、それ以外には特に違いはない。それなのに、価格の高いレノボ製PCが価格の低い神舟製PCにシェアで勝っているのは、ブランドイメージの差なのだろうか(中国において、正規版OSの有無は消費者のPC選択にほとんど影響を与えない)。

 低価格であるなら、所得の低い内陸部や農村で神舟のPCは大人気となりそうだが、実際のところ、そういう地域で神舟製のPCを見ることは少ない。DVD-Videoが視聴できて、ショップブランドPCにはないメーカー保証がつく神舟製PCは、所得の少ない中国の消費者にとってもメリットが多い。しかし、中国全土で扱っている店舗の絶対数がまだまだ少ないのが神舟の弱点であり、それが“所得の低い内陸部や農村”で大きな売り上げとならない理由でもある。現在、神舟製PCは省都クラスの大都市か、オンラインショップでしか購入できない。一方で農村部には、レノボの代理店しかない田舎町が無数にあるという状況だ。今後、神舟が小さな田舎町にどれだけ販売代理店を展開できるかが、今後の中国における低価格PCの普及の鍵を握っているともいえるだろう。

神舟ではマザーボードやグラフィックスカードも扱っている。Intel P45 ExpressとICH10を搭載したマザーボードは599元、日本円にして約7200円(写真=左)。グラフィックスカードには、“改名”済みのGeForceが並ぶ(写真=右)

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