XPになって値下がりした超小型PC「LOOX U」を味わう(前編)直販モデルは6万円台から(1/2 ページ)

» 2009年02月24日 11時15分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

Windows XPで中身も軽くなった富士通のUMPC

「FMV-BIBLO LOOX U」シリーズのWindows XP搭載エントリーモデル「LOOX U/C30」

 富士通の「FMV-BIBLO LOOX U」は、小型軽量化を追求したUMPC(ウルトラモバイルPC)シリーズだ。2009年春モデルでは、大幅なフルモデルチェンジを行った先代機「LOOX U/B50」(直販サイトの「WEB MART」では継続販売)のハードウェアをほぼ引き継ぎつつ、プリインストールOSがWindows Vista Home Premium(SP1)からWindows XP Home Edition(SP3)に変更されたことが大きなトピックだ。

 待望の“軽い”OSを得たことでコストパフォーマンスも向上しており、店頭向けの下位モデル「FMV-BIBLO LOOX U/C30」は量販店での実売価格が8万円前後におさまっている。さらに、WEB MARTでは簡単なアンケートに答えることで、カスタムメイドモデルの価格が18%オフになる割引クーポンがもらえるキャンペーンを2009年3月4日まで実施している。このクーポンを使えば、LOOX Uを6万5436円から購入できる。今回はU/C30を試す機会を得たので、前後編に分けて使い勝手をじっくりとリポートしよう。

 最大の特徴は何といってもシステム手帳サイズの超小型軽量ボディだ。本体サイズは171(幅)×135(奥行き)×26.5〜33(高さ)ミリ、重量はわずか約565グラムしかない。しかも、標準バッテリー(7.2ボルト 2900mAh)で約6時間(上位モデルの「U/C40」は約5時間)、オプションとして用意されている倍容量のバッテリーパックL(利用時は奥行きが20ミリ、重量が105グラム増える)を装着すれば、約11.3時間の駆動が可能という十分なバッテリー駆動時間を実現している。

 ACアダプタについても、サイズが39(幅)×88(奥行き)×27(高さ)ミリ、ACケーブルを含めた重量が約269グラムと小型軽量で、書類やカメラなどと一緒に苦もなく携帯できる。こうした携帯性の高さは、まさにウルトラモバイルPCと呼ぶにふさわしい。

 ブラックで統一したボディは、光沢処理やスリットを使って質感のコントラストを付けている。また、スティック型ポインティングデバイスのキャップなど細部までデザインが行き届いていて、美しい仕上がりだ。

ボディは少々厚みがあるが、横幅と奥行きは一般的なシステム手帳と同程度で、CDケースと並べてもここまで小さい(写真=左)。標準バッテリーの容量は7.2ボルト 2900mAh、別売のバッテリーパックLの容量は7.2ボルト 5800mAhでサイズも一回り大きくなる(写真=中央)。付属のACアダプタも小型軽量だ(写真=右)

コンパクトボディながら工夫された入力環境

 回転式のタッチパネル付き5.6型ワイド液晶ディスプレイとペン(もしくは指でのタッチ)、キーボード、スティック型ポインティングデバイス、ワンタッチボタンからなる入力環境の完成度も特筆できる。液晶ディスプレイは最大で165度程度まで開き、ヒザの上で使う場合でも画面の角度を見やすいように調整可能だ。また、液晶ディスプレイをヒンジ部分で180度回転させて折りたたむと、ピュアタブレットスタイルで利用できる。

液晶ディスプレイは水平までは開かないが、165度程度まで開くので、本体を低い位置に置いて作業する場合も画面が見にくいことはない

 横幅171ミリの小型ボディいっぱいに確保されたキーボードは68キーと少ないが、Windowsでの操作を前提に利用頻度の高いキーを優先して残しているため、意外に不便には感じない。主要キーのキーピッチは約15ミリ、キーストロークは約1.3ミリが確保され、キートップ周囲に段差を付けてミスタイプを防ぐ工夫もされている。Fnキーとの併用が多く、Tabや半角/全角キーの位置なども少し変則的なため、多少の慣れは必要ながら、実際に使ってみると見た目以上に打てる印象だ。

 個人差はあるだろうが、日本人の平均的な手の大きさのユーザーならば練習次第でタッチタイプが可能なレベルではないだろうか。キートップ素材は薄く、強い力でタイプすると全体がたわむような感触もあり、少々頼りなさも感じるが、頻繁に長文をタイプするような用途以外では特に問題はないだろう。

キーボードは6段配列の68キー仕様で、日本語の刻印がなくシンプルな仕上がりだ(写真=左)。キーボードユニットのサイズは小さいが、標準的なノートPCと同じように両手で文字入力が行えるように配慮されている(写真=中央)。両手でボディを抱えて、左右の親指で文字入力するのも無理がない(写真=右)。液晶ディスプレイ左下のボタンを長押しすれば、暗所で手元を見やすくするキーボードライトが点灯する仕組みだ

 電車の中などで、立ったまま使う場合に便利なのが、タッチパネルを利用した操作だ。ポインティングデバイスは、ボディを両手で抱えたまま左右の親指で操作しやすいように、ボディ右端の奥にスクエア型スティックが、左端の奥にマウスの左右ボタンに相当する2つのボタンがある。もちろん、これで操作してもよいのだが、タッチパネルの画面に直接触れて操作するほうがより快適な印象だ。

 ボディが小型軽量なだけに、折りたたんだタブレットスタイルならば片手で持って支えるのも楽であり、もう片方の手に持ったペンで軽くタッチして操作できる。液晶ディスプレイの右には「Ctrl+Alt+Deletel」の同時押しに相当するボタンがあり、また画面解像度の切り替えや縦/横位置表示の切り替え、スクロールボタンなど、ペンでの操作をフォローするボタンも抜かりなく用意されている。

ポインティングデバイスはボディの上端にあり、右手の親指でスティックによるマウスカーソルの移動、左手の親指で左右ボタンの操作を行なう(写真=左)。液晶ディスプレイを反転させて閉じると、タブレットスタイルになる(写真=中央)。タブレットスタイルでは画面の表示方向も180度回転するので、液晶ディスプレイを開いた状態と同様にマウスカーソルを操作できる(写真=右)

ペンは液晶ディスプレイの右上に収納されている(写真=左)。タッチパネルとペンを使った操作は、横位置でも縦位置でも行える(写真=中央/右)。タッチパネルには指で触れても操作できるが、画面サイズに対して解像度が高すぎるので狙いを定めるのが難しいだろう

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