デルの超小型モバイルプリンタ「Wasabi」はどんな味!?ポケットに入る印刷機(1/2 ページ)

» 2009年02月25日 18時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

ZINK Zero Ink技術が小型軽量ボディと使いやすさを提供

「DELL Wasabi PZ310モバイルプリンタ」。写真のカラーはブラック

 デルからユニークな名前の超小型モバイルプリンタが登場した。その名も「DELL Wasabi PZ310モバイルプリンタ」(以下、Wasabi PZ310)。“ワサビ”という製品名は開発コード名に由来するもので、日本専用の愛称というわけではなく、ワールドワイドで使用されている。デルに聞いたところ、製品名に特別な意味はないが、新しいカテゴリーの新モデルを広くアピールするため、あえて開発コードを製品名に残したという。

 これまでにもデルは、コストパフォーマンスの高いモノクロ/カラーレーザープリンタ、インクジェットプリンタ/複合機を自社ブランドで展開してきたが、この製品ラインアップに小型軽量のモバイルプリンタが追加されたことになる。

 Wasabi PZ310のウリは2つある。1つはバッテリーを内蔵した小型軽量ボディの採用で場所を選ばず利用できる「携帯性の高さ」、そしてもう1つはインク不要で専用紙をセットするだけで印刷できる「使いやすさ」だ。これら2つの特徴はWasabi PZ310が採用する印刷技術の「ZINK Zero Ink」によってもたらされている。

 ZINK Zero Inkは米Zink Imagingが開発した印刷技術。小さな専用印画紙「ZINKペーパー」にインクいらずでプリントすることが可能だ。ZINKペーパーのサイズは49.8×76.2ミリ(2×3インチ)と縦長で、写真はフチなしで印刷される。このサイズは、富士写真フイルムのモバイルプリンタ「Pivi」シリーズが採用する専用フイルムの印刷サイズ(46×61ミリ)やチェキ用フィルムの印刷サイズ(46×62ミリ)より少しだけ大きい。ZINKペーパーの裏面はシールになっており、はく離紙をはがすことで自由に張り付けられるのは気が利いている。

 ZINKペーパーには、シアン、イエロー、マゼンタの色要素で構成された染料の結晶が発色層として重ねられ、表面は高分子保護膜で覆われている。印刷時はパルスでプリンタヘッドを加熱して染料の結晶を溶かし、発色させる仕組みだ。あらかじめ印画紙に発色層が備わっているため、印刷時にインクを使用することはない。

インタフェースはPictBridge対応USBポートとBluetoothを装備

 専用の印画紙が小型なことも含めて、実装面積が小さくて済む同技術の採用により、Wasabi PZ310はプリンタとしては非常に小型軽量に仕上がっている。本体サイズは75(幅)×122.5(奥行き)×24.2(高さ)ミリ、重量はバッテリー込みで約225グラム(用紙含まず)で、設置面積はL判用紙(89×127ミリ)より小さい。これなら、ケータイやデジカメ、Netbookと一緒にバッグにしまっても大した負担にならないはずだ。ボディのカラーはブラック、ブルー、ピンクの3色から選べる。

本体はCDのディスクと比べても小さい(写真=左)。カラーはブラック、ブルー、ピンクの3色展開だ(写真=中央)。まさにハンディサイズのプリンタに仕上がっている(写真=右)。なお、オプションとして、白またはシルバーのキャリングポーチ(720円)も用意されている

 インタフェースは2種類あり、デジカメ接続用のPictBridge対応USBポートと、PCもしくはケータイ接続用のBluetooth 2.0(FTP/BIP/OPPプロファイル対応)を装備している。USBポートはPictBridge用で、PCの接続に対応していない点には注意が必要だ。PC側で細かな設定などが行えるプリンタドライバや付属ソフトも提供されない。

 ボディには再印刷ボタンも搭載されている。これにより、転送された画像1枚を本体の内蔵メモリに保存しておき、ボタンを押すと画像の再転送なしに印刷することが可能だ(電源をオフにすると、メモリ内の画像は消える)。また、ボディの上部には2つのフェイスマーク型インジケータと、充電を示すインジケータも配置されている。フェイスマーク型インジケータは正常時に笑顔、エラー時に泣き顔が光る仕様だ。

左から、本体の前面、背面、右側面。前面の上部にインジケータを用意している。右側面のカバーを開くと、PictBridge対応USBポートとACアダプタ接続用のDC入力が現れる

左が前面、右が背面。背面には電源ボタン、再印刷ボタン、用紙トレイ開閉つまみ、ストラップホルダーが用意されている

 ZINKペーパーは12枚が1パックになっているが、本体には1パック分を収納でき、紙をセットした状態のまま持ち運べる。ZINKペーパーはサイズや用紙種別といったバリエーションはなく、24枚(720円)、48枚(1230円)、96枚(2150円)のセットが販売されている。いずれのセットも用紙は12枚が1パックだ。当然、用紙枚数が多いほど印刷コストは安くなる(96枚パックで1枚あたり約22.39円)。プリンタ本体には7.4ボルト 450mAhと小型のリチウムイオンバッテリーパックが搭載されており、満充電の状態でだいたい1パック12枚の印刷が行える。

 もう少しバッテリー駆動で印刷できる枚数が多いとよかったのだが、幸いなことにオプションでスペアバッテリーが用意されている。バッテリーパックは背面から着脱でき、突起部を除くサイズは30(幅)×59(奥行き)×11(高さ)ミリ、重量は33グラムと小型軽量だ。スペアバッテリーの価格は2600円と手ごろなので、ACアダプタを接続できない場所で複数パックの印刷を行いたい場合はスペアバッテリーを購入してもいいだろう。

 付属のACアダプタは、突起部を除くサイズが47(幅)×87(奥行き)×31(高さ)ミリ、重量は268グラムだった。大ぶりなACアダプタではないが、本体が小さく、デジカメなども携帯することを考えると、持ち歩くのには少々抵抗があるかもしれない。

ZINKペーパーには1パックにつき1枚の青いキャリブレーションシートが入っており、印刷前にはこのシートを出力して自動色補正をする必要がある(写真=左)。背面のカバーを外すと、下部に着脱式のリチウムイオンバッテリーが露出する(写真=中央)。本体サイズに比べると、ACアダプタはちょっと大きめで電源ケーブルも太い(写真=右)

ZINK Zero Ink採用のプリンタはほかにもあるが……

 なお、こうしたZINK Zero Ink採用の製品は、日本ポラロイドのコンパクトプリンタ「PoGo」や、タカラトミーのプリンタ一体型デジカメ「xiao」が既に販売されている。特にPoGoはボディのサイズや重量、機能がほとんど同じで、Wasabi PZ310はいわばPoGoのデル版といっていい。

 PoGoとの主な違いは、ボディデザインのほか、ピンクやブルーといった明るいカラーバリエーションが用意されること、本体に再印刷ボタンがあること、本体に3つのインジケーターがあること、そして価格だ。この中で製品選択のうえで大きいのは、外観と価格だろう。2009年2月25日現在の実売価格は、PoGoの1万5000円前後〜1万7000円前後に対して、Wasabi PZ310は1万2800円と割安感がある。さらに、デルのプリンタということで、将来的はキャンペーン価格や値下がりにも期待できそうだ。

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