AMDが2009年1月に発表した、モバイルエンターテインメント向けの省電力CPU「Athlon Neo」搭載PCがついに姿を現す。Yukonは新時代のノートPCをどこに導くのか?
2009年1月6日、米ラスベガスで行われた世界最大級の家電の祭典「2009 International CES」(Consumer Electronics Show)に合わせて、AMDから発表された新プラットフォームが「Yukon」(開発コード名)だ。低価格な薄型モバイルPC向けのプラットフォームであり、一部ではNetbookの対抗ともいわれているが、実際にはそれよりややサイズの大きいノートPC向けとされている。
今回HPが製品化したYukonは、新CPUの「AMD Athlon™ Neo」とグラフィックス統合型チップセット「AMD M690G」の組み合わせで提供される。オプションで外付けGPUの「ATI Mobility Radeon™ HD 3410」も追加でき、モバイルPCながらリアルな3Dグラフィックスだけでなく、1080pのHD動画をスムーズに再生可能なほか、HDMI端子経由で大画面テレビに高画質な動画や静止画を出力して楽しむこともできるのだ。
ちなみに、Athlon™ Neo MV-40はシングルコアの製品で、動作クロックが1.6GHz、512Kバイトの2次キャッシュを内蔵し、65ナノメートルのSOIプロセスで製造される。省電力機能のAMD PowerNow!™テクノロジをサポートするほか、パッケージが27×27ミリで高さが2.5ミリと、薄型ノートPCにも十分搭載可能だ。
AMDのクライアント製品部門担当上席副社長 クリス・クローラン(Chris Cloran)氏は、「今日までは、ユーザーがポータブル・ノートPCを選択する際、少なからず妥協を伴っていました。高額なウルトラ・ポータブルPCで完全なPCエクスペリエンスを手に入れるか、低価格なミニノートブックで PCエクスペリエンスはある程度制限されてしまうかの二者択一を余儀なくされてきました。今回のAMDの超薄型ノートPCプラットフォーム(Yukon)の登場により、よりリーズナブルな超薄型ノートPCでありながら、先進のグラフィックスとビデオ性能による真のHDエンターテインメントに対応した、バランスのよいPC性能が実現し、ユーザーに対して妥協のないモビリティを提供できることになりました」とニュースリリースで述べている。
つまり、安価だが機能や性能に妥協が必要なNetbook/ミニノートPCを大きく上回る機能と性能を実現しながら、低価格と携帯性を両立したプラットフォームがYukonであり、Netbook/ミニノートPCと高性能だが高額なモバイルPCとの“空白地帯”を切り開くプラットフォームなのだ。これまでもユーザーのニーズに的確に応えてきた、AMDらしいアグレッシブな取り組みといえるだろう。
限られた画面サイズや性能ゆえ、Netbook/ミニノートPCの用途がインターネットやメールといった限定的なものにならざるを得ないのに対し、Yukonプラットフォームは優れたパフォーマンスを備えていることもあり、オフィスアプリケーションから写真や動画、音楽編集、そしてPCゲームまで幅広いシーンでの活用が想定されている。Netbook/ミニノートPCよりも大画面かつ高解像度の液晶ディスプレイを備えつつ、薄型で軽量と携帯性も確保しているのが見どころだ。
とはいえ、この魅力的なプラットフォームも、採用するベンダーがなくては宝の持ち腐れ。そこで、いち早くこれに対応したのがPCの世界シェアNo.1ベンダーであるHewlett-Packardだ。前述の2009 International CESでは、広大なブースでYukonを採用した薄型モバイルPC「HP Pavilion dv2 ENTERTAINMENT Notebook PC」を展示し、注目を集めていた。
そしてイベントから3カ月が経過した4月23日、ここ日本でも満を持して「HP Pavilion Notebook PC dv2」が発表された。日米で命名ルールが異なるため製品名こそ若干異なっているが、まごうことなきYukonプラットフォーム搭載ノートPCだ。詳細は下記の表にまとめたが、日本ではCPUに1.6GHzで駆動するAthlon™ Neo MV-40を、メインメモリに2GバイトのDDR2 SDRAMを採用し、1280×800ドット表示の12.1型ワイド光沢液晶ディスプレイを備えたモデルを展開する。
具体的には、外付けGPUのATI Mobility Radeon™ HD 3410(グラフィックスメモリは512Mバイト)とHDMI端子を標準装備し、外付けのDVDスーパーマルチドライブが付属したモデルが直販のHP Directplusで販売される。
HP Pavilion Notebook PC dv2 夏モデルの主なスペック | |
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モデル | HP Directplus直販モデル |
ZEN-design | kirameki(煌) |
CPU | Athlon™ Neo MV-40(1.6GHz) |
チップセット | AMD M690G |
メモリ | 2GバイトDDR2-533(2GバイトDIMM×1/最大4Gバイト) |
HDD(2.5インチ) | 320Gバイト(5400rpm) |
光学ドライブ | USB外付けDVDスーパーマルチ |
グラフィックス | ATI Mobility Radeon™ HD 3410 |
ディスプレイ | 12.1型ウルトラクリアビューカラー液晶ディスプレイWXGA |
解像度 | 1280×800ドット |
HDMI端子 | ○ |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト2.0準拠) |
Bluetooth | ○ |
バッテリー | 6セルリチウムイオン |
バッテリー駆動期間 | 約3時間15分 |
ボディサイズ | 293(幅)×242(奥行き)×24〜33.5(厚さ)ミリ |
重量(バッテリー込み) | 約1.7キロ |
プリインストールOS | Windows Vista Home Premium(SP1) |
価格 | 7万3500円(HP Directplus価格) |
次のページでは、HP Pavilion Notebook PC dv2を細かくチェックしていこう。
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企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年4月30日