AM3を選ぶ「理由」がそろった──Phenom II X4 955のパフォーマンスをチェックするイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2009年04月23日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

Phenom IIで最高クロックの3.2GHzにやっと到達

 AMDからAM3対応の「Phenom II X4 955 Black Edition」(Phenom II X4 955 BE)と「Phenom II X4 945」が4月23日に発表された。AM3対応Phenom IIはすでに「Phenom II X4 810」と「Phenom II X3 720 Black Edition」が出荷されているが、それらはAM2+対応Phenomシリーズの最高クロックモデルとなる「Phenom II X4 940 Black Edition」より動作クロックが遅く設定されていた。そうした意味で、動作クロック3.2GHzのPhenom II X4 955 BEはスペックと対応規格の双方でPhenom IIシリーズの最上位モデルといえる。まずは、Phenom II X4 955 BEとそのほかのPhenom IIシリーズとのスペックを比較してみよう。

Phenom II X4 955 Black Edition 945 940 Black Edition
動作クロック 3.2GHz 3.0GHz 3.0GHz
対応規格 AM3 AM3 AM2+
対応メモリ DDR3-1333/DDR2-1066 DDR3-1333/DDR2-1066 DDR2-1066
L2キャッシュ 512KB/コア 512KB/コア 512KB/コア
L3キャッシュ 6MB(共有) 6MB(共有) 6MB(共有)
HT Link クロック 4.0GHz 4.0GHz 3.6GHz
プロセスルール 45ナノメートル 45ナノメートル 45ナノメートル
構成トランジスタ数 7億5800万 7億5800万 7億5800万
コア電圧 0.875-1.5ボルト 0.875-1.5ボルト 0.875-1.5ボルト
消費電力 125ワット 125ワット 125ワット

 Phenom II X4 955 BEとPhenom II X4 945、そして既存の最高クロックモデルとなるPhenom II X4 940を並べると分かるように、3.06GHz動作のPhenom II X4 945と940では、AM3とAM2+対応の違いとPhenom II X4 945でDDR3メモリサポートが追加された点、そして、HTバスクロックの向上という3つの変更以外に物理的な仕様上の相違点はない。構成トランジスタ数も同じであるので、AM2+対応のPhenom II X4 940とAM3対応のPhenom II X4 955 BE、Phenom II X4 945はほぼ同じ構造で、Phenom II X4 940にもDDR3のメモリコントローラが内蔵されているが利用していないのではと、思わず邪推したくなってしまう。

Phenom II X4 955 BEのOPNは「HDZ955FBK4DGI」(写真=左)で、Phenom II X4 940のOPNは「HDZ940XCJ4DGI」となる(写真=右)

CPU-Z(1.50)で確認したPhenom II X4 955 BEのスペック(写真=左)と同じくPhenom II X4 940のスペック(写真=右)。対応するパッケージ規格とコア電圧以外に違いはない

従来のPhenom IIシリーズ最上位モデルとCore i7 920に挑む

 期待の3GHz超えAM3対応Phenom II X4 955 BEの登場で、従来のPhenom IIシリーズからどれだけ性能が飛躍したかが知りたいとともに、競合するCore i7シリーズに対してどれだけ迫れるのかも気になるところだ。今回は、これまでのPhenom II X4シリーズで最高クロックモデルとなるPhenom II X4 940 BEと、Core i7 920で測定したベンチマークテストの結果で検証してみる。

 なお、パッケージ規格がそれぞれ異なるため、測定に用いるプラットフォームもCPUごとに変わることになる。そういう意味ではCPU単体の性能比較ということではなく、そのCPUが利用できるシステム全体の性能を測定しているので注意していただきたい。

 Core i7が関係するベンチマークテストの比較で悩むのがメモリ容量の設定だ。Phenom II X4 955 BEのシステムではCorsairのDDR3デュアルチャネルキット「CM3Z2G1600C9DHX」を使用している。DDR3-1600対応のモジュールだが、テストではDDR3-1333モードに設定した。Phenom II X4 940 BEのメモリにはPatriotのDDR2デュアルチャネルキット「PDC24G6400LLK」を使用した。なお、CPU自体はDDR2-1066までサポートしているがモジュールの仕様であるDDR2-800でテストしている。Core i7 920ではGeILのDDR3トリプルチャネルキット「GV33GB1333C9TC」を使用した。DDR3-1333対応のモジュールだが、テストではCPUに合わせてDDR3-1066モードに設定している。

 なお、グラフィックスカードは3システム共通でGeForce GTX 280を搭載するMSIの「N280GTX-T2D1G」を使用している。なお、CPU性能の比較のため、PhysX機能はオフにしてある。

CPU Phenom II X4 955(3.20GHz) Phenom II X4 940(3GHz) Core i7 920(2.66GHz)
Motherboard ASUS M4A79T Deluxe GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H MSI X58 Pro
Chipset AMD 790FX+SB750 AMD 790GX+SB750 Intel X58 Express
Memory DDR3-1333 4GB(Corsair CM3Z2G1600C9DHX) DDR2-800 4GB(Patriot PDC24G6400LLK) DDR3-1066 3GB(GeIL GV33GB1333C9TC)
Graphics MSI N280GTX-T2D1G
GraphicDriver GeForce Driver 182.50(PhysX:Disable)
HDD WD3200AAJS-B4A(320GB/7200rpm/8MB)
OS Windows Vista Ultimate SP1 32ビット版

CPUが対応するパッケージがすべて異なるため、マザーボードも3枚用意した。Phenom II X4 955 BEでは、AMD 790FXを搭載するASUSの「M4A79T Deluxe」(写真=左)を、Phenom II X4 940 BEではAMD 790GXを搭載するGIGABYTEの「GA-MA790GP-DS4H」(写真=中央)を、Core i7 920ではIntel X58 Expressを搭載するMSIの「X58 Pro」(写真=右)をそれぞれ用いている

Phenom II X4 955 BEのシステムで使用したCorsairのDDR3デュアルチャネルキット「CM3Z2G1600C9DHX」(写真=左)。Phenom II X4 940 BEのメモリにはPatriotのDDR2デュアルチャネルキット「PDC24G6400LLK」を使用した(写真=中央)。Core i7 920ではGeILのDDR3トリプルチャネルキット「GV33GB1333C9TC」を組み込んでいる(写真=右)

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